LINE Pay台湾が上場、時価総額1600億円に--2021年から毎年黒字を維持
LINE Pay台湾が12月5日に台湾証券取引所へ上場した。公開価格は1株あたり508台湾ドル(約2348円)で、初日の取引終了時には509台湾ドル(約2353円)となり、わずかに初値を上回った。時価総額は346億台湾ドル(約1600億円)に達し、海外でLINEサービスを展開する関連企業として初めての株式公開となった。
LINE Pay台湾は2015年8月に台湾でモバイル決済サービスを始動して以降、利用者数や対応店舗を拡大し続けている。2024年9月時点で登録ユーザー数は1270万人超となり、台湾人口の半分以上をカバーしている。飲食店や商業施設、交通機関などを含め57万を超える場所で利用でき、すでに2021年以降は毎年黒字を維持している。こうした実績から、現地では大規模な決済インフラとして定着しているという。
今回の上場で、同社は単なる決済サービス事業者にとどまらず、積み重ねてきた決済関連データを生かして、国際的な決済マーケティング基盤へ進化することを目指すとしている。
「LINE Pay」は台湾でなぜ人気? No.1までの歩みと上場に向けての挑戦
台湾でNo.1のモバイル決済サービス(※1)「LINE Pay」を提供するLINEヤフーのグループ会社LINE Pay Taiwan Limitedが、2024年1月26日に台湾のEmerging Stock Board(ESB ※2)に上場しました。これから、台湾の証券取引所への上場に向けてさらに事業を拡大させていきます。
台湾でLINE Payはどのように利用され、またなぜ台湾No.1のモバイル決済サービスにまで成長できたのか。LINE Pay Taiwanの会長兼CEO Jeong Woong-Juに、LINE Pay Taiwanの事業の歩みと台湾でのサービスの特徴、これからの証券取引所上場に向けての意気込みを聞きました。
※1 台湾の金融商品比較プラットフォーム「Money101」の2023年9月の調査による。
※2 台湾の証券取引所である台湾証券取引所もしくは台北証券取引所に上場する前の企業の株式を扱う市場のことで、企業の透明性や知名度を高め、将来の成長に向け準備を整える場。ESBでの6カ月間の取引後、企業は台湾証券取引所または台北証券取引所への上場申請をする資格を得ることができる。
台湾人口の2人に1人が使う「LINE Pay」
――台湾でのLINE Payの利用状況を教えてください。
2024年4月現在、台湾でLINE Payは飲食店やショッピングモール、娯楽施設、交通機関など、52万以上の場所で使用することができ、加盟店カバー率、市場シェア、マインドシェアにおいて台湾でNo.1のモバイル決済サービスとなっています。
2023年時点で、台湾人口の2人に1人に相当する1,200万人以上のユーザーにLINE Payを利用いただいています。取引件数は9.2億件を超え、0.03秒ごとにLINE Payでの取引が行われています。取引金額においても前年比26.6%増の6,810億台湾ドル(約3.2兆円 ※3)以上に達し、毎年成長を続けています。
また、LINE Payで決済を行うと還元される「LINEポイント」も人気です。2023年には72億台湾ドル(約338億円 ※3)相当分のポイントを発行し、その利用率は100%と、大きな結果を残しました。
進む台湾のキャッシュレス市場
――台湾のキャッシュレス市場も成長しているのでしょうか。
2017年、台湾政府は「2025年までにキャッシュレス決済の普及率を90%にする」という目標を発表し、オフライン・オンラインでのキャッシュレス決済を活性化させる強い意志を示しました。決済場所の拡大はもちろん、中小企業にキャッシュレス決済の導入を促すため、統一インボイス(※4)の利用免除や、通常5%かかる営業税(※5)を1%に減免するなど、国を挙げて積極的な政策が推進されています。
台湾の金融監督管理委員会(日本の金融庁にあたる)によると、台湾における2023年末までのクレジットカードやプリペイドカードなどを含むキャッシュレス決済の取引件数は約69.12億件、取引金額は前年比17.8%増の約7.27兆台湾ドル(約34.2兆円 ※3)となり、市場自体も急速に成長している状況です。
※3 取材日の為替レートで計算。
※4 台湾で事業を行う際に発行しなければならない政府指定のインボイス。台湾で「統一發票」と呼ばれる。
※5 VAT(Value Added Tax) と呼ばれる日本の消費税にあたる付加価値税。
台湾でLINE PayがNo.1決済サービスとして支持される理由
――台湾のキャッシュレス市場も成長している中で、どのようにLINE Payは台湾No.1のサービスになることができたのでしょうか。
2015年にサービスをリリースしてから、台湾でLINE Payのエコシステムを構築するために、様々な分野に力を入れてきました。最大のポイントとなったのが、台湾の大手銀行と共同で作ったクレジットカードです。
