アメリカ大統領選挙・トランプ氏が勝利宣言「見たこともない勝利」激戦州でも次々勝利しハリス氏を終始リード

アメリカ大統領選挙・トランプ氏が勝利宣言「見たこともない勝利」激戦州でも次々勝利しハリス氏を終始リード

 5日(日本時間6日)に投開票が行われたアメリカ大統領選挙で、共和党のトランプ候補が、陣営会場で勝利宣言を行った。選挙直前まで、情勢は全くの互角と見られていたが、投開票が進むに連れてトランプ氏がリードを拡大。激戦州でも勝利を収め、予想よりも早くトランプ優勢と各種メディアも報じていた。

 トランプ氏は、支持者の前で「みなさんに御礼を申し上げたい。みなさんは友だちです。数千人の友だちがここに集まってくれた。今まで見たことがないような運動が起きた。私たちは国を癒やしていく。私たちの国は必死に助けを必要としている。 

 全ての問題を解決していく。今回の勝利には意味がある。あらゆる壁を乗り越えてきた。それは不可能だと見てきました。もっとも素晴らしい政治的な勝利を成し遂げた。これは政治的な勝利だ。私たちが見たことがないような勝利だ。 第47代大統領に私は当選した」と感謝と共に勝利宣言を述べた。

 また、「全ての市民のため、家族のため、 みなさんの未来のために毎日戦っていく。 全身全霊をかけた戦っていく。強くて反映で安定なアメリカをもたらすまで仕事をやめることはない。 今、アメリカは黄金時代だ。本当に素晴らしいアメリカ国民のための勝利だ。再びアメリカを偉大にする勝利だ。 激戦州、ノールカロライナでも勝った、 ジョージア州、ペンシルベニア州、ウィスコンシン州でも勝った。

 現在、ミシガン、アリゾナ、ネバダ、アラスカの結果を待っている。少なくとも315人の選挙人を獲得するだろう。テレビ局が様々な予測をしたが、それよりも大きな形で勝利をしている。また私たちは得票数でもハリス候補を上回っている。得票数にとても満足している。本当に愛情に満ちた、みなさんの気持ちを感じている」と強調した。

「米国の黄金時代到来」 トランプ氏の早々「勝利宣言」に会場歓喜

 5日投開票の米大統領選では、共和党のドナルド・トランプ前大統領(78)が民主党のカマラ・ハリス副大統領(60)を破り、当選を確実にした。米主要各メディアの報道に先行し、トランプ氏は6日未明、早々と「勝利」を宣言した。

 南部フロリダ州ウェストパームビーチ。6日午前2時25分ごろ、ライブ中継されている会場に、カントリー音楽の大物リー・グリーンウッドさんによる「ゴッド・ブレス・ザ・USA」(米国に神の祝福を)が流れた。トランプ氏が登場すると、支持者らは撮影のため一斉にスマートフォンを向けた。

 「今夜、私たちは歴史を作った。今まで目にしたことがない政治的な勝利だ。第47代大統領に選出されたという素晴らしい名誉を米国民に感謝したい」。トランプ氏がこう語りかけると、会場は拍手と歓声で沸いた。

 副大統領候補のバンス連邦上院議員らのスピーチも交え、演説は約25分間続いた。トランプ氏は支持者を前に「命をかけて、毎日皆さんのために戦う」と訴え、「強く、安全で、繁栄した米国を実現するまで休むつもりはない。米国に真の黄金時代が到来する」と強調。「米国民にとって見事な勝利で、米国を再び偉大にする」とアピールした。

 大統領選と同時実施された連邦議会の上下両院選では、共和党が上院で4年ぶりに多数派を民主党から奪還した。トランプ氏はこれにも満足感を示し、下院でも自党が多数派を維持するとの自信を示した。

 米メディアはこれまでに、トランプ氏が激戦7州のうち、南部ノースカロライナ州、ジョージア州、東部ペンシルベニア州の3州で勝利を確実にしたと報じた。

 民主党支持者が多い東部ニューヨーク州はハリス氏が制したものの、ここでもトランプ氏は前回2020年大統領選よりも得票率を伸ばしている模様だ。

 背景の一つは、バイデン政権に対する経済面での不満だ。ニューヨーク市でクリーニング店を営むヌラル・アラムさん(49)はこれまでの大統領選では民主党候補に投票していたが、今回はトランプ氏に票を投じた。理由について「この4年間は物価高が進んで悲惨だった。トランプ氏が大統領だったころは景気が良かった。もう一度、経済を立て直してほしい」と話した。

トランプ再選、関税引き上げで国内自動車産業に大打撃 エネルギー業界には歓迎の声も

米大統領選でトランプ前大統領が当選確実になったことで、日本の産業界に大きな影響を及ぼすことは避けられない情勢となった。前回政権を担っていた当時から続く「米国第一主義」を鮮明にした姿勢がトランプ氏の経済政策の土台となる。海外からの輸入品に高関税を課すことで、日本でも自動車産業を中心に企業が打撃を受け、経済に混乱が生じる懸念がある。

「トランプになって、自動車がきつくなる」。幅広い産業を所管する経済産業省幹部はこう断言する。

■同盟国にも高関税

トランプ氏は自国の製造業を保護するため、同盟国の日欧を含めたすべての国からの輸入品に対して10~20%の関税を課す方針を示す。自動車は2023年に日本から米国に年間約150万台輸出され、輸出額は約5兆8千億円と、対米輸出全体の3割程度を占める最大の品目だ。

課された関税を販売価格に転嫁すれば、日本車が割高になって米国で競争力を失い、価格に転嫁しなければ、企業の収益力が下がってしまう。この両方を避けるために現地生産にシフトすれば、今度は国内工場での生産が減って、国内の雇用が失われることになる。

