10年後のエンジニアに必要なスキル
先日、友人と10年前について話す機会がありました。
いまから10年前といえば、2014年。当時はやったモノを調べてみたら「アナと雪の女王」や「妖怪ウォッチ」。はやった曲はディズニー映画『アナと雪の女王』の主題歌「レット・イット・ゴー~ありのままで~」や、西野カナの「Darling」。流行語大賞は日本エレキテル連合の「ダメよ~ダメダメ」でした。
「アナ雪」はつい最近のような気がするし、「ダメよ~ダメダメ」はもっと前のような気もしますが(笑)、同じ10年でも感じ方が異なるのが面白い。そう考えると、10年という時間軸は「長いようで短い」「短いようで長い」ものなのかもしれません。
10年前、皆さんは何をしていましたか?
環境変化で容易に変わる時間軸
長くもあり、短くもある時間軸ですが、環境変化によって「急激に変わることもある」のが時間軸の特徴です。
例えば働き方。コロナ禍によって、テレワークをはじめとした働き方が急激に変化しましたよね。「オフィスに行かなくても在宅勤務で仕事ができる」「打ち合わせに行かなくてもリモートでOK」といった働き方の変化に、恩恵を受けたエンジニアも多かったのではないでしょうか。
でも、よくよく考えてみると、もしコロナ禍がなかったら、現在のような形になるまでに「10年以上の月日が必要だったんじゃないか」と思っていて。
このように考えてみると、10年という時間軸は固定的なもののように見えて、実は「環境変化によって容易に変化するもの」なのでしょう。
「これからの10年」はどうなる?
ここからは未来について考えてみます。
環境変化によって容易に変化するのが時間軸なのだとしたら、「これからの10年」を考えたとき、いったいどうなるのか、正直なところ、よく分かりませんよね。ひょっとしたら、コロナ禍のようなことが再びあるかもしれませんし、ないかもしれません。南海トラフ地震のような大きな天変地異があるかもしれませんし、ないかもしれません。
見えない未来を憂いても仕方がない。それならば、いまできることを一生懸命やればいい。それも一つの考え方ですし、それでいいんだと思います。
でも、見えないなりに「未来は、こんなふうになるんじゃないか?」と想像しておくのは悪いことじゃない、特に「エンジニアの10年」を想像しておくことは、これから歩んでいく未来の道しるべになるんじゃないかと思います。
そこで、ここからは10年後に思いをはせて「エンジニアの未来」を想像してみます。
「エンジニアの未来」を想像してみる
10年後の未来を想像してみると……時は2034年です。
僕の見立てでは、エンジニアの2034年は「多くの人たちから求められ、活躍している未来」が想像できます。
もちろん、未来に何が起こるのかは分かりません。ですが、この見立ては当てずっぽうでもなければ、単なる妄想でもありません。
この見立ての基になっているのは、人口減少です。2023年の日本人人口は1億2119万3000人で、前年に比べ83万7000人減少しました。12年連続で減少幅が拡大しています。山梨県の人口が約80万人ですから、毎年1つの県がなくなるぐらいの勢いで人口が減っていることになります。人口減少は今後も進むとみられています。
人口減少による今後の労働環境について、リクルートワークス研究所は『未来予測2040』で、今後の日本社会は「労働供給制約社会」になると分析しています。労働供給制約社会とは、その言葉の通り「労働力が供給できなくなる社会」です。
この予測から、エンジニアのこんな未来が想像できます。2034年の日本は……。
・現在よりも、人口減少がますます進む
・その結果、労働供給制約社会になり、労働力が不足する
・その結果、業務の効率化や業務改善が必須となる
・その結果、デジタル化やDX(デジタルトランスフォーメーション)が必要となる
・その結果、エンジニアのニーズが高まる
また、地方をはじめ人口が少ないところは、そこに住む人自体が減少するため、企業が近隣で人材を募集しても採用できなくなります。その結果、地域外の人材とリモートでつながりながら仕事をしたりする人や、副業のような形で地域と関わる人が増えるのではないかとみています。
このような状況を想像すると、エンジニアが活躍している10年後の未来は、現在の形とは少し異なっているのではないかと思います。
これからのエンジニアに必要となるスキル
エンジニアといえば、これまでは、プログラミング言語のような高度なスキルを身に付けて仕事をする「なれる人しかなれない」イメージでした。
しかし未来は、人材不足に始まる課題が山積していきます。その結果エンジニアに求められるのは「いかに早く業務改善をするか」「いかに早くデジタル化するか」のような、「高度さ」よりも「容易さ」や「スピード感」になっていくのではないかとみています。
そこで必要となるのは、習得が難しい高度なプログラミングスキルよりも、ノーコードツールのような、少しの知識と経験があれば使いこなせるツールのスキルや、業務課題をできるだけ早くデジタルツールに落とし込むための「業務改善能力」、顧客が課題だと思っていることを言語化し、デジタル化の糸口を探る「コミュニケーション能力」などではないかと思います。
ポイントは、人材がいなくなり課題が山積していく中で「できるだけ早く業務改善する能力」です。
だからといって、プログラミングのような高度なスキルが必要なくなるという意味ではもちろんありません。ノーコードツールのような便利なツールや、リモートでも働けるようなツールを開発するためには、高度なスキルは必要でしょう。
ですが、それ以上に、ビジネスの現場では人材不足による影響が顕著になって表れてくるため、「高度さ」よりも「業務改善するためのツールや、それを業務に適用できる人の存在」のニーズが高まるのではないかとみています。
年齢は制約ではなくなる
かつてIT業界では「35歳定年説」がまことしやかにささやかれていました。「エンジニアは35歳以上になると、技術についていけなくなる」「ニーズがなくなる」といった通説です。
しかし人材不足が進み、「業務改善するためのツールや、それを実務に適用できる人の存在」が重要になっていく今後は、35歳定年説は過去の話になっていくでしょう。
なぜなら、今後はビジネス現場における課題を解決していくことが重要になっていくため、「高度なスキルがある」ことよりも、「業務に精通していて、ITはそこそこ詳しい」くらいの方が市場のニーズが高まっていく。そう考えると、実務経験が豊富なことが強みになるし、ノーコードのような使い勝手の良いツールを使えば、業務改善はできる。35歳以上も活躍できるシーンが十分想像できます。
実際、先日SNSを通じて、ある60代のエンジニアから連絡を頂きました。私がかつて書いた「『35歳で定年』など絶対にない エンジニアは『長く活躍できる時代』へ」という記事をご覧いただいたのだそうです。「パブリッククラウドは学びやすく、年齢や経験を問わず習得可能な技術に進化を遂げていること、この事実を多くの人に知ってほしい」とのことでした。
35歳定年説がまことしやかにささやかれていた時代と比べると考えられないことです。僕たちが働く環境は少しずつ、でも確実に変わっていることを実感しました。
未来をおぼろげながらに見て、歩む
ここまでが、これからの「エンジニアの10年」を想像したときの僕の見立てですが、冒頭でお話ししたように、10年という時間軸はあいまいで、実際の未来がこのようになるのか否かは分かりません。
ですが、一寸(いっすん)先が闇でお先真っ暗な未来を歩むのと、ぼんやりとはしていても、おぼろげながらに先が見える未来を歩むのとでは、歩み方は変わってくるでしょうし、未来に対する安心感や戦略が変わってくるのではないかと思います。
皆さんも「エンジニアの10年」を想像してみてください。そして、自分なりに言葉にしてみてください。いろんな可能性があっていいと思います。
