京セラの高耐久スマホ「TORQUE」が誕生10周年。撤退後も開発を続ける特殊な事情

京セラの高耐久スマホ「TORQUE」が誕生10周年。撤退後も開発を続ける特殊な事情

2023年に個人向けスマートフォン事業からの撤退を発表した京セラだったが、同社のシリーズの中で唯一「撤退しない」製品が存在する。

それが、タフネススマートフォン「TORQUE(トルク)」シリーズだ。

京セラは10月9日は「TORQUEの日」(京セラが制定、日本記念日協会認定)に合わせて、TORQUEシリーズの歴史やファン向け企画を紹介する説明会を実施。同社のスマホ事業の今後の方向性が語られた。

TORQUEは「耐久性」以外の特徴も重視

TORQUEは、耐久性に優れたタフネススマートフォンとして、ユーザーの支持を集めてきた。

初代の「TORQUE SKT01」が発表されたのは2014年1月。アメリカ国防省が制定したMIL-STD 810Gの11項目に準拠するスマートフォンとしては、当時の国内で初めての導入となった。

現行モデルの「TORQUE G06」は2023年9月に発表され、KDDIが販売。

従来の温度耐久試験に加え、耐衝撃試験や打撃試験など、29項目の試験をクリアしたスマートフォンだ。

当初は「とにかく強いこと」がアピールされたTORQUEだが、時代の変化に合わせたアップグレードも図られてきた。

ただ近年では、TORQUEのような高耐久スマホに限らず、多くの端末が防水・防じんに対応するようになった。

京セラでプロダクト戦略部責任者を務める伊東恭弘氏は、「世の中にある(スマートフォン)端末はどんどん頑丈になり、(TORQUEの)耐久性という魅力が弱まっている」と語る。

そこで、京セラはTORQUEにおいてタフネスにとどまらない周辺機能の開発に努めている。

例えばTORQUE G06では、マクロカメラを搭載した3眼カメラを採用。「虫眼鏡フォト」や「ボディカメラモード」などの撮影機能も充実している。

KDDIが「TORQUE G06」を10月発売、京セラ個人向けスマホ撤退後もタフネススマホは生き残る理由

KDDIは9月28日、京セラ製新型スマートフォン「TORQUE G06」を発表した。価格は9万8000円(税込)で、10月19日に発売予定。

TORQUEは防水・防じんはもちろん高い対衝撃性能などを兼ね備えた京セラのタフネスモデル。2013年にアメリカで登場し、2014年以降は日本でもKDDIから発売されており、アウトドアを楽しむ個人、物流、建築、農業などの法人需要も高い製品だ。

京セラは5月に開催した決算会見で、個人向け携帯電話端末事業から撤退すると表明しており、同社端末の中でも国内に代替機種がほとんどないTORQUEの行く末に注目が集まっていた。

耐久性やバッテリーを強化しつつ、小型&軽量化

TORQUE G06はその名の通り、KDDIが取り扱うストレート型のスマートフォンとしては6代目にあたる。

水深2メートルの海水に耐える耐海水や対氷結、ハンドソープで洗える耐薬品性能など、TORQUEの顔である耐久性についてはそのまま。2メートルの高さからアスファルトへ落下させても壊れにくい対衝撃、尖ったものを画面に落としても割れにくい対打撃性が強化されている。

耐久性を強化した上で、本体の軽量・小型化とカメラ機能の強化を図ったのがG06の進化点だ。

サイズは、端末の縦方向が前機種の「TORQUE 5G」より13mm短い約154mm、重量は14g軽い約234g。実際に持ってみると、重さの変化はわずかだが、縦方向に短くなったことで片手でも比較的操作しやすくなっていた。

小型化・軽量化の一方でバッテリー容量は4000mAhから4270mAhに増加。さらに、従来機同様、バッテリーの取り外しおよびバッテリー単体での充電にも対応している。

一方で、前機種では交換が可能だった正面カバーの取り外しができなくなっている。

カメラは超広角1600万画素、広角6400万画素、マクロ200万画素と、TORQUEシリーズ初となる3眼構成に。マクロと広角レンズを同時に使って撮影する新機能「虫眼鏡フォト」などもある。

アウトドアを意識した別売のアクセサリーも用意。スマホ用の浮き具(水中に落ちた場合に浮き上がってくるのをサポートする浮き)のような役割を持つ「フローティングストラップ」はTORQUE 5Gのものと同じだが、自転車やバイクなどに搭載するための「マルチホルダー」とカバン等にぶら下げられる「ハードホルダー」はG06専用のものになる。

前述の通り、国内で現在流通しているスマホでTORQUEと同じ耐久性やアウトドアやアクティビティに特化した特徴をもつ端末はほぼない。愛用しているユーザーはもちろん、これからスマホを過酷な現場で使いたい個人ユーザーにとっては、本機種一択という状況になっている。

KDDIが個人向けにTORQUEを販売継続した背景

気になるのは個人向けスマホ事業から撤退した京セラのサポート体制と今後のTORQUEシリーズの行く末だ。

KDDIでTORQUEシリーズを担当する近藤隆行氏は、事前に実施された記者説明会の中で「(撤退発表の)前から(G06の開発に)着手していたが、継続性についても議論した」と明かし、「サポート面はクリアーしている」と語っている。

KDDIはフィーチャーフォン時代からカシオ計算機(のちのNECカシオ)の「G'z One」シリーズでタフネスモデルを展開していたが、メーカーであるNECカシオが2013年にスマホの開発を終了。NECカシオは以降NECの完全子会社のNECモバイルコミュニケーションズとしてフィーチャーフォンの開発をし、2016年に解散した。

その後、G'z Oneは2021年にAndroid搭載フィーチャーフォン(いわゆる「ガラホ」)として京セラが製造することで再登場。スマホに関しては、2014年以降京セラ自身のブランドである「TORQUE」シリーズがKDDIのタフネスモデルのポジションを担ってきた。

奇しくも、「G'z One」も「TORQUE」もメーカーそのものの事業継続の判断で存在が危ぶまれたわけだ。KDDIは「基本的にはお客様のニーズに応えるのが使命」とし、「要望がある限り、なんらかの形で継続していきたい」(いずれも近藤氏)と考えを示した。

その背景にはタフネスモデルの根強いファンがいることも確かだが、ビジネス的には法人需要もある。

例えば、2019年に登場した「TORQUE G04」はヤマト運輸にも納品されており、高耐久性を求める現場のニーズは一定数存在する。

近藤氏は具体的な数値は示さなかったが、個人と法人の需要は「ほぼ半々」とし、京セラの個人向け携帯電話端末事業撤退のニュースの後には「法人からも今後の商品やサポート面が問い合わせがあった」としている。

G06の特徴のカメラや新機能の部分はコンシューマー寄りの特徴だが、今後は京セラとも協力し、「個別のアプリやソリューションを提供」して業界や個社によって事情が変わる法人ニーズに応えていく方針だ。

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