2016年に、台湾の大手銀行の一つである「中国信託商業銀行」と提携し、「LINE Pay Co-brandカード」を発行しました。ユーザーはLINE Payでの支払いのたびに、LINEポイントを即座に受け取ることができ、1ポイント=1台湾ドル相当として次回の決済で利用することができます。発行当時は、国内の利用でも3%のポイント還元率を提供しており、同じような高還元のカードが他になかったため、大きな市場反応がありました。また、LINE FRIENDSキャラクターをカードのデザインに使用するなど、積極的なマーケティングキャンペーンを通じて着実に発行量を伸ばし、2023年には発行枚数540万枚を達成。台湾で最も発行枚数が多いカードとなりました。
このカードの成功に続いて、2019年には「台北富邦銀行」、「聯邦銀行」とも提携しクレジットカードを発行しました。2023年末には、これら3つのカードの発行枚数は合計で700万枚を超え、日々の決済によってLINEポイントが生み出され、LINE Payのエコシステムに重要な役割を果たしています。2024年の4月からは、さらなるエコシステム拡大に向け、新たに「永豊銀行」と提携しクレジットカードの発行をスタートさせました。
――マーケティングキャンペーンについて、詳しく教えてください。
LINE Payは「Everyday LINE Pay Day」というスローガンのもと、年600件以上のマーケティングキャンペーンを行っています。ユーザーと加盟店に「毎日特典を提供する」という目標を掲げて、日々パートナー企業とキャンペーンを実施してユーザーにLINEポイントを還元し、ポイント利用を促しています。
――年600件ものキャンペーンを実施とはすごいですね。1日2件のキャンペーンを実施している計算になりますが、どのように企画、実行を行なったのでしょうか?
最初から年600件以上のキャンペーンを実施できていたわけではありません。限られた予算と資源でキャンペーンを頻繁に実施するには、LINE Pay単独での運営では困難でした。そこで、まずLINE Payの広いユーザーベースを活用してプロモーションを行いたい企業を集めることに焦点を当てました。
予算やタイミング、ターゲットなど、パートナー企業のニーズに合わせたキャンペーンを計画し、実施後には結果分析を細かく行い、より良い結果を出すための改善策を提案するサイクルを数年に渡って繰り返してきました。こうした取り組みを通じてパートナー企業からの信頼を獲得し、2022年には600件以上のキャンペーンを実施することができました。以降、キャンペーンの数は年々増えています。
他の決済事業者の取引量が大きく落ち込んだ新型コロナウイルスの流行期間中でも、LINE Payはパートナー企業とのキャンペーンで取引量を増やし、さらに多くの企業と協力関係を築くことができました。
ひとつひとつの努力を積み重ねて得たユーザー基盤
――他にはどのようなサービスを提供しているのでしょうか?
ユーザーには、LINE Payを通じて保険料の支払いやクレジットカード、ローン、保険の検索・申し込みがワンストップでできる「ファイナンシャルプラットフォーム」や、加盟店の情報と最新の特典が地図上で確認でき、クーポンをダウンロードできる「トレジャーマップ」などを提供し、ユーザーの日々の生活が便利になるようサポートしています。
加盟店には「LINE Payマーケティングプラットフォーム」、「Good Partnerアプリ」といった、中小企業の加盟店や新規加盟店がLINE Payを利用したスムーズかつ効果的なマーケティング活動ができる環境を提供しています。
――ユーザー、加盟店の双方にメリットを提供するさまざまなサービスを通じて、LINE PayはNo.1のサービスになることができたのですね。
もともと台湾でも多くの人が「LINE」を使っており、新たにアプリをダウンロードすることなくLINE Payにアクセスできるという点で、LINE Payの参入ハードルが低かったというのも事実ではあります。ですが、決済サービスとしてのLINE Payを利用するには、ユーザーが自身の銀行やカード情報を登録し、決済を行う必要があります。このステップはユーザーにとっては大きなハードルで、LINE Payに十分な利便性やメリットを感じないと、このステップに進む人はなかなかいません。
いまお伝えしてきたように、銀行との提携カードの発行やパートナー企業とのキャンペーン、そのほかユーザーにとって便利でメリットのあるサービスを提供してきたという、ひとつひとつの努力が積み重なって、現在の1,200万人のユーザー基盤を築き上げることができたと思っています。
台湾独自の「3段バーコード」と人気の「スマートウォッチ機能」
――LINE Payの仕様や使われ方において、台湾ならではの特徴的なものはありますか?
