実りの秋に異変 カメムシが大量発生 成長段階の稲に寄生、各地に広がる被害
ようやく迎えた「実りの秋」に異変が起きています。記録的な猛暑に加え、大量発生した“難敵”が農家を困らせていました。
品薄で価格が急騰し“令和のコメ騒動”とも言われるなかで待ちに待った新米の時期ですが、今年のコメに異変が起きているといいます。
愛知県豊田市で長くコメを作っている、牧和範さんに、話を聞きました。
Q.今年のコメの出来は
「ぱっと見る限り悪くはないように見えるが、実際は高温障害などがあり、収穫してみないとわからないが(出来は)どうかなといった感じ」(農事組合法人 若竹 牧和範代表)
すでに、収穫が終わった「コシヒカリの玄米」を見せてもらうと―。
「高温障害があると、透き通ったコメではなくて、コメの真ん中が真っ白になってきちゃう」(牧さん)
長く続いた暑さが、愛知県内のコメに大きな影響を与えています。
収穫されたコメは、透明度やひび割れの具合などにより、1等級、2等級、3等級、規格外とランク付けされます。
JA愛知経済連によりますと、この秋にJAが県内で集荷したコシヒカリの場合、2等級は全体の32%で、去年の同じ時期より約20ポイント減少。1等級は0.2%で、去年の2%から数字を落としました。
カメムシが成長段階の稲に寄生
さらに、去年から“ある被害”にも、頭を悩ませているといいます。
「カメムシが吸った虫害があったモミなんですけど、モミにぷすっと針をさして、それを吸うんですね。それを吸うとコメに栄養がなくなってしまうので、軽くなってしまっているので垂れない、正常できれいにコメが入っているものは垂れる」(牧さん)
牧さんによると、今年になりカメムシが増加したといいます。
カメムシが成長段階の稲に寄生しコメを黒くしてしまいます。
各地に広がるカメムシの被害
牧さんは、今年、草刈りや農薬散布など対策に追われたと話します。
「肥えを変えたりとか、水の管理を変えたり、対策という対策はするが、正直自然相手なので、ほんとうに(対策を)やり尽くした感じ。資材や機械は、物価の高騰ですごく高い。今年に限ってはカメムシの防除をする作業が増えるので、実際のところは投資が大きくなっていると感じている」(牧さん)
カメムシの被害は愛知県にとどまらず、各地に広がっています。
岐阜県は7月、コメに悪影響をもたらすカメムシの急増を受け、注意報を発表しました。
急増の要因について岐阜県は、暖冬の影響で冬を越すカメムシの成虫が増え、産卵数が増えたためだとしています。
カキにもカメムシの猛攻撃を受けた跡が…
影響は、岐阜県瑞穂市発祥の富有柿でも…色づく前の緑色のカキの一部が、黒くなっています。この被害の正体も…。
「黒くなっているのがカメムシに吸われた跡。9月になってから急に増え始めまして、収穫前までに2~3倍以上被害が増えるのではないかと予測しています」(せっきーファーム 関谷英樹さん)
黒い斑点は、果樹を好む3種類のカメムシの猛攻撃を受けた跡です。
「せっきーファーム」では例年、約20トンのカキを11月ごろに出荷しています。
今のところ被害が出ているカキは1割程度ですが、出荷までにどこまで被害が広がるか心配しています。
「収穫前に被害が出始めるのは悲しいです」
さらに、農園を案内してもらうと…。
「日焼けの跡なんです、ここだけ光が当たりすぎて」(関谷さん)
あちらこちらでカメムシと同じく、1割ほどが被害にあっているというのが猛暑の影響による日焼けです。
色づき始めたのではなく、一部が赤くなってしまっています。
「あまりにも暑すぎて日光が強すぎるからですかね。数年間で増え始めて今年は特に日焼けの被害が多い。困ったなっていうところ」(関谷さん)
7月ごろから出始めていた被害がまだ続いていますが、対策は難しいということです。
「カメムシだと防除をして被害を防いできたが、カメムシの量が多く防除も(消毒を)何回もするわけにはいかないので、簡単に対策はできない。1年間かけて育てている柿なので、収穫前に被害が出始めるのは悲しいです」
実りの秋に異変 カメムシが大量発生 成長段階の稲に寄生、各地に広がる被害 (24/09/25 17:48)
カメムシ潰してレモンを絞るとコーラの香りになる【ENG SUB】