Appleが念願の自前通信チップ、25年のiPhone SEから クアルコム追い抜くための3カ年計画
米アップルがスマートフォン「iPhone」に、自社開発の通信用半導体(モデムチップ)を搭載する準備を進めていることが分かった。ただし現在、米半導体大手クアルコムから供給を受けている部品に比べて性能が劣る。
そのためアップルは2025年から3年がかりで計画を進め、最終的に2027年に完成させるモデムチップでクアルコムの技術を追い抜くことを目指している。
25年のiPhoneに初代モデム、26年の「iPhone 18」に第2世代品
米ブルームバーグ通信がこのほど報じた。それによると、アップルは2025年に約3年ぶりにiPhone SEの新製品(第4世代)を発売する計画で、これに同社初の自前モデムチップを搭載する計画だ。2025年後半には「iPhone 17(仮称)」シリーズを市場投入するが、同シリーズの中価格帯機種にも初代モデムを搭載する。
2026年には自社開発の第2世代モデムチップを搭載した「iPhone 18(仮称)」を発売する。iPhone 18では、より高価格帯の機種にも自社製モデムチップを採用する。この段階で性能をクアルコム製に大きく近づける。そして、最終段階となる2027年に第3世代モデムチップを開発して「iPhone 19(仮称)」に搭載する。
iPhoneやMac向けSoCの成功を再現
アップルがこうして3年をかけて自社製モデムの開発・導入計画を進める背景には、モデム開発の困難さがある。
同社は自社電子機器向け半導体の内製化を進めてきた。2010年には、CPU(中央演算処理装置)やGPU(画像処理半導体)などを1つにまとめた同社初のSoC(システム・オン・チップ)を開発し、タブレット端末「iPad」とiPhoneに搭載した。2020年からはパソコン「Mac」向けSoCを開発し、米インテル製からの切り替えを始めた。これら自前品によってもたらされる処理速度の向上やバッテリー駆動時間の延長によって、不振だったMac事業を立て直した。
このころのアップルには、iPhoneやMac向けに設計したSoCの成功を再現できるという確信があった。ただ、通信半導体は開発が非常に難しく、クアルコムや台湾聯発科技(メディアテック)、韓国サムスン電子といった数社しか製造できないといわれる。
クアルコムとの法廷闘争と和解、インテル通信半導体事業買収
一方、クアルコムとアップルは、特許使用料を巡り長期にわたる法廷闘争を繰り広げ、2019年に和解した経緯がある。このとき2社は長期の特許ライセンス契約と供給契約を結んだ。しかし、この年、アップルはインテルのスマホ向け通信半導体事業を10億ドル(当時の為替レートで約1100億円)で買収し、約2200人の従業員と特許資産を得た。それ以降、アップルはクアルコム依存からの脱却を目指してきた。
アップルは当初、「iPhone 15」に自社開発モデムを搭載する計画だった。だが、2022年末に行った動作試験で、速度が遅すぎることや過熱しやすいことなどが判明した。その回路基板は、iPhoneの半分を占有してしまうほど大きく、使えるものではなかった。
クアルコムとの調達契約、26年まで延長
そこで、アップルは2023年、同年が期限だったクアルコムとのモデム調達契約を3年延長した。その新たな期限が2026年である。すなわち、アップル製の第2世代モデムが完成し、iPhone 18に搭載する準備がと整うと同社が見込む年である。
ブルームバーグ通信によれば、アップルの第3世代モデムは「Prometheus(プロメテウス)」というコードネームで呼ばれている。前述した通り2027年の完成を目指している。アップルは、この部品のパフォーマンスとAI(人工知能)機能でクアルコムの技術を追い抜きたいと考えている。次世代衛星ネットワークをサポートする機能も組み込む予定だ。
「iPhone SE4」発売は間近か アウトレットで人気「SE2」から5年...驚きポイントは?予想価格は?