台湾のLINE Payでは、ユーザーの使い方に合わせて決済画面を使い分けることができます。中でも特徴的なのは、コンビニやコーヒーショップなどのメンバーシップバーコード、請求書支払い用バーコード、決済用バーコードの3つを1ページに表示させる3段バーコードです。初期のころは、ユーザーは決済のたびに別アプリでメンバーシップカードを提示してその後にLINE Payのバーコードを提示するといった、画面を使い分ける必要があり、ユーザーからの不便さを訴える声が多くありました。そこで、ユーザーからのバーコードを1つにまとめる改善案をもとに、3段バーコードの開発が行われました。
初めはUI・UXの観点から、3つのバーコードをまとめて表示させることに対して社内からの反発もありましたが、何よりも日々サービスを利用しているユーザーの声が大事だと考え、実現に至りました。今ではこの3段バーコードの仕様は多くのユーザーから好評を得ています。メンバーシップカードに関しては、ユーザーがLINE Pay以外の決済手段を使った場合でもLINE Payのバーコードを利用することが可能で、とても便利だという声をいただいています。
LINE Pay Taiwanでは日頃からユーザーの声を大切にしていて、毎週ユーザーの声をレビューする会議を行っています。このようにユーザーの声を受けて市場のニーズに合った改善を行い、それがよい評価を得た時はとても嬉しく思いますし、これからも大事にしていきたいと思っています。
また、2023年6月にリリースした「スマートウォッチ機能」は、特に台湾の大学生や若いユーザーから歓迎されました。若いユーザーはおしゃれでかっこよく見えることを好み、他の人とは違うユニークなスタイルを求める傾向があります。台湾ではApple Watchの人気も高く、Apple Watchで決済ができることが魅力的だったようです。また、台湾では多くの人たちがバイクを日常的に運転しているため、携帯を取り出すことなく、スマートウォッチだけでガソリンの支払いができる便利さも評価されています。
台湾の証券取引所上場に向けての挑戦
――これからの証券取引所への上場に向けて意気込みを教えてください。
私たちLINE Pay Taiwanは今後、台湾の証券取引所への正式上場を目標としています。一方で、これまでLINE Pay Taiwanはキャッシュレス市場の中で唯一黒字成長を続けてきたため、これ以上の成長は難しいのではないかという疑問の声もあります。今年は私たちにとって挑戦の年になりますが、市場の懸念を払拭し、より強い信頼をパートナー企業、ユーザーと築いてサービスを成長させることで、証券取引所への上場を成功させたいと思っています。
この成功のためには、より多くの決済場所を提供し、ユーザーと加盟店に魅力的なオファーを増やしていきます。また、インバウンド・アウトバウンド事業にも注力していきます。ユーザーの台湾国内外でのより良い決済体験のため、韓国最大手のカード会社や、免税店との提携を進めている最中です。
そして随時ユーザーの生活を分析して声を拾い、サービス改善を通じてより良い生活体験を提供していきたいと考えています。
そして、証券取引所上場後には、LINE Pay Taiwanはこれまでの10年間で築いたユーザーとのエコシステムを基盤に、次の10年で加盟店、特に中小企業加盟店とのエコシステムを構築することを目標としています。このユーザーと加盟店の両方のエコシステムが合わさる時、本当の意味でのLINE Payのエコシステムが完成すると思っています。LINE Payがユーザーと加盟店の一部となり、ユーザーの生活が便利になり加盟店のビジネスも向上すると、LINE Pay自体もさらに成長するという持続可能なシステムの構築を目指したいと思っています。
日本国内における「LINE Pay」サービス終了に関するお知らせ
2025年4月30日(水)にサービス終了、 ご希望によりPayPay残高へ移行できる機能の提供も予定
LINEヤフー株式会社(以下、LINEヤフー)とLINE Pay株式会社(以下、LINE Pay)は、日本国内におけるモバイル送金(送付)・決済サービス「LINE Pay」を2025年4月30日(水)までに順次終了することをお知らせします。タイおよび台湾の「LINE Pay」は、本サービス終了の対象外であり、サービスは継続されます。