「ここ2~3年は国内投資にベクトル(方向性)を明確化して産業政策を進めてきただけに、これから難しい対応を迫られる」と経産省幹部は気を揉む。

日本車への影響は直接輸出だけではない。トランプ氏はメキシコから輸入する自動車に100%の関税を課す考えを示す。日系自動車メーカーはメキシコの車両工場を米国への輸出基地として整備してきた。トヨタ自動車や日産自動車、ホンダ、マツダなどは生産する車両の7~9割を米国に輸出しており、関税引き上げが各社に及ぼす影響は甚大になる。

■半導体の対中規制がリスク要因に

自動車以外では、半導体の対中規制の行方が注目される。米国は、中国への先端半導体製造装置の輸出を規制し、日本も米国に追随している。一方で汎用半導体の製造装置は規制の対象外となっている。その隙間に中国からの注文が集中し、日本の大手装置メーカーには売上高の半分近くを中国向けが占める企業もある。そうした中で、トランプ氏が対中規制を強化すれば、日本メーカーの業績が低迷するリスクもある。

「エネルギー業界ではトランプは歓迎だ」。自動車や半導体産業の懸念とは裏腹に、電力大手関係者からはこんな声も聞かれる。

■LNGの安定供給に期待

エネルギー政策を巡って、トランプ氏は大統領選の集会などで、液化天然ガス(LNG)の増産を繰り返し打ち出してきた。米国はLNGの新規の輸出許可申請を凍結しているが、トランプ氏による凍結解除が期待されている。

脱炭素への移行期のエネルギーとしてLNGを望む国は多く、安定供給や価格の安定という観点で日本を含めた利点は大きい。

とはいえ、トランプ氏はパリ協定からの脱退や電気自動車(EV)推進反対の立場をとっており、これまでの脱炭素の取り組みに水を差す懸念もある。中長期的な脱炭素の流れにどう影響するか見えない部分もあることから「一長一短があり、トータルでエネルギー業界にプラスになるかは分からない」

NY市場でテスラ株急騰 トランプ氏勝利、「マスク氏に有利」と期待

 6日のニューヨーク株式市場で米電気自動車(EV)テスラの株価が急騰した。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が支援するトランプ氏が大統領選で勝利したことで、今後の事業展開に有利に働くとの期待が強まった。

 前日終値に比べ13%高で取引を始めた。5日の時間外取引でも、トランプ氏優勢との情勢を受け、上昇していた。

 トランプ氏はEV推進に反対の立場で、バイデン政権のEV購入補助策などを見直す考えを示している。トランプ政権誕生はEV業界にとって逆風のはずだが、テスラは自動運転技術の開発などにも力を入れており、市場では「テスラにとって非常にポジティブ。EV以外の分野で、明確な優位をもたらす可能性がある」(大手証券アナリスト)との見方が出ている。

 マスク氏は7月のトランプ氏銃撃事件の後に支持を公言し、巨額の寄付金などで陣営を支えてきた。トランプ氏は新設する「政府効率化委員会」のトップにマスク氏を起用する考えを示している。

 テスラは今年上半期の販売不振などで株価が低迷。5日の終値は年初比でほぼ横ばいだった。

熱狂のトランプ氏支持者 ハリス氏陣営はため息 開票、明暗くっきり・米大統領選

 米大統領選の開票が行われた5日夜から6日未明にかけて共和党のトランプ前大統領、民主党のハリス副大統領双方の支持者は開票状況を固唾をのんで見守った。

 6日未明、一部報道で「トランプ氏の当選」が伝えられると、同氏陣営が支持者を集めた南部フロリダ州ウエストパームビーチの会議場は熱狂に包まれた。約40分後にトランプ氏が姿を現すと、盛り上がりは最高潮に。「ありがとう」と切り出したトランプ氏を、支持者は「USA!」と連呼して迎えた。

 一方、ニューヨーク市中心部のトランプタワー前には、20人余りの支持者が駆け付けた。ハンス・ホンシャーさん(51)は「非常にうれしい。トランプ氏がホワイトハウスに行けば、米国を偉大にしてくれるだろう」と喜びを語った。

 ハリス氏陣営は首都ワシントンにある同氏の母校、黒人名門大ハワード大で開票イベントを開催。大勢の支持者がテレビの選挙速報を巨大モニターで見守った。開票序盤、激戦州の一部でリードが伝えられると、支持者らは拳を突き上げ、喜びをあらわにした。しかし、次第に激戦州を中心にトランプ氏がリードを奪い始めると、ため息を漏らす人が増えていった。

 看護師ジョセフ・クルチャーさん(61)はハリス氏が争点とした「人工妊娠中絶の権利擁護がそれほど大きな影響をもたらさなかったことに驚いている」と指摘。陣営関係者が「ハリス氏は今夜演説をしない」と伝えると、支持者は会場から引き揚げ始めた。

 ハリス氏の地元カリフォルニア州では、サンフランシスコのイベント会場に100人を超える支持者が集結。一部州でハリス氏の勝利が報じられるたびに沸き立ち、トランプ氏が勝ったと伝えられると一斉にブーイングした。

 会場オーナーのマニー・イクティエルさんは「トランプ氏にもう4年担わせるなんて考えられない。ここから流れを変えないと」と語った。敗色が濃厚となると、支持者の女性(42)は「絶望的だ。恐怖で、この国から逃げた方がいいと思えてくる」と述べた。

