生成AIによって音楽やバンドばかりか、リスナーまでも偽造…!「米国の詐欺師」が音楽配信業者から「10億円以上もの印税」を盗み取った、悪質すぎる手口

生成AIによって音楽やバンドばかりか、リスナーまでも偽造…!「米国の詐欺師」が音楽配信業者から「10億円以上もの印税」を盗み取った、悪質すぎる手口

米国の詐欺師(男性)が生成AIを使ってポップソングなどの楽曲を続々と作り出し、これらの音楽をストリーミング配信して多数のボット・リスナー(人間のリスナーを装った自動応答ソフト)に総計数十億回も聴かせた(再生させた)。

この手口によって、スポティファイやユーチューブ・ミュージックなどの音楽配信業者から、過去7年余りで総額1000万ドル以上(当時の平均為替レートで11億円以上)の印税をだまし取った疑いで先週逮捕・起訴された。

生成AIで短時間に大量の音楽を粗製乱造

米国で先週水曜日(9月4日)に逮捕・起訴された男性は、米ノースカロライナ州のマイケル・スミス容疑者(52歳)。彼がこの悪事に手を染めたのは2017年のことだ。

当時は今のように言葉でAIに指示(プロンプト)を出せば簡単に音楽を作れる時代ではなかったが、それでも音楽を生成するAIは既に存在していた。こうしたAIでは、ユーザーがこれから作ろうとする楽曲の「ジャンル」「テンポ」「曲の長さ」「曲調(メジャー、マイナーなど)」「使用される楽器」などの各種パラメーター(変数)を指定することで、そうしたリクエストに沿った音楽をAIが自動生成してくれる。

ただし、それらのパラメーターを設定するためには、ユーザーの方でもある程度音楽の専門知識が必要とされる。スミス容疑者も本来の職業はミュージシャンであったことから、そうしたAIを使いこなすための知識は備えていた。

彼は知人の音楽プロモーターやAI開発企業の幹部らと手を組んで、当時の音楽生成AIを使って短時間に大量の楽曲を作り出し、これらを音楽配信のプラットフォームからストリーミング配信して巨額の印税を稼ぐことにした。

ただ、このようにしてAIが作り出す大量の楽曲は粗製乱造であるが故に、私達(人間のリスナー)が聴いて楽しめるレベルに達していない。そこでスミス容疑者らは、AIが生成した低品質の音楽をわざわざストリーミング配信で聴いてくれるリスナーまでもAIで偽造することにした。

約1万人分のボット・リスナーを偽造

スミス容疑者はブラックマーケットで入手した大量のEメール・アドレスを基に、スポッティファイやユーチューブ、アップル、アマゾン(・ミュージック)など音楽配信プラットフォーム上で約1万人分のボット・アカウント(リスナー)を作り出した。

これらのボット・リスナーは、スミス容疑者らが生成AIで製作した楽曲を何度も繰り返して再生するように設計された。

一方生成AIで続々と製作される音楽ファイルには最初「n7b3c-895d……」など機械的な識別名が振られていたが、これを「ザイゴティックレイニー」や「コーラスヒューメイン」など、いかにもそれらしい楽曲名に自動変換するソフトも開発した。

さらに「カームナックルズ」や「キャメルエディブル」などバンド名も自動的に生成して、これら偽造アーティストの偽造楽曲を前述の音楽配信プラットフォームに大量にアップした。これら大量のAI製音楽を、毎日1万人以上のボット・リスナーが繰り返し再生して聴くことになったのである。

スポティファイやユーチューブ・ミュージックのような音楽配信プラットフォームでは、ストリーミング配信される楽曲の再生回数に比例して各々の楽曲に印税が支払われる。しかし調子に乗って一挙に数十億回もの膨大な再生回数(つまり印税)を稼ぎ出せば、プラットフォーマー(音楽配信業者)の目に留まって詐欺がバレてしまう。

詐欺がバレないように1日の再生回数を制限

スミス容疑者らはその辺りを慎重に検討した結果、生成AIによる偽造楽曲のストリーミング再生回数を1日66万回程度に留めることにした。これによって1日に約3300ドルの印税を稼ぎ出したが、これを毎日続ければ年間では約120万ドルの荒稼ぎとなる(ただし年によって上下のばらつきはあったようだ)。

これを2017年から最近まで7年以上にわたって続けることで、総額1000万ドル以上(11億円以上)の印税を(前掲の)音楽配信業者らから騙し取ったという。

しかし、どれほど巧妙な詐欺でもいつかはバレるときがくる。米国で音楽配信業者の代理として印税を分配する「MLC(Mechanical Licensing Collective)」という団体が昨年、スミス容疑者らの犯罪を突き止めて告発した。ここからニューヨーク州地方検事やFBI(連邦捜査局)などによる捜査を経て、同容疑者の逮捕・起訴へと至った。一方、彼の共謀者らは未だ逮捕されていないようだ。

起訴されたスミス容疑者には「電子通信詐欺」や「資金洗浄」など複数の罪状がかけられ、今後裁判で有罪が確定すれば、各々の罪状に最高20年の禁固刑が言い渡される可能性があるという。

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