LINE Payユーザーの皆さまには、これまでの長年にわたるご愛顧心より感謝申し上げます。
日本国内の「LINE Pay」における決済サービスは、一部を除き2025年4月下旬(※1)までご利用いただけます。
また、今後希望するユーザー向けに「LINE Pay」の残高をPayPay残高に移行できる機能の提供を予定しています。「PayPay」へ残高を移行することで、「PayPay」の加盟店でのお支払いなどを引き続きご利用いただけます。
PayPay残高への移行機能の手続きの詳細は、2025年2月末までに特設サイトにてご案内いたします。
なお、「LINE Pay」サービス終了後(2025年5月以降)の「LINE Pay」の残高に関しては、LINE Payアカウント(※2)の種類を問わず、資金決済法第20条第1項、および第61条第5項に基づくユーザーへの払い戻しを予定しています。
※1 日本国内における「LINE Pay」の新規のユーザー登録に関しては、2024年11月下旬までを予定しています。
※2 LINE Payアカウントには、「LINE Pay」の利用規約に同意することで開設できる「LINE Cashアカウント」と本人確認が必要な「LINE Moneyアカウント」の2種類があり、利用可能な機能や限度額が異なります。
本サービス終了の背景
LINE Payは、LINEユーザーなら誰でも簡単に始めることができる送金(送付)・決済サービス「LINE Pay」の提供を、2014年12月より日本国内にて開始しました。サービスの提供開始以来、オンライン・オフラインでの多様な決済手段の提供に加え、送金サービスやシームレスな本人確認サービスなどが幅広い層のユーザーに支持され、2024年5月時点で国内登録者数は4,400万人を超えました。
2024年12月には、「LINE Pay」のサービス提供開始から10周年という節目をひかえ、次の10年を見据えた事業の展開とユーザーへの提供価値を模索してきました。
また、LINEヤフーは、グループシナジーの拡大に向け事業を再編し、重複していた事業領域を一本化するなど金融領域において経営資源の選択と集中を進めてきました。
このたび、「LINE Pay」を取り巻く環境の変化やLINEヤフーグループとしての最適な経営資源の配分などを検討した結果、国内の送金・決済サービス領域は「PayPay」に一本化し、国内における「LINE Pay」サービスを終了することとしました。なお、両社の提供サービスが重複するため、LINE PayからPayPay株式会社への事業譲渡は行わず、希望者への残高移行のみを実施予定です。また、一部事業についてはLINEヤフーに継承します。
各サービスの終了時期とサービス終了に伴う変更点等
対象サービスの終了期間、変更内容は以下の通りです。なお、マイナンバーカードを利用した本人確認を提供する「LINE Pay 公的個人認証サービス(JPKI)」と「LINEポイント」はLINEヤフーに事業継承され、サービスの提供は継続されます。
特設サイトに関して
各サービスのご利用期限やお問い合わせ窓口などに関しては、本日より特設サイトを通じてご案内します。
LINEヤフーでは、国内の送金・決済サービス領域を「PayPay」に一本化し、LINEヤフーの金融事業との連携をさらに強化させることで、今後も驚きと感動を与えるユーザー体験を提供してまいります。
スマホ決済「LINE Pay」 国内でのサービスを来年4月末で終了へ
LINEヤフーは、スマホ決済「LINE Pay」の国内でのサービスを来年4月末で終了すると発表しました。残高は同じグループで展開する「PayPay」に移行できるとしています。
発表によりますとLINEヤフーは、スマホ決済「LINE Pay」の国内でのサービスを来年4月30日に終了するということです。
同じグループ内でスマホ決済の「PayPay」を展開していることから、重複する事業を一本化するため、サービスの終了を決めたとしています。
また、「LINE Pay」のクレジットカードとプリペイドカードのサービスも終了するということです。