「将来の大統領候補」ハリスの人気が凋落した理由

<輝きを失った背景には失言や人種差別なども指摘されるが根本的な問題はそこではない>

カマラ・ハリスは、ついに現代アメリカ史上最も不人気な副大統領になってしまった。

11月の世論調査では支持率が30%を割り込んだ。副大統領就任当時の輝きはどこへ消えてしまったのか。

人気急落の要因としては、バイデン政権で任されている政策の難しさ、不安定なコミュニケーション、そして女性初・黒人初・アジア系初の副大統領として直面する差別が主に指摘されている。これらの指摘は、いずれも的を射ている面がある。

まず、ハリスはバイデン政権で移民政策の陣頭指揮を執っているが、政権の移民政策を支持する人は35%にすぎない。しかも、移民問題はハリス自身の看板政策でもあるので、支持率へのダメージがひときわ大きいとされる。

また、コミュニケーション面にも確かに問題がある。つい最近のテレビインタビューでも救いようのない失言をした。今日のアメリカ社会のムードを「マレーズ(沈滞)」という言葉で表現したのだ。

アメリカがエネルギー危機などで苦しんでいた1979年、当時のカーター大統領は国民に向けてテレビ演説を行い、アメリカの「自信の危機」を指摘した。カーター自身は「マレーズ」という言葉を用いたわけでなかったが、この演説はマレーズ・スピーチと呼ばれるようになった。

翌80年の大統領選でカーターが再選に失敗したこともあり、政治の世界で「マレーズ」は負け犬を即座に連想させる言葉になっている。ハリスがインタビューでこの言葉を使ったことは、超弩級の失態と言わざるを得ない。

支持率急降下に関する最も手っ取り早い説明は、性差別と人種差別に原因を求めるものだ。この説を主張する人たちは、女性と男性、マイノリティーと白人の間で、ハリスの支持率に大きな落差があることを指摘する。

「ガラスの天井」を打破した人物は、とりわけ厳しい目で見られるというのだ。この3つの指摘は全て一面の真理を含んでいるが、いずれも人気急落の最大の根本原因ではない。

問題は、ハリスが「悪いボス」だという点にある。表舞台で活動する期間が長くなるほど、この欠点が際立ってきている。

思い出してほしい。2020年大統領選の民主党候補者指名レースの序盤、ハリスは注目株として脚光を浴び、一時は世論調査の支持率で2位に立ったこともあった。

しかし、勢いは長続きしなかった。陣営の内紛、コミュニケーションと資金集めの不手際、ボランティアの士気低下により、選挙運動はうまくいかなくなり、多くのスタッフが逃げ出した。

副大統領就任後も同じことが繰り返されている。幹部の退任が相次いでいるのだ。スタッフはハリスを「沈みかけている船」と感じ、早々に脱出しようとしているという話も聞こえてくる。

ハリスが部下をいじめる「意地悪な上司」だという噂もある。この噂を裏付けるように見える材料は、大統領選や副大統領就任後にスタッフが続々と離職していることだけではない。上院議員時代の19年、ハリスの事務所スタッフの離職率は、アメリカの上院議員100人の中で最も高かった。

ハリスは女性初・黒人初・アジア系初の副大統領になり、新しい歴史を切り開いた。しかし、アメリカ政治の最高位のポストを目指すなら、シドニー・フィンケルシュタインの著書『SUPER BOSS(スーパーボス)』(邦訳・日経BP社)を読むことを勧めたい。

「ボス」が部下を大切にし、大きな期待を寄せ、絆を育まなければ、部下は傑出した成果を上げられない。ハリスはこれらの点で「ボス」の役割を果たせていない。政治家として輝きを失いつつある最大の原因はそこにある。

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なぜトランプは「大勝利」したのか…?「最大の激戦州」の有権者たちが「トランプとハリスについて語ったこと」

ドナルド・トランプ氏が大統領選に大きく勝利した。なぜトランプ氏はここまでの勝利を収めたのか。ニューヨーク在住のジャーナリストであるシェリーめぐみ氏が現地の人々の声をもとに、大統領選をレポートする。

異例のスピード

アメリカ東部時間11月6日朝5時半すぎ、ドナルド・トランプの当選確実が多くのメディアによって報じられた。

どのメディアも当確が出るまでにはもっと時間がかかるだろうと踏んでいたので、これほど早く結果が出たことに、彼ら自身が驚きを隠せない様子だった。

筆者が投票日(現地時間の5日)の夜に取材したワシントンDCは圧倒的にハリス支持の街だ。この夜はカマラ・ハリスの母校である名門黒人大学のハワード大学キャンパスで、開票速報パーティと銘打って大集会が開かれた。正確な動員数は発表されていないが、1万人はいたと思う。

開票速報を大画面で見るのと同時に、DJがプレイするダンスミュージックに乗って踊ったり歌ったり。ハリス当選を信じる若いZ世代たちで大いに盛り上がった。しかし夜11時も過ぎると、今夜中には決まらないだろうと見込んで多くが家路についた。その時にはまだかなりの「ハリス勝利」の希望が残っていた。

しかしそれは、数時間後のうちに打ち砕かれることになる。

当確がこれほど早く出た理由は、2020年の大統領選で開票の遅れが陰謀論に結びつくなど、多くのトラブルが生まれたからだ。前回の轍を踏まないよう開票作業のプロセスを改善したことが、当確がここまで早まった1つの要因とされている。

しかし何よりも大きかったのは、おそらくトランプ本人もトランプ支持者も、そしてもちろんハリス側も予想しないほど、トランプが強かったということだ。

ではなぜアメリカ人はカマラ・ハリス副大統領ではなく、ドナルド・トランプ元大統領に、これほどの大きな勝利をもたらしたのか?

