アメリカ大統領選挙・トランプ氏が勝利宣言「見たこともない勝利」激戦州でも次々勝利しハリス氏を終始リード
5日(日本時間6日)に投開票が行われたアメリカ大統領選挙で、共和党のトランプ候補が、陣営会場で勝利宣言を行った。選挙直前まで、情勢は全くの互角と見られていたが、投開票が進むに連れてトランプ氏がリードを拡大。激戦州でも勝利を収め、予想よりも早くトランプ優勢と各種メディアも報じていた。
トランプ氏は、支持者の前で「みなさんに御礼を申し上げたい。みなさんは友だちです。数千人の友だちがここに集まってくれた。今まで見たことがないような運動が起きた。私たちは国を癒やしていく。私たちの国は必死に助けを必要としている。
全ての問題を解決していく。今回の勝利には意味がある。あらゆる壁を乗り越えてきた。それは不可能だと見てきました。もっとも素晴らしい政治的な勝利を成し遂げた。これは政治的な勝利だ。私たちが見たことがないような勝利だ。 第47代大統領に私は当選した」と感謝と共に勝利宣言を述べた。
また、「全ての市民のため、家族のため、 みなさんの未来のために毎日戦っていく。 全身全霊をかけた戦っていく。強くて反映で安定なアメリカをもたらすまで仕事をやめることはない。 今、アメリカは黄金時代だ。本当に素晴らしいアメリカ国民のための勝利だ。再びアメリカを偉大にする勝利だ。 激戦州、ノールカロライナでも勝った、 ジョージア州、ペンシルベニア州、ウィスコンシン州でも勝った。
現在、ミシガン、アリゾナ、ネバダ、アラスカの結果を待っている。少なくとも315人の選挙人を獲得するだろう。テレビ局が様々な予測をしたが、それよりも大きな形で勝利をしている。また私たちは得票数でもハリス候補を上回っている。得票数にとても満足している。本当に愛情に満ちた、みなさんの気持ちを感じている」と強調した。
「米国の黄金時代到来」 トランプ氏の早々「勝利宣言」に会場歓喜
5日投開票の米大統領選では、共和党のドナルド・トランプ前大統領(78)が民主党のカマラ・ハリス副大統領(60)を破り、当選を確実にした。米主要各メディアの報道に先行し、トランプ氏は6日未明、早々と「勝利」を宣言した。
南部フロリダ州ウェストパームビーチ。6日午前2時25分ごろ、ライブ中継されている会場に、カントリー音楽の大物リー・グリーンウッドさんによる「ゴッド・ブレス・ザ・USA」(米国に神の祝福を)が流れた。トランプ氏が登場すると、支持者らは撮影のため一斉にスマートフォンを向けた。
「今夜、私たちは歴史を作った。今まで目にしたことがない政治的な勝利だ。第47代大統領に選出されたという素晴らしい名誉を米国民に感謝したい」。トランプ氏がこう語りかけると、会場は拍手と歓声で沸いた。
副大統領候補のバンス連邦上院議員らのスピーチも交え、演説は約25分間続いた。トランプ氏は支持者を前に「命をかけて、毎日皆さんのために戦う」と訴え、「強く、安全で、繁栄した米国を実現するまで休むつもりはない。米国に真の黄金時代が到来する」と強調。「米国民にとって見事な勝利で、米国を再び偉大にする」とアピールした。
大統領選と同時実施された連邦議会の上下両院選では、共和党が上院で4年ぶりに多数派を民主党から奪還した。トランプ氏はこれにも満足感を示し、下院でも自党が多数派を維持するとの自信を示した。
米メディアはこれまでに、トランプ氏が激戦7州のうち、南部ノースカロライナ州、ジョージア州、東部ペンシルベニア州の3州で勝利を確実にしたと報じた。
民主党支持者が多い東部ニューヨーク州はハリス氏が制したものの、ここでもトランプ氏は前回2020年大統領選よりも得票率を伸ばしている模様だ。
背景の一つは、バイデン政権に対する経済面での不満だ。ニューヨーク市でクリーニング店を営むヌラル・アラムさん(49)はこれまでの大統領選では民主党候補に投票していたが、今回はトランプ氏に票を投じた。理由について「この4年間は物価高が進んで悲惨だった。トランプ氏が大統領だったころは景気が良かった。もう一度、経済を立て直してほしい」と話した。
トランプ再選、関税引き上げで国内自動車産業に大打撃 エネルギー業界には歓迎の声も
米大統領選でトランプ前大統領が当選確実になったことで、日本の産業界に大きな影響を及ぼすことは避けられない情勢となった。前回政権を担っていた当時から続く「米国第一主義」を鮮明にした姿勢がトランプ氏の経済政策の土台となる。海外からの輸入品に高関税を課すことで、日本でも自動車産業を中心に企業が打撃を受け、経済に混乱が生じる懸念がある。
「トランプになって、自動車がきつくなる」。幅広い産業を所管する経済産業省幹部はこう断言する。
■同盟国にも高関税