「LINE Pay」は2014年にサービスを開始し、会社によりますと現在の登録者は4400万人となっていますが、希望に応じてPayPayに残高を移行するほか、払い戻しの対応も行うということです。
一方、台湾とタイで展開している海外でのサービスは続けるとしています。
スマホ決済サービスをめぐっては、ポイント経済圏も絡んだ各社の囲い込み競争が激しさを増していて、会社はサービスの一本化によって経営資源を集中し、競争力を高めるねらいがあります。
「LINE Pay」終了で「PayPay」に一本化、それでも残るLINEヤフーの課題
LINEヤフーは日本国内におけるスマートフォン決済サービス「LINE Pay」を終了し、同様のサービスである「PayPay」に一本化する。LINE Payの整理がようやく進んだが、LINEヤフーの真の実力を発揮する上では、解決できていない課題がある。
既定路線ながら時間がかかったLINE Pay終了
メッセンジャーアプリ「LINE」と連携したスマホ決済サービスとして知られるLINEヤフーのLINE Pay。そのLINE Payが日本でのサービスを終了すると2024年6月13日に発表され、大きな話題となった。
発表によると、LINE Payは2025年4月30日までにサービスを順次終了させる。現在LINE Payを利用している人には、LINEヤフー傘下のスマホ決済サービスPayPayに、LINE Payの残高を移行できる機能を提供するとしている。
またLINE Payで利用できる「LINEポイント」は、LINE Pay終了後も引き続き使える。台湾やタイで提供しているLINE Payは継続される。ユーザーに対する影響を最小限に抑えようとしている様子がうかがえる。
LINE Payは、およそ10年前の2014年から提供されている、この分野では老舗ともいえるサービスである。しかも日本で多くのユーザーがいるLINEで利用できることもあって、多くの利用者を抱えていた。それだけに、LINE Payの終了を驚く声は多かったようだ。
とはいうものの、国内でのLINE Payの終了は既定路線だったことも確かだ。経営統合前の旧LINE陣営がLINE Payを、旧Zホールディングス陣営がPayPayを提供しており、2021年3月1日の経営統合の際には、LINE PayをPayPayに統合するべく協議を開始すると発表していた。それから既に3年以上が経過して、今回やっとLINE Payの終了を発表した。かなり時間がかかった印象だ。
競争の軸は決済から経済圏へ
なぜこれほど時間がかかったのか。その理由は、旧LINE側と旧Zホールディングス側との力関係にあったといえる。現在のLINEヤフーの親会社は、旧LINEの親会社だった韓国NAVER(ネイバー)と、旧Zホールディングスの親会社だったソフトバンクが対等な比率で株式を持ち合った。この対等な関係での合併が、事業の整理を難しくすることになった。
旧LINEと旧Zホールディングスは多くの事業が重複していたにもかかわらず、経営統合後も事業が整理されず効率化が進まないなど、事業環境がむしろ悪化する状況が続いていた。そのことに業を煮やした親会社の影響もあり、2023年10月にはLINEヤフーとして1つの会社に統合された。
ついにLINEペイも撤退、瓦解するLINEの金融事業
LINEが描いてきた「経済圏」は画餅に終わるか
スマホ決済事業者がまたひとつ、淘汰される。LINEヤフーは6月13日、日本国内におけるスマホ決済「LINEペイ」を2025年4月末で終了すると発表した。
他社に先駆けてスマホ決済市場を開拓してきたLINEペイ。だが、先行者利益を享受できぬまま、後発組のPayPayにあっけなく打倒された。金融事業の中では比較的健闘していたLINEペイの終了により、LINEが描いてきた「経済圏」の夢はいよいよついえた。
隅に追いやられたLINEペイ
「時間の問題だった」。決済業界関係者の反応は冷ややかだ。
2021年にヤフーとLINEが経営統合を果たして以降、LINEペイは微妙な立場に追いやられていた。PayPayが事業セグメントとしての地位を確立する一方、LINEペイは「その他金融」と十把一絡げにくくられた。