一貫したメッセージの勝利

「アメリカは移民問題が危機的状況なのよ」

筆者のインタビューに対して第一声でそう訴えた白人女性は、アメリカ激戦州の1つペンシルバニア州の中でもさらに激戦地と言われる、バックス郡レビットタウンという街の住人である。

レビットタウンは「全米の結果を左右するのはこの街だ」という記事さえ出たほどの重要な土地だが、ついこの間まで民主党寄りだったのが、今回は共和党トランプにかなりの票が流れると予測されていた。たしかに道路沿いの芝生に立てられた看板は、トランプ氏のものがハリス氏の数を大きく凌いでいる。

彼女はこう続ける。

「実は近隣で十代の女の子数名が行方不明になっているの。もしかすると誘拐されて人身売買の犠牲になっているかも」

果たして本当にそういった事件が起きているのか? ニュースを詳細に検索しても、彼女が言うような事件は出てこなかった。しかし彼女は、こうした犯罪を起こしているのは不法移民だと決めつけるかのような言い方をする。

この街の住人はほぼ100%白人で、移民の姿などまったく見かけない。それがなぜ、不法移民=誘拐=人身売買=犯罪者となるのか?

それはトランプが繰り返し繰り出すレトリックが原因だと考えられる。

筆者はトランプの集会を2回取材した。ニューヨーク郊外のロングアイランドと、マンハッタンのど真ん中マジソンスクエアガーデンでの集会だ。

そこでのトランプ氏のメッセージはシンプルで一貫していた。

「アメリカは地に落ちた。経済もだめになり今や犯罪の巣だ。その理由は南部の国境から不法移民を好きなだけ入国させているからだ。それをやっているのがハリスで、このままだとアメリカは滅びてしまう」

こうしたメッセージは客観的に見ればかなり的外れなものだ。アメリカはパンデミックから驚異の経済復興を見せ、株価は記録を更新。重犯罪も減少している。

しかしトランプはそんな状況にはおかまいなしに、こうしたメッセージを約1時間半~2時間のスピーチの中で、「ハイチ人がペットの犬や猫を盗んで食べている」みたいなショッキングなエピソードをちりばめながら繰り返す。

驚いたことに、インタビューした支持者は皆、申し合わせたかのようにトランプと全く同じレトリックを繰り出してくるのだ。このメッセージがどれほど支持者たちに刺さりまくっているか、いや刷り込まれているかがありありとわかる。

物価の異常な高騰で富裕層を除く庶民の生活が苦しいのは事実だ。パンデミック前の古き良き時代に戻りたいという願望もあるだろう。そうした思いは、トランプの力強くかつシンプルでわかりやすいメッセージによって増幅され、強化され、「絶対にトランプでなければ!」という強い信念となり、MAGAムーブメントの中核として確立されている。

その圧倒的なパワーと説得力は、ハリスには絶対にないものだ。それもトランプ支持に流れる人が増えた理由だろう。

ヒスパニック男性の獲得

もう1つ、出口調査では、ヒスパニック系の男性のトランプ票が思ったより伸び、これがトランプ勝利に大きく貢献したと伝えられている。

実はこれも筆者がニューヨークでの取材で肌で感じていたことだ。

ニューヨーク市の人口のおよそ3割はヒスパニック系だ。彼らは移民や移民2世が多く、伝統的に民主党支持だった。しかしこの春くらいから街でインタビューをしていると、「トランプに投票する」という人が確実に増えていた。

しかしこれは不思議なことではないだろうか。前述した通り、トランプといえば移民へのバッシングが強烈だ。ヒスパニック系の市民に「あなた自身は移民だが、それは気にならないのか」と尋ねると、

「トランプが攻撃しているのは不法移民だ。我々は合法的に移民しているから問題はない」

と答えた。

この人物は「不法移民」と言い、自分と全く違う存在であるとするが、そうした「不法移民」も、もともとは彼と同じ地域で暮らし、同じように家族を抱え、貧困から逃げるようにアメリカに渡ってきた、言わば「同胞」である可能性が高い。運よく合法的に移民できた人が「自分はワンランク上」とでも言わんばかり言い方をすることにはショックを受けた。

このように移民の内部における分断をあおることで支持者を獲得するやり方は、トランプ陣営の一つの作戦だったと言われる。また特にヒスパニック系はカトリック信者が多く保守的で、女性蔑視の傾向も未だ強いとされる。そうした部分も、トランプ陣営の考え方と親和性が高いと考えられている。

未知の悪よりも、よく知っている悪のほうがマシ

一方負けたハリスはどのように見られていたのか。

興味深かったのは、前出ペンシルバニア州レビットタウンで小学校の教頭先生を務める白人男性の言葉だ。

彼はひとしきりトランプの批判をした後、

「トランプがいいとは思わない。でも彼は一度政権をとっているから、どんなことになるかは皆わかっている。それに比べると、未知のハリスのほうが怖いんだ。だからみんなトランプに入れるんだと思うよ」

「ではあなたはどちらに投票したの?」と聞くと、彼はなんとなくバツの悪そうな顔で「トランプ」と答えた。

内心驚いた。有罪判決を受けた経験があり、女性やマイノリティを差別し、政敵への復讐を主張するトランプより、ハリスのほうが怖いというのも解せなかった。

そこで、「あなたはもしかすると、ハリスが女性でマイノリティだから投票したくないのでは?」と聞いてみた。

「いやそんなことはない、女性でも大統領にふさわしい人だったら投票する」と彼は主張したが、同じ意見を2016年のヒラリー出馬の時にも多くのアメリカ人から聞いた。

少なくとも2024年のアメリカは、史上初の女性大統領を迎える準備はできていなかったということだろう。

アメリカはどこに向かう?

トランプは、第二次トランプ政権では、閣僚だけでなく官僚までトランプ支持者で固めるとしている。政策的には、大企業、富裕層に対するさらなる減税を進め、気候変動対策を後退させ、中国に高い関税をかける……といった政策を、確実に実行に移したいようだ。

また、女性に対しては人工妊娠中絶禁止の厳格化、それの全米での法制化、移民やマイノリティの人権縮小などが待っているだろうと考えられている。

昨日あれほど楽しげに開票速報を見ていた、ワシントン、ハワード大学の学生たちは今何を思っているのだろう?

