今度は五輪メダルに問題発生 わずか獲得1週間で「塗装が剥がれて…」発覚した劣化ぶりに海外絶句
パリ五輪
パリ五輪のスケートボード男子ストリートで銅メダルを獲得したナイジャ・ヒューストン(米国)が、メダルの劣化ぶりを披露したと海外で話題になっている。英紙「ザ・サン」が報じた。
7月29日に行われた決勝で、2大会連続の金メダルに輝いた日本の堀米雄斗らとハイレベルな戦いを演じたヒューストン。五輪で初めて獲得したメダルとなったが、英紙「ザ・サン」は激闘から1週間が経過した衝撃の姿が明らかになったと伝えている。
記事によれば、ヒューストンは自身のインスタグラムに動画を投稿。その中で「新しい時のメダルは素晴らしい見た目さ。でも、汗のかいた肌にちょっとだけ触れたり週末友人にかけたりしただけで劣化してしまったように感じる。君たちが思っているほど明らかに質は高くないよ」「表面でさえ塗装がはがれ始めている。五輪メダルのクオリティがもう少しだけ良くなって欲しいね」と語ったという。
このヒューストンの動画公開について、同紙は「ナイジャ・ヒューストンは米国に帰国後、現在はカリフォルニア州のラグナ・ビーチに滞在中。友人たちと休暇を楽しみ太陽を浴びる中、彼の新たなメダルも披露している。しかし、それは授与された時ほど、もはや綺麗ではなくなっている」と報じた。
さらにSNS上の海外ファンから、「1982年に手に入れたみたい」「オリンピックのゴミ」「なんてクオリティーだ」「レシート取ってる?」「金色は良い状態なんじゃないか」などの声が上がっていることも紹介していた。今大会は主催者の選手村の食事や、選手のバス輸送のオペレーションなどの不備が次々噴出。さらにメダルの質まで新たに問題となりそうだ。
「これがフランスだ」パリ五輪“お粗末運営”に失望の声…現地記者が聞いた“選手の本音”「選手村は盗難が怖い」「東京五輪はもっと評価されるべき」
「これがフランスだ」
一体、パリ五輪の競技会場で何回聞いたことだろう。
「こういうところがあるんだよね。フランスって」
基本的には皮肉で用いられるこの言い回し。例えば、こんな感じ。
メディアセンターという各国の報道機関が集う施設があるのだが、そこで選手や試合情報を伝える公式サービス「MyINFO」の説明会が12時に予定されていた。
少し前に会場につくと、スタッフは「説明会は1Fでやるようだよ」と言う。
その言葉に従い、1Fの記者会見場に行くと100席ほどのシートに10名ほどの各国メディアが点在して座っている。壇上には誰もいない。広報担当らしきスタッフもおらず、始まる気配もない。
15分ほどが過ぎ、スタッフが慌てて駆け込んで伝える。
「上の2Fでやる予定です」
また変更か。行ってみると、会見は始まっていない。3分ほど待つと、スタッフが驚きの事実を告げる。
「12時に説明会を行うスタッフが来たのですが、誰も参加者がいませんでした。なのでキャンセルになりました」
1Fに場所の変更を告げられていた各国のメディアが英語でまくしたてる。
「1Fの別の部屋を案内されていたんだから、来られるワケないだろ!」「担当者早く来い!」「何か代わりの説明の機会はないのか」
何を言ってもひっくり返らない気がしたので、部屋をあとにしようとすると、190cmほどの大柄な欧米系の男性と目が合った。
「これがフランスだ」
オランダから来たというその男性記者は、苦笑いをしながらそう語る。
「施設とかデザイン、見せ方はいいんだけど、運営面にこういうところがあるんだよね。フランスって」
なんとなくそう思ってはいたが、ベルギーを挟んで陸続きの近隣国の記者に言われて、確信に変わる。これがフランス式オペレーションなのだと。
「昨日は入れたのに…」出入口の変更は日常茶飯事
出入口が変わることは日常茶飯事で、昨日入れたエリアに今日は入れなくなる。ある競技会場では開会式までは練習場に入れたが、開会式後は練習場にアクセスできなくなった。スタッフに問うと「それはたしかにおかしいね」と、掛け合って、交渉してくれた。交渉先は会場のセキュリティ。警察やセキュリティは基本、保守的というか面倒くさがりで、変更をよしとしない。報道担当の責任者に結局こう告げられた。
「私も公開練習の時はメディアも入れるべきだと思うんだけど、セキュリティがなぜだか今日は変更したくないみたい。明日には変わっていると思うけど(笑)」
案内してくれた日本人のボランティアスタッフもその言葉を聞いて、淡々とこう語る。
「あー、これがフランスです」