2022年7月には、店頭に設置するQRコードをPayPayに一本化し、LINEペイのQRコード決済サービスは終了した。親会社がPayPayを決済事業の主軸に据えている姿勢は、誰の目にも明らかだった。
PayPayはLINEペイより4年遅い2018年10月にサービスを開始した。広告費や還元キャンペーンに巨額の資金を投じ、2年足らずでLINEペイの売上高を追い抜いた。その後も勢いは止まらず、2024年3月期にはカード子会社と合わせた連結売上高が2000億円を突破。足踏みが続くLINEペイとの差は広がる一方だった。
だが、LINEペイの敗因は、グループにおける決済事業の集約だけが理由ではない。LINEが若年層向けの金融サービスを入り口に「経済圏」の構築をもくろむ中、PayPayが仕掛けた「QRコード決済旋風」に巻きこまれた事実も見逃せない。
「スマホのおサイフサービス」。LINEペイが産声を上げたのは2014年末。当時、力点を置いていたのは「送金」だった。LINEでつながる友人向けに電子マネーを送れる機能で、使用シーンは主に飲み会での割り勘を想定していた。
決済機能も搭載してはいたものの、念頭にあったのはネット通販だ。LINEの主な利用者である若年層は、銀行口座やクレジットカードを持たない人も多い。そこで、現金をLINEペイにチャージし、ネット通販での支払いに使われる需要を見込んだ。黎明期の加盟店も、ZOZOTOWN(ゾゾタウン)など若者向けのアパレル通販が目立つ。
行く手を阻んだPayPayの猛攻
2016年には実店舗での利用も可能になるが、LINEペイが打ち出したのはスマホ決済だけでなく、LINEペイの残高に連動するプリペイドカードだった。やはり、クレジットカードを持たない層を意識したサービスだ。LINEペイはQRコード決済の普及よりも、信用力の低い若年層に金融サービスを提供し、自らの「経済圏」に引き込むことを主眼とした。
実際、LINEは2018年頃から広告に次ぐ収益柱として金融事業を掲げている。1月に金融持株会社であるLINEフィナンシャルを立ち上げると、6月には野村ホールディングス(HD)と合弁でLINE証券を設立。11月にはみずほフィナンシャルグループと共同でLINEバンクの構想も発表した。
とりわけ決済という身近な金融サービスを提供するLINEペイは、若年層とLINE経済圏との接点を生む「先兵役」となるはずだった。銀行や証券など、経済圏の構築に必要なパーツがそろいつつあった矢先、その行く手を阻んだのがPayPayの猛攻だ。
PayPayが電撃戦に打って出た実店舗でのQRコード決済は、加盟店舗数の少なさというLINEペイの「急所」を突いた。PayPay上陸前夜の2017年末時点で、LINEペイの加盟店舗数は自動販売機やネット通販を含めても数万拠点。数百万単位で競う昨今のスマホ決済サービスとは歴然の差だ。
「2017年の年間決済高は4500億円超、アカウント登録者数は4000万人」。当時、LINEはLINEペイの利用実績をこう強調したが、いずれも事業が好調な台湾なども含めた数値だ。国内事業を管轄するLINEペイの単体売上高は、2017年12月期でさえわずか2.1億円にとどまった。
PayPayとの競争が本格化した2018年はLINEペイも加盟店の開拓を急ぎ、年末には133万拠点まで増えた。だが、コード決済が利用できる店舗はほんの一部。増加分の大半は、JCBの「クイックペイ」での支払い時にLINEペイの残高が利用できるようになっただけの店舗だ。対するPayPayはどぶ板営業で攻勢をかけ、わずか半年で加盟店舗数を50万まで伸ばした。LINEペイの先行者利益は瞬く間に霧散した。
PayPayは決済市場での地位を固めつつ、やがてLINEの金融事業全体を侵食していく。2018年11月には早速、加盟店向けの決済サービスでジャパンネット銀行(現PayPay銀行)と提携し、2020年にはスマホ証券のOne Tap BUYがソフトバンク傘下に入り、翌年にはPayPay証券へと鞍替えした。
その後もカードや保険、資産運用会社などがPayPayの名を冠してグループに集結。かたやLINEの金融子会社は続々と撤退に追い込まれ、昨年秋には金融持株会社のLINEフィナンシャルも消滅した。
難しい若年層向けの金融サービス