トランプ氏は自国の製造業を保護するため、同盟国の日欧を含めたすべての国からの輸入品に対して10~20%の関税を課す方針を示す。自動車は2023年に日本から米国に年間約150万台輸出され、輸出額は約5兆8千億円と、対米輸出全体の3割程度を占める最大の品目だ。
課された関税を販売価格に転嫁すれば、日本車が割高になって米国で競争力を失い、価格に転嫁しなければ、企業の収益力が下がってしまう。この両方を避けるために現地生産にシフトすれば、今度は国内工場での生産が減って、国内の雇用が失われることになる。
「ここ2~3年は国内投資にベクトル(方向性)を明確化して産業政策を進めてきただけに、これから難しい対応を迫られる」と経産省幹部は気を揉む。
日本車への影響は直接輸出だけではない。トランプ氏はメキシコから輸入する自動車に100%の関税を課す考えを示す。日系自動車メーカーはメキシコの車両工場を米国への輸出基地として整備してきた。トヨタ自動車や日産自動車、ホンダ、マツダなどは生産する車両の7~9割を米国に輸出しており、関税引き上げが各社に及ぼす影響は甚大になる。
■半導体の対中規制がリスク要因に
自動車以外では、半導体の対中規制の行方が注目される。米国は、中国への先端半導体製造装置の輸出を規制し、日本も米国に追随している。一方で汎用半導体の製造装置は規制の対象外となっている。その隙間に中国からの注文が集中し、日本の大手装置メーカーには売上高の半分近くを中国向けが占める企業もある。そうした中で、トランプ氏が対中規制を強化すれば、日本メーカーの業績が低迷するリスクもある。
「エネルギー業界ではトランプは歓迎だ」。自動車や半導体産業の懸念とは裏腹に、電力大手関係者からはこんな声も聞かれる。
■LNGの安定供給に期待
エネルギー政策を巡って、トランプ氏は大統領選の集会などで、液化天然ガス(LNG)の増産を繰り返し打ち出してきた。米国はLNGの新規の輸出許可申請を凍結しているが、トランプ氏による凍結解除が期待されている。
脱炭素への移行期のエネルギーとしてLNGを望む国は多く、安定供給や価格の安定という観点で日本を含めた利点は大きい。
とはいえ、トランプ氏はパリ協定からの脱退や電気自動車(EV)推進反対の立場をとっており、これまでの脱炭素の取り組みに水を差す懸念もある。中長期的な脱炭素の流れにどう影響するか見えない部分もあることから「一長一短があり、トータルでエネルギー業界にプラスになるかは分からない」
NY市場でテスラ株急騰 トランプ氏勝利、「マスク氏に有利」と期待
6日のニューヨーク株式市場で米電気自動車(EV)テスラの株価が急騰した。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が支援するトランプ氏が大統領選で勝利したことで、今後の事業展開に有利に働くとの期待が強まった。
前日終値に比べ13%高で取引を始めた。5日の時間外取引でも、トランプ氏優勢との情勢を受け、上昇していた。
トランプ氏はEV推進に反対の立場で、バイデン政権のEV購入補助策などを見直す考えを示している。トランプ政権誕生はEV業界にとって逆風のはずだが、テスラは自動運転技術の開発などにも力を入れており、市場では「テスラにとって非常にポジティブ。EV以外の分野で、明確な優位をもたらす可能性がある」(大手証券アナリスト)との見方が出ている。
マスク氏は7月のトランプ氏銃撃事件の後に支持を公言し、巨額の寄付金などで陣営を支えてきた。トランプ氏は新設する「政府効率化委員会」のトップにマスク氏を起用する考えを示している。
テスラは今年上半期の販売不振などで株価が低迷。5日の終値は年初比でほぼ横ばいだった。
熱狂のトランプ氏支持者 ハリス氏陣営はため息 開票、明暗くっきり・米大統領選
米大統領選の開票が行われた5日夜から6日未明にかけて共和党のトランプ前大統領、民主党のハリス副大統領双方の支持者は開票状況を固唾をのんで見守った。
6日未明、一部報道で「トランプ氏の当選」が伝えられると、同氏陣営が支持者を集めた南部フロリダ州ウエストパームビーチの会議場は熱狂に包まれた。約40分後にトランプ氏が姿を現すと、盛り上がりは最高潮に。「ありがとう」と切り出したトランプ氏を、支持者は「USA!」と連呼して迎えた。
一方、ニューヨーク市中心部のトランプタワー前には、20人余りの支持者が駆け付けた。ハンス・ホンシャーさん(51)は「非常にうれしい。トランプ氏がホワイトハウスに行けば、米国を偉大にしてくれるだろう」と喜びを語った。
