トランプ大統領、自動車貿易で「我々の車を受け入れてくれない」と日本を名指しで批判
米国のトランプ大統領は12日、日本との自動車貿易を巡り「彼らは我々の車を受け入れてくれない。素晴らしい車を製造しているのにだ」と日本を名指しで批判した。ホワイトハウスで記者団に語った。米国車の輸入が少ないことへの不満を改めて示したものとみられる。
トランプ氏は、ドイツなど欧州や日本からの輸入車が米国の自動車産業を圧迫していると主張している。欧州連合(EU)に対しても「BMWやメルセデス・ベンツなど何百万台もの車を(米国は)輸入しているのに、彼らは受け入れない」と批判した。
トランプ政権は4月2日に自動車への25%の追加関税や、高関税の貿易相手国・地域からの輸入品に同水準の関税を課す「相互関税」の導入を表明している。日本やEUに対しても関税圧力が強まる可能性がある。
トランプ政権、自動車「25%関税」発動をわずか1日で修正…米GMなど3社の救済要請に配慮
米国のトランプ政権は5日、カナダとメキシコからの輸入品に対して発動した25%の関税のうち、自動車には1か月、適用を免除すると発表した。4日の発動からわずか1日で軌道修正した。自動車業界への打撃に配慮し、「相互関税」を4月2日に発動するまでの救済措置と位置づけた。
【写真】トランプ政権によるUSAIDの対外支援凍結、連邦最高裁は認めず
免除対象は、自由貿易協定「米国・メキシコ・カナダ協定」(USMCA)の基準に合う製品で、両国に生産拠点を置く日本メーカーの自動車にも適用されるとみられる。
キャロライン・レビット大統領報道官は5日の記者会見で「相互関税は4月2日に発動するが、1か月間の免除を与えることで(自動車メーカーが)経済的に不利にならないようにする」と説明した。米ゼネラル・モーターズなど自動車大手3社が、サプライチェーン(供給網)の混乱や自動車の価格の上昇を招く恐れがあるとして救済措置を要請し、トランプ大統領は「快く応じた」という。
第1次トランプ政権時の2020年に発効したUSMCAでは、米国、メキシコ、カナダの3か国で組み立てられた自動車は、域内部品調達率を75%以上とするなど一定の条件を満たせば関税がかからない。
米国や日本の自動車大手は、USMCAの利点を生かし、メキシコやカナダで生産した自動車を米国に輸出しており、3か国でほぼ一体化した自動車製造の供給網を築いている。日本勢では、カナダにトヨタ自動車とホンダの2社、メキシコにトヨタ、ホンダ、日産自動車、マツダの4社が生産拠点を置いている。
米調査会社S&Pグローバル・モビリティーによると、カナダとメキシコへの自動車関税が発動されれば、1週間以内に、北米の1日あたり自動車生産台数が最大2万台減少する可能性があるという。北米全体の3割に相当する規模だ。
トランプ氏は5日、自身のSNSへの投稿で、カナダのトルドー首相と電話協議したと明らかにした。関税の発動理由とした合成麻薬フェンタニルの米国への流入に関し、カナダ側の対策は「まだ十分ではない」と伝えたという。
カナダが米国をWTOに提訴
世界貿易機関(WTO)は5日、カナダが米国をWTOに提訴する手続きを始めたと発表した。米トランプ政権がカナダからの輸入品に25%の関税を発動したことを受けた措置だ。
カナダは提訴の前提となる、2国間での協議を要請している。協議が決裂すればカナダは正式に提訴する。
米国の関税について、カナダはWTOに提出した書類で、一部の国だけを優遇してはならないとするWTO協定に違反していると主張し、是正を要求した。