5月にはNFT(非代替性トークン)取引を扱うLINEネクストがLINEヤフーの連結から切り離された。残されたLINEの金融事業は、無担保ローンのLINEクレジットや暗号資産取引のLINEジェネシスなどごくわずか。2社とも開業以来赤字が続いており、いつ撤退が表明されてもおかしくはない。
メッセージアプリを通じて1億人弱のユーザーを抱えながらも、金融事業の収益化につなげられなかったLINE。ある銀行関係者は「若年層向けの金融サービスは鬼門だ」と指摘する。信用力に乏しい若者には大口融資ができず、いざ貸し出せば焦げ付きが頻発する。保有資産も少なく、証券取引や資産運用で手数料を稼ぐこともままならない、というわけだ。金融業界にとっての空白地帯に照準を定めたLINEだったが、経済圏構想はついに実を結ばなかった。
今後、LINEヤフーはPayPayを軸に金融事業を深耕する。老若男女に無差別投下した広告やキャンペーンが奏功し、PayPayの連結決算は増収・赤字縮小基調にある。PayPay銀行も住宅ローンというコモディティー商品を低金利で提供し、躍進が続く。現実路線を歩むPayPay経済圏は、LINEの挫折が遺した教訓を生かせるかも問われている。
決済サービス「LINE Pay」、第三者の不正利用による損害額をLINEが補償する制度導入
新たに導入された利用者補償制度は、2月1日の適用以降、LINE Payユーザーが第三者による不正利用によって損害を被った場合、LINEが損害額を補償するというもの。ユーザーは、特別な申し込み・費用は一切不要となっている。
補償範囲は、LINE Pay上で行われた全ての金銭移動(送金・決済・出金)が対象となり、ユーザーは、不正利用の発生から30日以内にLINEサイト・アプリ内の問題報告フォームより申告することにより、損害金額の補償が受けられる。
補償限度額は、本人確認を行っていないユーザーの補償限度額はチャージ限度額である10万円、本人確認を行ったユーザーで損害額が10万円を超えている場合には、ユーザーの利用状況や警察当局による捜査結果などを踏まえ、補償限度額の引き上げを個別に検討する。
LINE Payは、2014年12月にリリースされた、個人間の送金やショップでの決済ができるサービス。ECサイト・デジタルコンテンツ販売サイト・アプリ事業者などを対象に、ショップからの加盟受付も行っている。
加盟店手数料は、導入から2年間は月間決済額100万円まで0%、100万円超えた分については物販が3.45%、デジタルコンテンツが5.5%が基本となっている。LINE Payの導入により、会員やクレジットカード情報の入力の手間が省けたり、LINEからのユーザーの流入が期待できる。
LINEペイ、決済関連情報13万3000件がネット上に漏洩
LINE傘下でスマートフォン決済大手のLINEペイ(東京・品川)は6日、約13万3千件の決済の関連情報が漏洩し、インターネット上で閲覧できる状態になっていたと発表した。ポイントに関する調査を実施した際に、決済関連情報をソフトウエア開発者向けサイト「ギットハブ」にアップロードしてしまったと説明している。現時点で情報漏洩の被害は確認されていないという。
漏洩したのは、2020年12月26日から21年4月2日の期間に特定のキャンペーンに参加した、台湾やタイを含む国内外の利用者の情報約13万3千件。このうち国内利用者の情報は約5万1500件だった。漏洩した情報には11件のアクセスが確認されたという。
漏洩した情報のなかには、利用者の名前や住所、電話番号、クレジットカード番号は含まれていない。ただ、決済の日時や金額のほか、ユーザーと加盟店の識別情報が含まれており、LINEペイは、外部に漏洩した情報を解析すると、利用者の名前などの情報を取得できる可能性もあるとしている。
LINEペイの国内の利用者は6月時点で約4000万人。LINEペイは「ご迷惑をおかけし深くおわび申し上げます」とコメントしている。LINEペイは決済関連情報をネット上から削除し、対象となる利用者には通知している。
LINEペイを巡っては11月に二重決済トラブルなどが起きており、決済を巡るトラブルが相次いでいる。
LINEヤフー情報漏えい問題 総務省 経営体制に踏み込む行政指導