少なくとも筆者の周囲のニューヨークのZ世代たちはすっかり落ち込んでいる。彼らが気を取り直して、再び2017年のような抗議行動を起こすまでには、まだ少し時間がかかるかもしれない。

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アングル:トランプ氏勝利貢献のマスク氏、狙うは政権への強大な影響力

米大統領選で、実業家イーロン・マスク氏が支持した共和党候補のトランプ前大統領が決定的な勝利を収めて返り咲きを果たした。これによってマスク氏は、自身が率いる企業が次期政権からさまざまな恩恵を享受できるよう絶大な影響力を振るうことができる立場を得たと言える。

ロイターがマスク氏の企業関係者6人やこれらの企業と幅広いやり取りをした経験を持つ政府高官2人に取材したところでは、マスク氏がトランプ陣営に少なくとも1億1900万ドル(183億円)の献金を行った狙いは、傘下企業を規制や行政権執行の対象外に置きつつ、政府からの支援をより手厚く受けることにあった。

マスク氏の事業は電気自動車(EV)大手テスラから宇宙企業スペースX、人間の脳とコンピューターをつないで健康管理を目指す医療ベンチャー企業ニューラリンクに至るまで、いずれも政府の規制や補助金、各種政策に大きく左右されるのが特徴だ。

元スペースX幹部の1人は「イーロン・マスクは全ての規制を自身の事業やイノベーションの妨げになると見なしている。彼はできるだけ早く、やりたいことが何でもできるように可能な限り多くの規制を撤廃するための手段として、次期トランプ政権を利用できると考えている」と指摘した。

マスク氏は、トランプ氏がペンシルベニア州で暗殺未遂事件に遭遇した7月13日に同氏への支持を正式表明。その後の選挙戦を通じてしばしばトランプ氏の応援演説に乗り出し、投票日夜にはフロリダ州にあるトランプ氏の別荘でともに勝利を味わった。トランプ氏は、政府効率化を推進する組織を立ち上げ、トップにマスク氏を起用するとも約束している。

かつてマスク氏は、汚染物質排出を制限できるEVや、いつか滅び行く地球から火星に人類が移住する手段になり得るロケットを生産することで、気候変動問題と戦う男というイメージを主に掲げていた。しかし今は、カリフォルニア地域に長らく根付いてきた左派イデオロギーに反発する形で次第に増えつつあるリバタリアニズム(自由至上主義)を掲げるシリコンバレーの富豪たちの先頭に立つ。マスク氏はいま、こうした左派イデオロギーを「意識高い系ウイルス」と呼んで嘲笑する。

マスク氏の政治への関与が強まるとともに、同氏の「企業帝国」は従業員や元従業員から昔の「金ぴか時代」にたとえられるほど強大になっている。金ぴか時代とは、19世紀後半にJ・P・モルガンやジョン・D・ロックフェラーといった有力資本家らが自分たちの企業や資産に影響する政府の政策を自由自在に動かす力を持っていた時期を指す。

マスク氏のファンや支持者らは、同氏の力が強まりつつあることに興奮を隠さない。同氏のハイテクベンチャーにとって政府は邪魔でしかないと見なし、シリコンバレーのトランプ氏支持を訴えてきたのが彼らだ。その1人でスペースXに投資しているベンチャーキャピタリストのシャービン・ピシュバー氏は、規制をなくせばスペースXの火星到達に向けた取り組みは加速すると話す。

ピシェバー氏は、マスク氏が「米国をスタートアップ企業のように機能させる。米国の歴史でイーロン・マスクより偉大な起業家は存在しない」と言い切った。

<お手盛りの政策>

マスク氏の政治的な存在が高まった背景には、バイデン政権から軽視され、反動でトランプ氏の右派的なポピュリズム(大衆迎合主義)への接近を加速させていったという事情がある。例えば2021年8月にホワイトハウスが開催したEVサミットにテスラは招待されず、呼ばれたのは労組が組織化され、テスラの販売台数よりはるかに少ない数のEVしか生産していないデトロイトの既存メーカーだった。

そのテスラの浮沈は、次期政権がEVと自動運転車に関する政策・規制や補助金などでどのような対応をするかにかかっている。これまで民主党政権はテスラが後押しした多くのEV優遇政策を提唱してきたが、共和党は伝統的にはEVに否定的で、トランプ氏も大統領選でバイデン政権のEV政策をけなしてきた。とはいえマスク氏は、今回の貢献により「既得権益」を守る可能性が見えてきた。

事情に詳しい関係者によると、テスラに関してマスク氏が目指すのは、同社の運転支援システム「オートパイロット」や「フル・セルフドライビング」の安全性を巡って米道路交通安全局(NHTSA)に規制権限を行使させないことだ。マスク氏が、自動運転車やロボタクシー(自動運転タクシー)といったテスラが計画する事業の規制を自社に有利な内容に設定させようと働きかける可能性もあるし、人工知能(AI)企業のxAIではマスク氏がお手盛りで新たな規制を策定したり組織を立ち上げたりしてもおかしくないという。

マスク氏は先月、ハンドルとペダルがない完全自動運転車「サイバーキャブ」の量産化を26年中に開始する計画を表明した。

ただそうした車両生産にはNHTSAの認可が必要になる。また米国では自動運転者についての一律の規制は存在せず、事業者は各州で異なる規制にそれぞれ対応しなければならない。

