【ホンダ・日産】経営統合破談の裏事情「上層部は車に対する熱量が低すぎる」「出世のためにルノーばかり…」日産関係者らの証言|ABEMA的ニュースショー

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“子会社案”に猛反発…日産とホンダの経営統合“破談”の裏事情「63人の役員が不要になる。決議されるわけがない」

 経営統合に向けた協議に入っていた、日産自動車とホンダ(本田技研工業)が“破談”になった。実現すれば、日産傘下の三菱自動車も加えて、販売台数は合計800万台超で、世界3位の巨大グループになるはずだった。

 日産自動車は、これまでもたびたび経営危機が報じられた。ルノーの資本参加で送り込まれたカルロス・ゴーン氏による日産改革は有名だが、その後もコロナ禍の2020年度に6712億円、そして2024年に800億円と記録的な大損益となった。時価総額を見ると、ホンダ6.7兆円、日産1.6兆円と、その差は4倍だ。

 しかし経済ジャーナリストの内田裕子氏は「日産がホンダに泣きついたと思う人も多いかもしれないが、実はそうではない。ホンダが生き残るために、日産を取り込もうとしたのが背景にある」と指摘する。

内田氏によれば、EV開発に生き残りを模索していたホンダが、先行する日産のEV技術を必要として、2024年3月にEVなどの開発を協業しようと、ホンダから日産に話を持ちかけたのがはじまりだった。そこから話が進み、あっという間に経営統合へ。内田氏は「急いだ背景のひとつに台湾企業の存在がある」と解説する。

 その台湾企業が、電子機器製造会社「鴻海(ホンハイ)精密工業」だ。iPhoneの製造を請け負うホンハイは、そのノウハウを生かしてEVとAIが融合した車、SDV(ソフトウエア・ディファインド・ビークル)の製造に着手。「タイヤの上にスマホが載っているような車」と表現されるSDVは、世界の自動車メーカーに新たな影響を与えると、期待されていた。

 もともと台湾に自動車メーカーを作るのが夢だったというホンハイが、目を付けたのがEVであり、日産だった。内田氏いわく、「ホンハイと日産が提携したら、ホンダにとっては元も子もない」といった事情と、「SDVをけん引し、世界市場を席巻するテスラ社の存在。その利益率は、もはやトヨタでもかなわない」ことから、ホンダは経営統合に急いだ。

 しかし、世界で9000人の人員削減などを掲げた日産の経営再建プランが進んでいない現状もあり、ホンダは日産の「子会社化」を提案したが、日産は反発した。「さまざまな理由がささやかれているが、本当のところは謎だ」(本田氏)。

 そもそも日産とホンダは、社風からものづくりの考え方まで、根本的に違うという。ホンダの創業者・本田宗一郎氏と仕事をした最後の世代で、大ヒットとなった5代目シビックのデザイン開発に携わった元デザイナーの藤井謙治氏は「ホンダはホンダで同じことをしてもダメだから、違うことをやるしかないと、本田宗一郎からも言われた。マネしたら怒られる」と回想する。

 藤井氏には宗一郎氏との思い出がある。「(新車種の)開発に私も携わっていた。そのクレイモデル(粘土模型)のリアコンビ(テールランプ)が、シルビア(日産の車種)にそっくりというか同じようだった。それを(宗一郎氏が)見た途端、怒り始めて、午前中にデザイン室に来て、夕方まで怒っていた。『75歳でこのエネルギーはなんなんだろう』。それが一番の宗一郎氏の印象。優しいおじいちゃんではなかった」。

 そこには、宗一郎氏のこだわりがあった。「選ばれるものを作らないと。同じものを作っていたら、(日産の方が)絶対営業力もあるだろうし、製造設備もいいだろうし、売れるわけがない。とにかく価値あるものを作らないとダメだ、その価値は同じじゃダメだ。デザインを描いても『これ新しいのか?』と聞かれる。とにかく今までにない新しいものを作らないと。その次に『これは何に役立つんだ?』と聞かれる。その2つは欠かせなかった」と、藤井氏は振り返る。

 今回の経営統合における相関図を内田氏が解説する。「日産は体力が弱り、少し前には大きな赤字を出し、『政府保証がついた融資も受けている。やばいのではないかと巷では言われるようになってきていた』一方、ホンダはEVをやりたいが後れを取っている状況がある。EVやテスラが先行しているSDVなど、将来の車の方向性は見えているが、ほど遠い。独自開発には莫大な資金もリスクもかかる。日産もEVは作っているが競争力がなく、企業体力も落ちている。一見Win-Winの関係になれる思惑があった」。

 一方で、ホンハイも日産を狙っている。「今まではアップルの生産を委託される下請けだったが、メーカーになりたいとEVに挑戦していきたい。頓挫した“アップルカー”も、作っていたのはホンハイではないかと言われている。台湾のユーロン(自動車メーカー)と組んでやったが、あまりにも技術力も競争力もブランド力もなく、日産と組むのが一番いいだろうと、ホンハイはルノーが持っている日産株を譲渡して欲しいと持ちかけたという話がある。ルノーは『日産株が安すぎて手放せない』『もっと日産の株が上がってからなら少しは考えてもいい』と保留にしている。もしホンハイと組み、アップルが付いたら、かなり株価は上がる。そういういろいろな思惑があった」。