「iPhone SE4」の発売が間近に迫っているらしい、というネットニュースが増えてきた。
「らしい」というのは、Appleは公開イベントまで新製品の情報を明かさない企業だからだ。待ち望まれている「SE4」の現時点での情報も、真偽不明のリークも含めた「予想」に過ぎない。
しかし、それだけ大きな期待がかけられているのも事実である。筆者自身は、2020年4月発売の先々代機「SE2」を5年使い続けている。「SE4」に期待する点について整理しよう。
■SEシリーズの「小ささ」はやはり魅力
筆者の考えるSEシリーズの一番の魅力は「小ささ」だ。
10年ほど前に「ファブレット」という言葉が流行った。それはタブレットに近い画面サイズの大型スマホで、当時は月を追うごとにスマホが大きくなっていったほど。iPhoneもその流れに乗り、画面は大きく広くなっていった。
しかし、全てのiPhoneユーザーが製品の大型化を望んでいたわけではない。
ディスプレイのフルスクリーン化を考慮したとしても、やはりスマホは昔より図体が大きくなっている。それでは、ズボンのポケットに入れた時の違和感に直結してしまう。また、手の小さい人は大きなスマホを扱いづらいと感じることだろう。
SEシリーズは「昔のサイズのままでいい!」と考えているユーザーを上手く取り込んでいる印象がある。
望遠レンズは必要か?
カメラも同様だ。
いまや背面のカメラは、二眼、三眼が当たり前になった。たとえば、iPhone 16 Proの三眼レンズは「5倍の光学ズーム」の撮影に対応。光学ズームは、レンズの力で景色を拡大してくれる。そのため、粗のない望遠写真を撮影できる。
さらに、iPhone 16 Proは超広角レンズも搭載され、より幅広い範囲を撮影することも可能。デジタルカメラの売上が年々減っている理由もうなずける高機能だ。
しかし、そのようなカメラ性能は本当に万人が求めているものなのか?
日常生活の場面、たとえばQRコード決済を行ったり、「ホ方式」の身分証明(免許証等の券面を撮影する方式)を実施したりということであれば、広角レンズ1つで十分。望遠レンズや超広角レンズは、あくまでも「粗の少ない綺麗な写真を撮影する」ための嗜好品と表現してもいいだろう。
こうした機能を使えることは魅力だが、そのために本体価格が高くなってしまうのなら......と考えてしまう。
チップはハイエンドモデルと同等?
今現在囁かれている噂でも、SE4のカメラは広角レンズのみとされている。その一方で、ボディーサイズはiPhone 14をベースにしているため、筆者の使うSE2に比べると、画面サイズとともに一気に大型化する......と言われている。その上で、以下の特徴も噂される。
・iPhone 16と同等のA18チップ
・USB-Cケーブル対応
・Face ID対応
・ホームボタン廃止
SE2ユーザーから見れば、やはりチップの最新化は極めて大きい。これにより「5年分の遅れを取り戻せる」と言ってもいいだろう。
また、ホームボタンのTouch IDからFace IDにバトンタッチするとしたら、より堅牢かつ確実な本人確認がSEでもできるようになるかもしれない。
SE2は中古・アウトレット市場では人気の機種だったが、5Gには対応していなかった。SE4で5G対応が実現すれば、通信速度の向上が期待できるだろう。
ちなみに、筆者の「体感」になるが、3Gスマホから4Gスマホに切り替えた時には驚いた。
3G回線とは比べ物にならないほど高速だったからだ。SE2ユーザーがSE4に切り替えた場合、驚きの体験をまた味わえるだろうか。
円安の影響がここにも...
ただし、気になるのは販売価格。これは現在、批評家やメディアによって、かなりバラついている。たとえば、最安モデルが599ドル(約9万2000円)としているメディアもあれば、499ドル(約7万6500円)と予想しているメディアも......。
だが、いずれにせよ、日本での販売価格はそれまでのSEシリーズよりかなり高額になってしまうようだ。もちろん、円安の影響があるからだ。