マスク氏はこうした州ごとの規制の煩わしさを嘆き、連邦レベルの統一された認可制度を導入すべきだと訴えている。

一方でスペースXは現在、政府の資金支援を受けたロケット打ち上げ業界で先頭を走り、テスラは多額の補助金が適用されるEVを年間200万台近く販売している。

<規制緩和の危うさ>

そもそも既にマスク氏の企業に対する規制強化の動きや、現行規制の執行は弱まっている、と先の企業関係者6人は証言する。一部の連邦政府機関は、マスク氏の企業による安全基準違反が指摘されても、これに対処するための政治的意思を結集するのが困難なようだ。その一因は、EVやロケットなど高度に規制され、政治化されている業界でマスク氏がすでに支配的地位を築いていることにある。

例えば米航空宇宙局(NASA)は、ボーイングの有人宇宙船「スターライナー」の推進装置トラブルで飛行士が宇宙ステーションに取り残された問題を解決する上で、スペースXのノウハウに頼らなければならなかった。

スペースXの対政府窓口の事情に詳しいある連邦政府職員は、NASAや他の機関がしばしば、スペースXのご機嫌を損ねないよう努力していると明かし、「NASAがスペースXを必要とする度合いは、スペースXがNASAを必要とする度合いよりも大きい」と付け加えた。

NASAはこれまでスペースXに150億ドル余りを投資。またスペースXは、米情報機関と共同で数百基のスパイ衛星網整備計画も進めている。

ロイターは昨年、スペースXの全米の工場で少なくとも600人の従業員が負傷しており、同社が安全上の規制や基準とすべき慣行に十分な配慮をしていなかった実態を報じた。スペースXの従業員の負傷率は昨年、業界平均をずっと上回り続けたことも判明した。

しかしNASAや、労働者の安全について企業を監督する米国労働安全衛生局(OHSA)は、スペースXに対して従業員の負傷と関連する違反行為を巡る相応の処分を行っていない。

それでもマスク氏は、政府の規制権限行使を弊害が大き過ぎると批判して「常軌を逸した」規制の撤廃を追求すると話している。

既に民間宇宙船分野では、イノベーション促進のため、議会が政府機関による監督を一時的に禁止した。次期トランプ政権はこの分野でさらに規制緩和を進める、というのがスペースXの規制戦略に通じる4人の関係者の見立てだ。

マスク氏とスペースXは、同社の優越的地位こそが政府の監督なしでもうまくやれる証拠だと考えているとされる。

ただ元スペースX幹部の1人は、この業界で規制を緩めようとする姿勢は危険だと指摘。ロケット製造には危険性が伴い、事故などで全ての計画が台無しになれば業界を10年後退させかねない、と警告している。

トランプ氏、当選確実 刑事訴追、暗殺未遂はねのけ―4年ぶり返り咲き、ハリス氏破る・米大統領選

米大統領選は5日、全米各地で投開票され、2度の暗殺未遂から生還し返り咲きを狙った共和党のドナルド・トランプ前大統領(78)が、女性初の大統領を目指した民主党のカマラ・ハリス副大統領(60)を激戦の末に破り、当選を確実にした。複数の米メディアが伝えた。「米国を再び偉大に」と訴え、勝敗を左右する激戦州を次々と制した。

 トランプ氏の再登板で、米国の内政や外交などは大きく転換される可能性が高い。刑事事件で有罪評決を受けながら当選した米史上初の大統領となる。

 トランプ氏は6日未明(日本時間同日午後)、南部フロリダ州で支持者を前に演説。「国民に第47代大統領という特別な栄誉を与えられたことを誇りに思う」と勝利宣言し、「米国の真の黄金時代がやってくる」と強調した。「米国を救い、国境問題を解決する」とも語った。

 トランプ氏は激戦州の東部ペンシルベニア、南部ノースカロライナとジョージア、中西部ウィスコンシンの各州などで勝利を重ねた。米メディアによると、トランプ氏の獲得選挙人数は、全米50州と首都ワシントンに割り当てられた計538人の過半数(270人)に達した。

 トランプ氏は再選に失敗した2020年大統領選の結果を覆そうとした罪などで、米大統領経験者として初めて起訴され、四つの刑事裁判を抱えながら選挙を戦った。今年7月、演説中に銃撃を受け右耳を負傷。9月に再び命を狙われたが切り抜け、4年ぶりのホワイトハウス奪還を決めた。

 選挙戦では不法移民対策を最大の争点に掲げた。関税引き上げによる自国産業保護や同盟国の負担増も重ねて主張した。1期目よりさらに「米国第一」の姿勢を強めるとみられ、国際秩序を再び揺るがしそうだ。

 連続せず2期を務めるのは、1884年と1892年の選挙に勝利したクリーブランド元大統領以来で2人目。78歳での当選は、20年に77歳で当選したバイデン大統領を抜き史上最高齢となる。

 トランプ氏は、選挙人による形式的な投票を経て来年1月20日に正式に就任する。副大統領には中西部オハイオ州選出のJ・D・バンス上院議員(40)が就く。

大接戦じゃなかったの?なぜトランプ氏“圧勝”に?

勝敗のカギを握る激戦州を次々と制し、返り咲きを果たしたトランプ氏。

事前の世論調査では大接戦が伝えられていた選挙は、なぜトランプ氏の“圧勝”となったのか。そして、“もしトラ”が現実になった世界は今後、どうなるのか。

アメリカの政治と安全保障に詳しい明海大学の小谷哲男教授の解説です。

(キャッチ!きょうの世界キャスター 望月麻美)

トランプ氏 予想よりも強かった?