 内田氏は取材を行い、破談になった背景を探った。「日産は膿出しをしていない。本当に利益を出せる筋肉質の会社になるには、工場の閉鎖や不採算の国からの撤退、大量のリストラが必要で、それにはばく大なお金がかかる。どこまで損が出るかが明確にならないうちに提携するのは、ホンダにとってリスクがありすぎると、おそらく株主からの大反対があったのではないか」と推察した。

 その後、ホンダ側は「子会社だったらいい」となったが、「それはさすがに(日産側も)急には受け止められない。日産の取締役会でも、63人の役員がほとんど要らなくなる提案を『いいね』と決議されるわけがない。そうして破談になったいうのが筋かな」と説明する。

日産は今後、ホンハイとの関係を強める可能性はあるのか。内田氏は現時点ではわからないとしつつも「日本の基幹産業である自動車業界をどうするのか、本気で考えないといけないところに来た。SDVの時代になっていく中で、内燃機関を持つ日本の業界を“ジャパンアライアンス”として、日本の独自技術を守る戦略で戦うのか」

 その一方「日産は根底から変えないといけない。取締役の刷新から、車作りの立て直し、販売網・サプライチェーンまで全部やり直さなければならない。そうするにはホンハイの力を借りて全く新しいフェーズに入っていく。目指すところはSDV、という方面に行くために組む。そこにアップルが入れってくれば、新しい価値が生まれて、株価は上昇するだろう」と指摘。

 しかしながら、「日産には国が財政投資している」という事実がある。「税金が非常に投入された会社で、日本の宝であるのは間違いない。それを外資系にポンと売るという、安易な話でいいのか。日本の中でしっかりと育てて、トヨタのアライアンス(ダイハツ、スバル、マツダなど)のように、日産も『日産の車らしさ』を研ぎ澄ませて、技術を守る方向も筋が通っている」。

 加えて、内田氏は「ホンダと日産が拙速な議論をして決裂して、何やっているんだろうと思う。そこで改めてテーブルについて、本当にアライアンスの方法はないのか、それぞれの身の丈を考えながら、もう一度協議してもいいのではないか」と、自身の考えを述べた。

内田社長退任後、日産はどう動くのか? 「ルノー・吉利連合」vs「ホンダ・鴻海・テスラ」…提携戦略の最終戦を考える

日産自動車は内田誠社長の退任に向けた調整を進め、今後の戦略に注目が集まる。ルノーとの提携強化や中国の吉利汽車との協力を背景に、日産はEV市場での競争力を維持できるか。日産の未来は、ポスト内田体制での革新と提携戦略にかかっている。

 日産の今後の戦略において、提携先はルノーや吉利に限られるわけではない。新たなパートナーシップを模索するなかで、台湾の鴻海精密工業(ホンハイ)やEV新興企業との協力、さらにはホンダとの再交渉といった選択肢が浮上している。

 鴻海との提携の可能性は依然として残っており、EV生産において強力な製造パートナーとなる可能性がある。鴻海は、日産との協業を進めることで、EV生産に特化した新たな事業モデルを展開し、世界的なサプライチェーンを活用できる。

 フィナンシャルタイムズによる報道によれば、日産の提携交渉にも注目が集まっている。ルノーが意図的に情報を流している可能性もあるが、2月18日に報じられたところによると、日産の内田社長が退任すればホンダが経営統合交渉を再開する意向があるとのことだ。さらに、2月21日には菅元首相を含むグループがテスラによる日産への出資計画を策定したとの報道もあったが、菅氏はその計画への関与を完全に否定している。

 内田社長の退任後、日産とホンダの提携交渉が再浮上する可能性がある。日経ビジネスによれば、日産関係者は「完全子会社かどうかは分からないが、ホンダの出資を受け入れる方向で協議が進むだろう」と語り、さらに鴻海や三菱自動車を加えた4社での協業も視野に入れていると報じている。両社は2024年8月に締結した覚書に基づき、EV分野での協業検討を続けており、電動化の進展において共通の戦略を打ち出せるかが今後の焦点となる。

 また、日産はその他のパートナーを模索する動きも予想される。特に、バッテリー技術や自動運転技術を持つEV新興メーカーやスタートアップとの連携が、日産の競争力を強化する重要な要素となる可能性がある。

 日産が今後も技術革新を続けるためには、単独での戦略推進だけではなく、これまでのルノーとのアライアンスをさらに強化し、急速に変化する市場環境に柔軟に対応することが求められる。

 ダイヤモンドオンラインによると、日産は3月6日に開催予定の指名委員会で、内田社長の解職および後任人事について議論する予定だ。ポスト内田体制が現実味を帯びるなかで、今後の日産の動向には注目が集まる。

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