LINEの利用者の情報など、およそ51万件が漏えいしたとみられる問題で、総務省は、LINEヤフーに対し行政指導を行いました。漏えいの原因となった韓国の企業との資本関係も含めて、経営体制を見直す検討を求める異例の内容となっています。
LINEヤフーは、韓国のIT企業「ネイバー」で、業務委託先の会社がサイバー攻撃を受け、2023年11月にLINEの利用者や取引先の情報など、およそ44万件が漏えいした疑いがあると公表し、その後の調査で、件数が51万9000件に拡大したことを、ことし2月に明らかにしました。
この問題で、総務省は5日、LINEヤフーの出澤剛社長を呼び、通信の秘密の保護を定めた電気通信事業法に基づき、再発防止を求める行政指導を行いました。
さらに、行政指導では、
▽ネイバーに対する管理監督が不十分であり
▽その背景として、LINEヤフーの親会社にネイバーが50%出資している今の資本関係が影響していると指摘しました。
そのうえで会社に対し、今の資本関係も含めて経営体制の見直しを検討し、ネイバーとともに50%出資する通信大手のソフトバンクに対しても、必要な働きかけをするよう求めました。
総務省が行政指導で経営体制にまで踏み込む、異例の内容となっています。
LINEヤフーは「総務省からの行政指導を踏まえ、セキュリティガバナンス体制の強化に向けて検討します」とコメントしています。
LINEヤフー 出澤社長「安心して利用できる環境を作る」
行政指導の文書を受け取ったあと、LINEヤフーの出澤剛社長は記者団に対し、「ユーザーの皆様、関係者の皆様に多大なるご迷惑をおかけし、心よりおわびを申し上げます。いただいた指導をしっかりと実施して、再発防止に努めて、ユーザーの皆様に安心してご利用いただけるような環境を全社をあげてしっかり作ってまいります」と述べました。
松本総務相「より強い措置視野に監督」
松本総務大臣は5日の閣議のあとの会見で「改善がみられず同様の事案が発生する場合には、より強い措置も視野に入れ、監督していく」と述べ、総務省は、改善策の状況について今後、報告を求めることにしています。
過去にも個人情報の管理めぐる問題
利用者の数が去年12月末時点で9600万人にのぼるLINEをめぐっては、運営会社による個人情報の管理をめぐる問題が過去にも明らかになっています。
2021年3月には、システム管理を委託していた中国の会社の技術者4人が日本国内のサーバーに保管されている利用者の名前や電話番号などの個人情報にアクセスできる状態になっていたことが明らかになりました。
これを受けて、総務省は2021年4月、会社の管理体制や利用者への説明が十分ではなかったとして、当時の運営会社の「LINE」に対して電気通信事業法に基づいて行政指導を行っています。
さらに、これとは別に、LINEの画像や動画のほか、スマホ決済の「LINEPay」の取引状況などが韓国のデータセンターで管理されていたことも明らかになりました。
当時の親会社の「Zホールディングス」は、有識者による委員会を設置して原因の調査などを行い、データの国内移転など再発防止策の実施を進めてきたとしています。
一方、その後、明らかになった今回の情報漏えい問題では、現在の運営会社の「LINEヤフー」は先月、委託先の情報管理の強化や従業員情報を扱う認証基盤をネイバーと分離することなど再発防止策をまとめましたが、すべての対策を終えるのは2026年12月になるとして、早急な情報管理の徹底が求められていました。
LINEヤフー いまも「ネイバー」と間接的な資本関係
LINEはグループの再編などに伴って運営会社の形が変わりましたが、いまもLINEヤフーと韓国のIT企業「ネイバー」は間接的な資本関係にあります。
LINEは2011年に国内でサービスが開始され、当時の運営会社「NHNジャパン」は韓国のIT企業「ネイバー」の子会社でした。
2013年には「NHNジャパン」は「LINE」に社名を変更しましたが、ネイバーとの資本関係は維持されました。
その後、2021年3月にLINEとヤフーが経営統合し、さらにグループ再編を経て、2023年にLINEの運営会社が今の「LINEヤフー」となりました。
LINEヤフーの親会社は中間持ち株会社の「Aホールディングス」で、この親会社にはネイバーと通信大手のソフトバンクがそれぞれ50%出資し、いまもネイバーは間接的な資本関係にあります。