今回の大統領選挙の得票総数を見た場合、トランプ氏は今のところハリス氏よりも500万票、多く取っています。

また、2020年の結果と比べると、バイデン氏がとった数よりもハリス氏が取った数が1400万票減っています。

これは、トランプ氏が強かったというよりはハリス氏が弱かったということを表してるのだと思います。

アメリカの人口動態を考えると、今後、白人がマイノリティーになる一方で、ヒスパニック系の人口が増えていきます。

そうなった時に、より多様性を重視する民主党のほうが、長期的には強くなると言われていたんですが、今回の選挙結果を見ると、必ずしもそうではありませんでした。

民主党としては戦略を立て直していかないと、これから先の選挙でも勝てないということが言えるかもしれません。

激戦州での勝因敗因はどこに?

“青い壁”と呼ばれている州は、いわゆるラストベルトと呼ばれているところで、かつては製造業などが盛んでしたが、産業構造の変化によって衰退しています。

2016年の選挙では、トランプ氏がそこに目をつけて製造業でなかなかうまくいってない票を掘り起こして勝ちました。

今回もトランプ氏が再びその票を掘り起こしたということですが、一番大きかったのは経済政策の分かりやすさだったと思います。

トランプ氏は「チップの収入を非課税にする」とか、「残業代とか社会保障についても非課税にする」という非常に分かりやすい、すぐに利益が出そうな経済政策を打ち出していました。

これに対して、ハリス氏のほうは「希望の経済」と言いながら、具体的に何をするのかよく分からなかったという点があります。

また、バイデン政権は大学の奨学金を免除するということに力を入れてきましたが、ラストベルトの労働者の多くは大学に行っておらず、そうした有権者には響かない政策でした。そのあたりが大きく影響を与えたのだと思います。

このあたりは白人の労働者が多かったのですが、いまは黒人やヒスパニックの労働者も増えていて、このあたりに対してもハリス氏がアピールできなかったというのが敗因ではないかと思います。

ハリス氏 女性の支持伸びなかった?

(※激戦州ミシガン州の出口調査について)

特に人工妊娠中絶をめぐって、女性票がハリス氏に流れるとみられていましたが、そうはなっていません。

もう1つの問題はおそらく、今回、ハリス氏が多様性というものを重視して、例えば、女子スポーツにトランスジェンダーの選手を受け入れることを促進しようとしましたが、親世代からするとそこに抵抗感を感じている人たちが多かったというふうに思います。

また、不法移民の問題が今回、かなり重視されましたが、不法移民が増えたことによって、コミュニティーが不安定化した、犯罪が増えた、ドラッグが増えたということで、子どもの安全を考えたときにハリス氏を支持できなかった女性が多かったのではないかと考えられます。

若者も過半数がトランプ氏支持?

いわゆるZ世代と呼ばれる18歳から29歳の若者は、かなり民主党支持が強いだろうと言われていました。

しかし、バイデン政権のガザ政策への批判などもおそらく影響したと思います。

また、もう少し精査が必要ですが、もしかするとZ世代でハリス氏を支持しているように見えたのは、SNS上でそれを積極的に発信していた人たちであって、サイレントマジョリティーのZ世代は、実は保守化している可能性があるかもしれないということが、ここから読み解けると思います。

ヒスパニック系でもトランプ氏支持増えた?

ヒスパニック系の人口は、白人に次いで多くなっていますが、従来であればその多様性という観点からヒスパニック系は民主党支持だと言われてきました。

しかしヒスパニック系はカトリックの人が多くて、保守的な考えを持っているということもあり、そのあたりがハリス氏よりもトランプ氏に流れた要因ではないかと思います。

また、トランプ氏が不法移民対策について、かなり強硬な政策を打ち出していて、メキシコ系の移民を排斥するような発言をしてますが、いったん正規のアメリカ市民権を取ったヒスパニック系は「これは自分たちの問題ではない」と、むしろ不法移民を排斥することはいいことだと考えているということもあったようです。

もう1つ、共和党の副大統領候補だったバンス氏が、かなりヒスパニック系の集会に出るなどアピールしたということなので、このあたりも影響したのかもしれません。

上院下院の結果についてはどう見る?

まず民主党からすれば、いわゆる“トリプルレッド”は避けたいということで、下院についてはなんとか多数派を取りたいと思っていると思います。

ただ、上院はすでに共和党が多数派になるということが決まりました。

実は2016年の時も、トリプルレッドでトランプ政権が始まったのですが、そのときと比べると、下院はもともとトランプ派の議員が多かったのですが、上院でも、今回の選挙の結果、トランプ派の議員が増えたということになります。

仮にこの先、トリプルレッドになったとしても、2016年よりもさらにトランプ氏の政党としての共和党という姿が見えてくると思います。

両陣営の受け止めは?

ハリス選対の幹部の方は最後まで、“青い壁”と言われる州ではひっくり返せると言っていたようですが、そこが見事に失敗した形です。

ハリス陣営は内部分裂というような状況になっていると思います。誰が悪かったのかという責任のなすりつけあいが始まっていて、特にバイデン大統領に対する批判が強まっています。

「撤退するのが遅かった」という声もありますし、「そもそも昨年の時点で出馬するべきではなかった」という声も上がっています。なかなか総括ができていないという状況だと思います。

一方のトランプ陣営はかなり盛り上がっている状況です。すでに人事の話なども始まっています。

従来、トランプ陣営には良識派とMAGA派、トランプ寄りの人たちがいたんですが、このMAGA派の影響力がどうも強まっているようですので、このあたりが今後の人事や政策に影響しそうです。

ウクライナへの支援どうなる?

