初任給引き上げ、30万円台続々 人材獲得競争が激化 大手企業

初任給引き上げ、30万円台続々 人材獲得競争が激化 大手企業

 大手企業の間で、初任給引き上げの動きが加速している。

 業界を問わず人手不足が深刻化する中、優秀な若手を確保するのが狙いだ。大卒で月30万円台に乗せる企業も相次いでおり、人材獲得競争が一段と激しさを増してきた。

 「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは今年3月入社の新卒社員の初任給を3万円増やし33万円に、年収も1割増の500万円強とする。改定は2年ぶりで、柳井正会長兼社長は「世界水準で働く意欲や能力のある優秀な人材の抜てきを強化する」と強調する。

 金融機関では、東京海上日動火災保険が来年4月、転勤と転居を伴う場合の大卒で最大約41万円に増やす。三井住友銀行も3年ぶりの引き上げで来年4月入行の初任給を30万円に。大卒では4.5万円増額となる。

 今年4月入社では、明治安田生命保険が33.2万円(全国転勤あり、固定残業代込み)に2年連続で引き上げ。大和証券グループ本社は1万円増、岡三証券グループは5万円増でそれぞれ30万円に上げる予定だ。

 このほか三井物産や伊藤忠商事など大手商社は軒並み30万円超え。三菱商事は昨年4月入社から32.5万円に引き上げている。大成建設や西松建設、ノジマも来年度から30万円への増額を計画している。

 大企業中心に継続的な賃上げに取り組む姿勢が広がる中、各社が特に若年層に手厚く対応するのは、少子化の影響で人口が少ない上、中高年層と比べて定着率も低く、人材確保が難しいためだ。

 一方、低水準の給与に甘んじてきた就職氷河期世代など中高年層の賃上げ率は相対的に低いのが実情だ。第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストは、早期退職を募る企業が多いことも踏まえ、「年功序列賃金の崩壊が進んでいる」と指摘。消費の本格回復には、転職支援などで中高年層の所得を増やすことも必要だとの考えを示す。

月収の高さ 新入社員と逆転も?「初任給」30万円超えへ“本音”は【Nスタ解説】

社会人になって初めてもらう給与、「初任給」。いま、ユニクロなどの大手企業で初任給30万円超えの動きが広がっています。一方で大卒現役世代の月収はどう変化していくのでしょうか。

■ユニクロや大手銀行など「初任給」30万円超えに

南波雅俊キャスター:

新入社員の初任給について、大手企業などが引き上げる方針を発表しました。

▼ファーストリテイリング(2025年3月~)

新入社員の初任給:30万円から33万円に引き上げ。

1年目の年収は500万円強に。

▼三井住友銀行(2026年4月~)

大卒の初任給:25万5000円から30万円に引き上げ。

大手銀行で30万円台となるのは初。

大卒の初任給の推移を年代別で見ていきます。(厚労省・賃金構造基本統計調査より 全国平均)

【大卒 初任給の推移】

1996年:19万700円

2000年:19万3700円

2010年:19万7400円

2019年:21万200円

90年代から2010年までは20万円を下回っていました。ただ、2011年に初めて20万円を超えて、2014年以降はずっと20万円を超え、2019年には21万円台になっているということなんです。

また、1年目6月の給与平均も相当高くなっている印象です。

【1年目6月給与】

2020年:22万6000円

2021年:22万5400円

2022年:22万8500円

2023年:23万7300円

■「初任給」の引き上げ 一体なぜ?

なぜ初任給が上がっているのか、みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井才介チーフ日本経済エコノミストは、「少子化で人材獲得競争が激化している。企業は優秀な人材を確保したい狙いがある」と話しています。

一方で、就活生が求める初任給の額も変わってきています。

就活情報サイトを運営する「マイナビ」の調査では、2026年卒の就活生が求める“最低限ほしい初任給”は「22万円以上」と答えた割合が、前年より13.8ポイント増え、63%となっています。

理由として、「物価高など経済不安から求める金額が上昇しているのではないか」ということです。

日比麻音子キャスター:

大手企業を中心に初任給が上がっていますが、この状況をどのように見ていますか?

パナソニック社外取締役 ハロルド・ジョージ・メイさん:

最近、役員会に出てもこの話(初任給引き上げの話)がよく出るんです。やはり会社を動かすのは商品やサービスではなく、働いている方々なので、できるだけ優秀な人に来てほしいという気持ちもわかりますが、今、どこも人材不足ですよね。

ですが、「初任給」という言葉に少し気をつけないといけないと思います。

初任給は一つの入口なので、何かパフォーマンスを求めているわけでもなく、「入社すればこの金額がもらえます。初任給が高いうちの方が魅力的ですよ」と募集するのはわかります。

しかし、実は収入というのはそれだけではなく、それに加えて、「福利厚生」や「ボーナス」などもあります。ボーナスに関しては夏と冬の分があるので、これも足していかないといけない。あるいは「出世がどのぐらいできるのか」「食堂があるのか」「駅から近いのか」などいろんなことを考えないといけないんです。

なので、「初任給」というのは一つの目玉商品であって、その他がどうなっているのかも合わせて見ていかないといけないです。

でも今、色々な企業から「初任給引き上げ」の話が持ち上がっていて(人材の獲得)競争が激しくなっているのは間違いないです。

■初任給アップによる影響で40代~50代の賃上げはどうなる?