スタッフはボランティア含めておしなべて親切で表情が明るい。ボランティアはフランス人だけでなく、出会っただけでもスペイン、アメリカ、オマーン、中国、日本などからも参加している。ボランティアは優しいのだが、本部から情報が伝わっていないようで、情報が錯綜することがしばしば。スタッフ10人に聞いてやっと地下鉄の駅から競技会場の報道専用入口にたどり着けたこともあった。筆者は当初「なぜ?」と理不尽に思うこともあったが、2週間ほど滞在した今では、別の場所を案内されても驚くことなく、受け入れられるようになった。いつかたどり着けるはずだ、セボン(大丈夫)、セボン。
一方で、警備面はかなり厳格に運営されている感はある。サッカー日本代表のある試合では応援の太鼓が保安上の理由から没収されるなど厳しくチェック。開会式の日が一番街中の警備が多かったが、それを終えても地下鉄の駅や市内の各所を警察が巡回している。筆者は9年ほど前にパリに来たことがあるのだが、肌感覚としては警察がいることで治安的にはかなり良化している印象だ。
五輪の競技会場に話を戻すと、エントランスで誰であってもセキュリティチェックを受ける。競技会場にはどこからでも入れるわけではなく、出入口が限られ、厳格に取り決めている。どんな人が入るエントランスか区切ったうえでセキュリティチェックを行いたい、という考えがあるのだろう。そのため、再入場時も同じようにチェックを行い、その度にQRコードが求められる。
日本人選手の本音「選手村は不自由。盗難が怖い」
開会式で映し出された気球をめぐってもフランス式オペレーションが行われていた。気球が飛ばされるチュイルリー公園。気球を見に行ったパリ滞在中の日本人が語る。
「日没時刻の21時半に飛ばされると聞いて行ってみると、300人ほどが待っていたが、なかなか飛ばない。そしたら、直前になって『今日は中止です』と告げられました。別の日に行くと、23時になってようやく飛んだ(笑)。急な変更が相次いでいます」
トライアスロンのセーヌ川での開催や柔道団体戦での「デジタルルーレット」を巡って、競技大会の運営にも疑義が生じている。そして選手が過ごす選手村でも盗難などのトラブルが相次いでいる。日本人のある選手はこう明かす。
「自分は不自由な環境になると想定していたので、競技の直前は選手村からもともと離れる予定でいました。ただ、一度村に入ってみて、友人からは『部屋を閉めないと物が盗まれる』と聞きました。そういった不自由さを体験して、やはり村の外に泊まることにしました」
部屋にはエアコンがないことでも知られているが、JOCが選手たちにエアコン機器を提供。自らホースをつなぎ、組み立てる必要があるものの、「おかげで温度調整ができて快適にすごせています」と選手は感謝している。
記者が選手村を訪れるとバス停にどう向かえばいいか迷っている日本人選手を何人か見た。そして乗ったとしても「バスガチャ」が待っている。
「バスがいつ来るかわからないんです。かなり早めに出ないと遅れるかもと思って、いつも以上に早めに乗っています」(日本人選手)
また、乗ったバスにもエアコンが付いているとは限らない。そして降りた先でも出入口がどこか迷う選手も多い。
「東京五輪はもっと評価されるべき」パリとの違い
運営面でさまざまな課題が指摘されるパリ五輪。果たして、東京五輪と比べて、どう評価されているのだろうか。
東京五輪とパリ五輪に出場したトライアスロンのニナー賢治に英語で聞いた。パース生まれで、オーストラリアの大学を卒業し、2021年に日本国籍を取得した31歳。多角的な視点を持つミックスルーツのアスリートは、東京五輪と比較してこう語る。
「選手村のインフラや競技イベントの進行を見ていくと全然違います。日本は組織や運営に関してうまくまとめることで世界的によく知られています。残念なことにコロナ禍がありましたが、最善を尽くして、最高のオリンピックを開催しようとしました。それは非常に難しいプロジェクトでした。他のどの国もそれができたとは思いません。ウイルスを封じ込めつつ他の国でオリンピックを開催するのはほぼ不可能なのかなと思っています」
批判が渦巻く中で行われた東京五輪。もしコロナが直撃していなかったら……そう考えた人がどれほどいただろう。ニナーは開催した日本への感謝を口にする。
「それでも日本はやり遂げたのです。日本の市民がどれだけこれを評価しているかは分かりませんが、選手として私は非常に感謝しています。その点でもっともっと評価されるべきです」