トランプ氏は選挙中からウクライナの戦争を止めたいということを発言してきました。また、ウクライナに対する軍事支援を継続するかどうかについては、消極的な発言が続いてきました。

先ほど触れたとおり、人事がすでに動いていますが、ウクライナ支援に消極的な人の名前があがり始めているので、もしかするとウクライナ支援には消極的になるかもしれません。

この先、下院で共和党が多数派になれば、議会が予算をつけるのでますます予算をつけてウクライナを支援することは難しくなってくると思います。

上下両院でウクライナ支援に懐疑的な議員が増え、トランプ氏周辺にも懐疑的な人が増えていますので、ウクライナにとってはかなり厳しい状況かもしれません。

イスラエルとの関係は?

トランプ氏は1期目からイスラエルに対する強い支持、支援を行ってきたので、それを継続するということは考えられます。

ただ、今回の選挙でユダヤ票を減らした一方、ムスリム票が増えましたので、このあたりが政策に影響を与える可能性があります。

トランプ氏は、勝利宣言の中でもわざわざ、ムスリムの住人たち、有権者に言及していたので、そのあたりを意識している可能性はあると思います。

1期目は、パレスチナ支援に非常に消極的でしたが、今回の選挙結果を受けて、イスラエルに対してやや圧力をかけつつ、パレスチナ支援をするという可能性も見えてきたということが言えると思います。

ヨーロッパに対しては?

ヨーロッパではかなり戦々恐々としていると思います。

例えば、NATOから離脱するというような観測もありますし、関税を高めるということへも懸念が強まっていますが、これらは基本的に交渉のための圧力、準備だと考えたほうがいいと思います。

安全保障面に関しては、いきなりNATOから離脱するというよりも、離脱をほのめかすことでヨーロッパにより大きな負担を分担させたいという、そういうねらいが見えてくると思います。

そして、貿易面でも、すべての輸入品に関税をかけるということなのですが、最初から関税をかけるという圧力を加えて、それによってこの先あるであろう、アメリカとヨーロッパの間の貿易交渉で、有利な立場に立ちたいということだと思います。

北朝鮮に対してはどう出る?

前回、1期目は米朝首脳会談をやって、非核化を目指しましたが失敗しました。

その後、北朝鮮が核開発をさらに進めたので、すぐに北朝鮮と再び会談を目指すということはないと思います。

一方で、バイデン政権の間に日米韓の連携が進みました。

トランプ氏もこれについては「数少ないバイデン氏の成果だ」と言っていますので、これを引き継ぎ、維持、拡大していくということが考えられます。まずは日米韓の連携を拡大しつつ、北朝鮮の出方を見るということになると思います。

今の北朝鮮と無条件で話をするということは、アメリカの国内政治的にもマイナスになると思います。

トランプ氏から北朝鮮に呼びかけるということはないでしょうが、もし北朝鮮から対話を呼びかけてきた場合はこれを受ける可能性はあると思います。

対中国政策はどうなる?

中国はトランプ政権にとって、経済、安全保障の両面で最大の課題と見なされています。

まず、経済の面では、ほかの国に対しては10パーセントから20パーセントの関税と言ってますが、中国の製品に対しては60パーセントの関税をかけると言っています。

ますます米中間の経済の切り離しを進めていくでしょうし、ハイテク分野での競争を進めていくということになると思います。

一方で、台湾についてですが、基本的にはトランプ氏も台湾を守るという姿勢を維持すると思います。

しかし、経済面で中国側の譲歩を引き出すために、台湾問題と経済問題を絡めて、“ビッグディール”を目指すということにやや懸念があります。

つまり、アメリカの台湾への支援を減らす代わりに、貿易面で譲歩を迫るということがあるかもしれないので、このあたりは注目しておく必要があると思います。

インド・太平洋への関わりは?

中国が最大のライバルなので、中国を経済的、政治的、あるいは軍事的にけん制するためにも、バイデン政権下で拡大した日米豪印の「クアッド」という枠組みは引き続き活用していくでしょう。

また、バイデン政権がつくった「AUKUS(オーカス)」、米英豪の軍事協力ですが、これも引き継ぐ形で中国に対するけん制を強めていくということになり、少なくともアジアからアメリカが引いていくということにはならないと思います。

日本はどう向き合えばよい?

経済面では、ほかの国と同じく関税をかけてくると考えられるので、日米の貿易協議を行う中で、いかに日本の利益を守るかということが必要になると思います。

安全保障面では、いま日本自身が防衛努力をしていて、トランプ氏もそれを歓迎するという発言がありますので、すぐに問題はないとは思います。

ただ、防衛費の増額が少ない、もっと増やせという圧力をかけてくる可能性は念頭に置いておく必要があると思います。

トランプ氏は個人的な関係、個人外交を重視しますので、日本の総理としてもトランプ氏と個人的な関係を築く必要があると思います。

そのためにはトランプ氏の不規則な発言に右往左往することなく、日本の国益を説明する忍耐力が必要です。

一方で、トランプ氏は交渉相手の国内の権力基盤がどれだけ強いかということを見てきますので、その点はやや懸念が残ります。

その分、安倍総理がやったようにゴルフ外交を通じて個人的な関係を築いて日本の総理大臣、石破総理とトランプ氏の間で難しい経済の問題などを議論するということが必要になってくるだろうと思います。

日本政府は“もしトラ”に備えてかなり力を入れてきましたので、トランプ氏の周辺、側近たちとも関係を築いていますから、それを生かしつつ、首脳どうしの個人的な関係を築く必要があると思います。

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トランプ氏、アリゾナも勝利 全州確定、312人獲得

米大統領選で共和党のトランプ前大統領は9日、最後まで勝敗が決まっていなかった西部アリゾナ州での勝利を確実にした。全州の勝敗が確定した。米主要メディアが伝えた。

 選挙人全538人のうちトランプ氏が312人を獲得し、民主党のハリス副大統領は226人にとどまった。アリゾナは激戦7州の一つに挙げられ、トランプ氏は7州全てで勝利した。

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