「最新AI」で負担増えた?ミカンの自動選別前に最大5時間「手作業で選別」 効率化・収益化のジレンマ

「最新AI」で負担増えた?ミカンの自動選別前に最大5時間「手作業で選別」 効率化・収益化のジレンマ

国内有数のミカン生産地、熊本。4年前にAIを活用した最新の選果装置が導入されました。48種類に自動で選別でき、効率が格段に上がりましたが生産者の負担が増えた側面もあるそうです。一体どういうことなのでしょうか。

■「定時で帰れる」最新技術で選果効率アップ

熊本市西区河内町にあるミカンの選果場では、最新のAI装置を使ってミカンが選別されていきます。ミカンに当てた光の屈折具合などから甘さや酸っぱさがわかる仕組みです。

JA熊本果実連 吉田知貴 係長「この装置は果実の内容がわかります。モニターに映っているのがミカンの糖度と酸度の値」

さらに上下・左右・前後の6方向からミカンを撮影し、見た目のきれいさや腐れに繋がる傷みなどをAIがチェックしています。味や大きさ、見た目で48種類に自動で分けることができます。

吉田係長「以前は判定できなかったところまで判定できるようになっているので、かなり正確な選果ができる」

選果の効率も格段に上がりました。

吉田係長「以前は80人~100人の従業員がいたが今は60人ぐらいの従業員になった。選果終わりも以前と比べてかなり早くなり、定時で終わるようになった」

しかし、効率が上がったからといって収穫した全てのミカンを選果場に持ち込むことはできないといいます。一体なぜなのでしょうか。

■高まる需要とハードル「事前に選別しないと…」

吉田係長「『夢の恵み』が消費者から好調なので、できるだけ『夢の恵み』を出せるようにしています」

河内の最高ランクのミカン「夢の恵み」は、ランクが劣るミカンの倍ほどの価格で取引されます。

最高ランクの割合を増やすことが収入アップにつながりますが、AI装置で1日に選果できるのは約250トンに限られているため、生産者たちは収穫したミカンを自分たちで事前に選別しなければなりません。

JA熊本市柑橘部会 藤森稔 部会長「(事前に選別しないと)『夢の恵み』も少なくなるし、注文に対応できなくなるので家庭選果は大事」

また、AIが正確に選別するため最高ランクに選ばれるハードルも上がり、やみくもに持ち込むと最高ランクの割合が減って収入は上がらないため、選別の重要度が増しました。これが生産者の負担になっているのです。

ミカン生産者 福島徳秀さん「2トン車に100杯くらいちぎってきて、それを1回小屋におろして選果機にかけて、という作業で何度も運んだりしないといけない」

ミカン生産者の福島さんは、家族3人で事前に選別。傷などのチェックはすべて人の目で行い、長いときには5時間かかるといいます。

福島さん「腐敗したミカンの持ち込みが多いと点数も付かないし、自分の収入にも関わってくるので(事前の選別の)徹底は大事」

河内の選果場では持ち込んだミカンの品質によって生産者に点数が付けられ、点数が高い順に売り上げが分配されるため、事前の選別は欠かせません。選別の負担が、生産の抑制につながることが大きな課題となっています。

――選別が大変で生産量が増やせない?

福島さん「生産量が増えると選果の量も増えるので、それはあると思います」

この状況を改善しようと一部の生産者が始めたのが「共同選果」です。

■「共同選果」とは?

共同選果場では、9軒の生産者グループが共同でカメラ付きの選果装置を購入し、作業のほとんどを機械に任せています。

ミカン生産者 田中博文さん「4、5日に1回、半日ここに出てきて(選果作業をする)。それ以外はミカンを収穫したらここに持ってきて置いておくだけでいい」

負担軽減で、生産量の維持を目指します。

田中さん「(生産者減少により)1人当たりの生産量を増やす必要がある。家庭選果の負担が非常に大きくなるので、それをどうにか軽減できないかという取り組みです」

共同選果は、負担軽減への一つの手段。収入アップと生産量の維持に向け、JAと生産者の模索が続きます。

■「共同選果」のいまと課題

一部の生産者が取り組んでいる共同選果は、熊本県外の生産者からも注目されていて、視察に訪れる人も多いそうです。

ただコスト面で課題もあり、すべての生産者に共同選果を広めるのが目標という訳ではないそうです。

生産者たちに共通する目標は「生産量の維持」。

高齢の生産者は「事前の選別をせずにミカンを選果場に持ち込めるようにして生産量の維持を目指したい」としています。

「最新AI」導入で負担増えた?ミカンの自動選別前に最大5時間「手作業で選別」 効率化・収益化のジレンマ

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