違法行為を助長する「ダークウェブ」とは何か? その秘密と安全対策
インターネットは巨大な氷山に例えられることがある。水面上の先端部分は、グーグル、Bing、Yahoo!などの検索エンジンでインデックスされる「サーフェスウェブ」(表層ウェブ)だ。そのすぐ下に広がるのが「ディープウェブ(深層ウェブ)」であり、非公開のデータベースや会員制サービスなど、検索エンジンに表示されないコンテンツを含んでいる。そしてディープウェブのさらに奥深くには、Tor(トーア)のような特殊なブラウザを用いなければアクセスできない「ダークウェブ」が存在する。
ダークウェブは、抑圧的な体制下における内部告発者やジャーナリストの支援など、正当な目的に利用される側面もある。しかし同時に、違法行為を助長する場にもなっている。一般的なユーザーにとっては、そのメリットよりもリスクのほうが大きいのだ。
■ダークウェブはあなたに無関係な存在ではない
ダークウェブをまったく利用しないのであれば、本質的に直接的な危険はない。しかしその存在は、日常生活を送るユーザーにも影響を及ぼしている。たとえば、データ侵害によって個人情報が盗まれ、それがダークウェブ上で売買されることは珍しくない。そこにはユーザー名やパスワード、クレジットカードの情報、さらには医療記録までも含まれる。仮にダークウェブへアクセスした経験がなくても、自分の情報がすでにそこに流通している可能性があるのだ。
さらに、ダークウェブの「匿名性」や「闇市場」というイメージに興味をそそられた人々が、十分なリスクを知らないままアクセスし、マルウェアや詐欺、あるいは違法コンテンツに接触する例もある。こうした軽率な探索が、デジタル上だけでなく法的にも深刻な結果をもたらすリスクを高めている。
■ダークウェブで気をつけるべき主なリスク
・詐欺と不正行為
ダークウェブのマーケットプレイスの中には、不用心なユーザーを巧妙にだまして金銭を奪うことを目的とした詐欺サイトが多数存在する。公的な規制や監督がおよびにくいため、被害者は金銭的損失だけでなく、身元情報をサイバー犯罪者にさらすリスクも負うことになる。
・法的・倫理的リスク
意図せず違法なコンテンツに触れてしまうだけでも深刻な影響がある。また、ダークウェブの匿名性は有害な活動を隠蔽しやすくするため、倫理的な問題を引き起こすことが少なくない。
・不快なコンテンツ
閲覧過程で、精神的ショックをともなうようなコンテンツに遭遇する可能性がある。予備知識のないままアクセスすると、心に大きな傷を残すリスクが高い。
・不正な金融取引
ダークウェブでは暗号資産が多用されるため、詐欺やマネーロンダリングなどの不正な金融取引に巻き込まれる可能性が高い。
どうしてもダークウェブにアクセスする必要がある場合に押さえておきたい12の安全対策
■(どうしてもアクセスする必要がある場合に)ダークウェブを利用する際に押さえておきたい12の安全対策
1. Torに接続する前に、信頼できるノーログVPNを経由してインターネットトラフィックをルーティングすることを検討する。これにより、ISPからIPアドレスを隠蔽し、最初の接続を暗号化することで、ネットワークレベルの追跡を防ぐ。
2. 安全なOSを選択する。セキュリティと匿名性のために設計されたLinuxベースのシステム(Tailsなど)が推奨される。
3. データ漏洩と潜在的な追跡を防ぐために、JavaScriptをオフにし、ブラウザプラグインを避ける。
4. プラットフォームを特定されるのを防ぐため、ダークウェブと通常のインターネットの両方で同じアカウントにログインしない。ダークウェブとのやり取りが必要な場合は、個人メールアカウントを危険に晒さないために、一時的なメールアドレスを利用する。不正アクセスをより困難にするために、追加の認証手順(多要素認証)でアカウントを保護する。
5. 悪意のあるサイトやフィッシング詐欺を避けるために、信頼できる情報源を通じて.onionリンク(Torのための匿名サービスドメイン)の信頼性を確認する。有害または不快なコンテンツにつながる可能性のある不明な.onionディレクトリには近づかない。
6. 潜在的なリスクへの曝露を減らすために、セッション/訪問の時間と頻度を最小限に抑える。
7. 既知の脆弱性から保護するために、Torブラウザとオペレーティングシステムが定期的に更新されていることを確認する。
8. 潜在的な脅威を封じ込めるために、日常的に使用するデバイスとは別の専用ハードウェア上でダークウェブにアクセスすることを検討する。
9. マルウェアやその他の有害な要素が含まれている可能性があるため、どうしても必要な場合を除き、ファイルをダウンロードしない。
10. 不正なリモートアクセスを防ぐために、デバイスのウェブカメラを物理的にブロックすることを検討する。
11. 暗号資産は必要な場合にのみ使用し、詐欺を避けるために取引が安全に実行されていることを確認する。
12. HaveIBeenPwned.comのようなサービスを利用して認証情報を監視し、潜在的な漏洩を常に把握しておく。
