新型コロナ、8~9月に流行拡大 有識者、治療費軽減を要望
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、厚生労働省は22日、有識者から医療機関や高齢者施設などの状況に関するヒアリングを実施した。国立感染症研究所は8~9月にかけ流行が拡大すると予測。出席者からは新型コロナの治療薬代が高額だとして負担軽減を求める声が上がった。
武見敬三厚労相は「昨年を上回る形で感染者が増加しており、熱中症と合わせて警戒するべきだ」と呼びかけた。その上で、夏の感染対策のポイントとして換気や手指消毒などを挙げた。
新型コロナの医療費は3月末で公費支援が終わり、4月から通常の医療体制になった。薬の通常窓口負担が1万5千円から3万円程度かかる。
コロナ「11波」10週連続増 45都府県で拡大、最多3県
厚生労働省は19日、全国約5千の定点医療機関から8~14日に報告された新型コロナウイルスの感染者数は5万5072人だったと発表した。1医療機関当たり11.18人で、前週比1.39倍。10週連続の増加となった。広がりやすいとされる変異株「KP・3」が主流。過去の流行でも夏に感染拡大が見られており、専門家は「第11波に入っている」との見方を強め、対策を促している。
1医療機関当たりの感染者数はインフルエンザでは流行の注意報を出す基準の10人を越えた。45都府県で増加し、熊本(26.33人)、宮崎(29.34人)、鹿児島(31.75人)の3県では5類移行後最多を更新した。このほか佐賀(29.46人)など、九州、沖縄が多い傾向となっている。少なかったのは青森2.67人、秋田3.13人、山形4.41人。
流行中のKP・3は冬に多く検出されたオミクロン株「JN・1」から派生し、4~5月ごろに主流となった。東大研究チームはJN・1と比べ、感染やワクチンによる免疫を逃れる力が強いという分析結果を発表している。
「コロナ11波、危ない状況」 長崎大・泉川教授 医療機関で陽性者急増、入院延期のケースも
長崎大学病院感染制御教育センター長の泉川公一教授が19日、取材に応じ、新型コロナウイルスの感染者が増えている状況について「流行第11波に入っている」との認識を示した。県内の医療機関で入院患者や医療スタッフの陽性者も急増しているとして「非常に危ない状況」と強調した。
泉川氏が県内21の主要な医療機関に確認したところ、同日時点で入院患者の陽性者が少なくとも253人、医療スタッフは110人以上いることが分かった。10人を超える院内クラスター(感染者集団)の発生や、病室の確保が難しいため、治療が必要な患者の入院を延期したといった報告もあったという。
泉川氏は「スタッフの疲労はピークに達していると切実な声が寄せられている。病院の一歩外に出ると何もないように見えるが、こうした中の状況を分かってもらいたい」と訴えた。
県が18日に公表した感染症発生動向調査速報によると、県内70の定点医療機関で8~14日の新型コロナ感染者は1568人(前週比685人増)、1定点当たりの報告数は22.40人(同9.79人増)。5週連続で増え、今年最多となった。昨年5月に法律上の「5類」に引き下げられて以降、感染者が最も多かった同7月下旬(2120人、1定点当たりの報告数30.29人)の水準に迫る。
泉川氏は「過去4年間の経験からいくと、人が動く夏休みは陽性者が増える。今後も増え続けることは間違いないだろう」と見方を示した。
全国で現在流行する「KP・3」と呼ばれる変異株については「感染力や伝播力が強く、過去の感染やワクチンで得た免疫から逃れやすいことが分かっている」と説明。県内でも置き換わっているとの見解を示し、高齢者や基礎疾患がある人などの重症化リスクを指摘した。
その上で「このまま陽性者が増え続けると、必要な治療が受けられないといった影響が出てくる可能性があることを知ってほしい」と理解を求めた。
県医師会は「発熱や風邪の症状などがある場合は受診する前に、まずはかかりつけ医や最寄りの診療所に電話してもらいたい」と呼びかけている。