南波キャスター:

初任給以外の色々な要素が就職先選びでかかわってくるとは思いますが、一方で、大卒現役世代の平均月収と比べるとどうなってくるのか見ていきます。

2023年調査で、ボーナスなどを除いた6月の給与です。(厚労省・賃金構造基本統計調査より 全国平均)

【大卒現役世代の平均月収】

30歳~34歳:30万9000円

35歳~39歳:35万4100円

40歳~44歳:39万4700円

45歳~49歳:43万900円

50歳~54歳:47万3500円

こうなると、初任給との格差は今後どうなるのか。みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井さんによると…

新人の頃は初任給が上がる一方で、2~3年目などの指導係も賃上げはされると見ています。

(給与の)逆転現象が起きてしまうと、指導係の社員のモチベーションにも関わってきます。雇用も流動化しているので、転職してしまう人も出てくるかもしれません。

ただ、30代や40代~50代はどうなのか。

▼30代は「一定程度上がるのではないか」と見ていますが、▼40代~50代は「賃上げをしないのではないか」という見立てがあります。

この背景には、年功序列による“高収入”の社員や子育て・住宅ローンを抱えている社員が年収低下のリスクをとって転職する人は少ないと見ているわけなんです。なので、企業側は若手の賃金アップを優先したいと考えていると酒井さんは指摘しています。

今後の人材確保のために企業がすべきこととして、初任給アップはもちろん大事ですが、その後の賃金の伸びが期待できない場合、人材流出のおそれもあります。

みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井さんは「年功序列からの過渡期。年代にかかわらず成果に応じて賃金が上がる制度設計を企業が行うべき」と話していました。

日比キャスター:

働き方も多様化していますが、メイさんは経営の立場からこういった問題をどのように見ていますか?

ハロルド・ジョージ・メイさん:

もう一つの観点から言うと、メリハリをつける企業がどんどん出てくるんじゃないのかなと思います。

メリハリは何かというと、「成果をどれだけ出したら、これだけの対価もプラスで出します」という競争社会ではあるんですが、ビジネスというのは元々競争なので、競争の中でどれだけ成果が出せるのか。それに見合った対価を出すというようなメリハリがもっと出てくるのではないのかなと私は見ています。

日比キャスター:

働き手に対しても色々なチョイスを提案していくということも大事になっていくかもしれません。

三井住友銀行「初任給30万円」に引き上げに氷河期世代から恨み節…《実績あげた社員に還元して》の悲痛

メガバンクのひとつ「三井住友銀行」が2026年4月に入行する大学新卒の初任給を30万円に引き上げると、共同通信が報じた。

 同行の初任給引き上げは3年ぶり。現状の25.5万円から4.5万円引き上げるといい、大卒の初任給が30万円台となるのは大手行では初めてという。

 少子高齢化や人手不足を背景に人材の争奪戦が激化している新卒採用市場。今回の引き上げは優秀な学生の確保につなげる狙いがあるというのだが、確かにここ数年の新卒初任給は右肩上がりの傾向が続いている。

 一般財団法人「労務行政研究所」が昨年4月の新卒入社者の初任給を調査(東証プライム上場企業152社)したところ、初任給を「全学歴引き上げ」した企業は86.8%で、23年度集計時の70.7%から16.1ポイント上昇した。

 大卒初任給は23万9078円で、上昇額は「1万~1.2万円未満」と「1.4万~1.6万円未満」がいずれも14.4%で最多だったから、今回の三井住友の引き上げ額がいかに「破格」で「厚遇」なのかが分かるだろう。

■いくら働いても上がらなかった2000年代初めの頃は何だったのか

 当然、ネット上でも注目を集めている話題なのだが、景気のいい話という受け止めよりも沈んだ声が少なくない。

《賃上げといっても新卒初任給や若手ばかり。40~50代の氷河期世代は給料が上がらず、割を食っている》

《何も実績を上げていない新人に高賃金を払うのはどうなのか?それなら実績を上げた社員に還元してほしい。家庭を持ったり、子供を育てたりするのにはお金がかかるんだよ》

《最近の初任給の上がり方を見ていると、給料ってこんなに簡単に上がるんだなと。いくら働いても上がらなかった2000年代初めの頃は何だったのか》

 大学を卒業したら就職氷河期の真っただ中。ようやく職に就いたら、今度は派遣労働拡大でリストラ要因に位置づけられ、今に至っている人が少なくないのが40~50代だ。時代を悔やんでも仕方がないとはいえ、恨み節が漏れるのも無理はない。

🍎たったひとつの真実見抜く、見た目は大人、頭脳は子供、その名は名馬鹿ヒカル!🍏