アップル幹部に聞く「iPhone 16e」発売の理由と隠れた新技術

アップル幹部に聞く「iPhone 16e」発売の理由と隠れた新技術

 iPhone 16シリーズで異例の5機種目となる「iPhone 16e」を発売したアップル。廉価モデルでヒットが見込めるうえ、春商戦の真っただ中に投入されたこともあり、大手通信事業者も販売に注力している。

 そんな中、アップルの製品発表会でもおなじみのカイアン・ドランス氏(同社ワールドワイドiPhoneプロダクトマーケティング担当バイスプレジデント)が来日。異例の発売となった理由のほか、iPhone 16eで初搭載したテクノロジーについても語ってくれた。【ケータイジャーナリスト・石野純也/毎日新聞経済プレミア】

 ◇「iPhone SEとは異なる」

 ドランス氏によると、iPhone 16eを発売した理由は「お手ごろな価格で、iPhone 16シリーズの本質的な体験をできるだけ多くの人に届けたかったから」という。

 本質的な体験とは、アップルが自社開発したチップセット「A18」の処理能力や、そのうえで動くAI(人工知能)「Apple Intelligence(アップルインテリジェンス)」、4800万画素の高画素カメラなどを指す。価格を抑えつつ、iPhone 16シリーズの鍵となる部分だけは残したのが、iPhone 16eというわけだ。

 iPhone 16eは、廉価モデルとして販売されてきたiPhone SEの後継機とも言われているが、ドランス氏によると、その位置づけはやや異なるという。

  「iPhone 16eは、iPhone 16ファミリーの一員という意味でiPhone SEとは異なります。例えばディスプレー。iPhone SEから画面が大きくなっただけでなく、OLED(有機EL)の明るく鮮やかなディスプレーを採用するなど、最新iPhoneのテクノロジーが入っています。顔認証も使いやすく、耐久性も高まりました。衛星通信経由の緊急SOSや、衝突事故検知にも対応しています」

 ◇なぜこの時期に?

 一方、安価であることが特徴なのも確かだ。円安・ドル高の影響もあり、日本円での価格は10万円弱まで上がってしまったが、iPhone 16シリーズの中でもっとも買いやすいことに変わりはない。

 ドランス氏も「4月から新しい生活を始める新社会人や、初めてスマートフォンを使う人にもいい選択肢になる」と話す。4月が「年度初め」となるのは日本独自の習慣だが、ここに合わせて発売になったのも「たまたまではない」という。iPhone人気が高い日本での需要が高まる時期ということもあり、あえて投入を決めたようだ。

 この時期での発売は、「(継続販売中の)過去モデルにはない特徴」とドランス氏がアピールするAI機能「Apple Intelligence」の普及を図る狙いもありそうだ。日本語対応は4月の予定で、この意味でもiPhone 16eは絶妙なタイミングで投入された端末と言える。

 ◇初搭載のテクノロジーも

 基本的な機能はiPhone 16から受け継いでいるiPhone 16eだが、実はiPhone初となるテクノロジーも搭載する。アップルが独自開発した通信用のチップ(モデム)「C1」だ。

 搭載にあたっては各国の通信事業者とのすり合わせが必要になる領域だが、アップルは「55カ国、180以上の通信事業者と何年にもわたってテストをし、想像できるあらゆることをやった」という。

 モデムを独自開発したことで、自社開発のチップセット「A18」や、ソフトウエアとの密接な連携も可能になった。ドランス氏も「A18とのインテグレーション(統合)がうまくできている」と自信をのぞかせる。

 「日々の利用での通信速度が速いだけでなく、電力効率性も高くなりました。iPhone 16eは、iPhone SE比で約12時間、バッテリー駆動時間が伸びていますが、その一因もこのモデムにあります。また、モデムを小型化したことで、内部の設計に柔軟性を持たせることができ、結果として大きめのバッテリーを載せることも可能になりました」

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