ハリス氏陣営は首都ワシントンにある同氏の母校、黒人名門大ハワード大で開票イベントを開催。大勢の支持者がテレビの選挙速報を巨大モニターで見守った。開票序盤、激戦州の一部でリードが伝えられると、支持者らは拳を突き上げ、喜びをあらわにした。しかし、次第に激戦州を中心にトランプ氏がリードを奪い始めると、ため息を漏らす人が増えていった。
看護師ジョセフ・クルチャーさん(61)はハリス氏が争点とした「人工妊娠中絶の権利擁護がそれほど大きな影響をもたらさなかったことに驚いている」と指摘。陣営関係者が「ハリス氏は今夜演説をしない」と伝えると、支持者は会場から引き揚げ始めた。
ハリス氏の地元カリフォルニア州では、サンフランシスコのイベント会場に100人を超える支持者が集結。一部州でハリス氏の勝利が報じられるたびに沸き立ち、トランプ氏が勝ったと伝えられると一斉にブーイングした。
会場オーナーのマニー・イクティエルさんは「トランプ氏にもう4年担わせるなんて考えられない。ここから流れを変えないと」と語った。敗色が濃厚となると、支持者の女性(42)は「絶望的だ。恐怖で、この国から逃げた方がいいと思えてくる」と述べた。
「将来の大統領候補」ハリスの人気が凋落した理由
<輝きを失った背景には失言や人種差別なども指摘されるが根本的な問題はそこではない>
カマラ・ハリスは、ついに現代アメリカ史上最も不人気な副大統領になってしまった。
11月の世論調査では支持率が30%を割り込んだ。副大統領就任当時の輝きはどこへ消えてしまったのか。
人気急落の要因としては、バイデン政権で任されている政策の難しさ、不安定なコミュニケーション、そして女性初・黒人初・アジア系初の副大統領として直面する差別が主に指摘されている。これらの指摘は、いずれも的を射ている面がある。
まず、ハリスはバイデン政権で移民政策の陣頭指揮を執っているが、政権の移民政策を支持する人は35%にすぎない。しかも、移民問題はハリス自身の看板政策でもあるので、支持率へのダメージがひときわ大きいとされる。
また、コミュニケーション面にも確かに問題がある。つい最近のテレビインタビューでも救いようのない失言をした。今日のアメリカ社会のムードを「マレーズ(沈滞)」という言葉で表現したのだ。
アメリカがエネルギー危機などで苦しんでいた1979年、当時のカーター大統領は国民に向けてテレビ演説を行い、アメリカの「自信の危機」を指摘した。カーター自身は「マレーズ」という言葉を用いたわけでなかったが、この演説はマレーズ・スピーチと呼ばれるようになった。
翌80年の大統領選でカーターが再選に失敗したこともあり、政治の世界で「マレーズ」は負け犬を即座に連想させる言葉になっている。ハリスがインタビューでこの言葉を使ったことは、超弩級の失態と言わざるを得ない。
支持率急降下に関する最も手っ取り早い説明は、性差別と人種差別に原因を求めるものだ。この説を主張する人たちは、女性と男性、マイノリティーと白人の間で、ハリスの支持率に大きな落差があることを指摘する。
「ガラスの天井」を打破した人物は、とりわけ厳しい目で見られるというのだ。この3つの指摘は全て一面の真理を含んでいるが、いずれも人気急落の最大の根本原因ではない。
問題は、ハリスが「悪いボス」だという点にある。表舞台で活動する期間が長くなるほど、この欠点が際立ってきている。
思い出してほしい。2020年大統領選の民主党候補者指名レースの序盤、ハリスは注目株として脚光を浴び、一時は世論調査の支持率で2位に立ったこともあった。
しかし、勢いは長続きしなかった。陣営の内紛、コミュニケーションと資金集めの不手際、ボランティアの士気低下により、選挙運動はうまくいかなくなり、多くのスタッフが逃げ出した。
副大統領就任後も同じことが繰り返されている。幹部の退任が相次いでいるのだ。スタッフはハリスを「沈みかけている船」と感じ、早々に脱出しようとしているという話も聞こえてくる。
ハリスが部下をいじめる「意地悪な上司」だという噂もある。この噂を裏付けるように見える材料は、大統領選や副大統領就任後にスタッフが続々と離職していることだけではない。上院議員時代の19年、ハリスの事務所スタッフの離職率は、アメリカの上院議員100人の中で最も高かった。
ハリスは女性初・黒人初・アジア系初の副大統領になり、新しい歴史を切り開いた。しかし、アメリカ政治の最高位のポストを目指すなら、シドニー・フィンケルシュタインの著書『SUPER BOSS(スーパーボス)』(邦訳・日経BP社)を読むことを勧めたい。
「ボス」が部下を大切にし、大きな期待を寄せ、絆を育まなければ、部下は傑出した成果を上げられない。ハリスはこれらの点で「ボス」の役割を果たせていない。政治家として輝きを失いつつある最大の原因はそこにある。
