「水道水だけで健康診断に異変が…」国の調査には現れていない「PFAS汚染」の知られざる実態と全国141カ所ハザードマップ

「水道水だけで健康診断に異変が…」国の調査には現れていない「PFAS汚染」の知られざる実態と全国141カ所ハザードマップ

 かつて「日本人は水と安全はタダだと思っている」と評された時代が懐かしい。今や各地の水源地では健康リスクの高い化学物質による汚染報告が相次ぎ、政府の対策も後手に回っている。日本の水道水に今、いったい何が起こっているのか。汚染現場の最新レポートをお届けする。

 世界広しといえど、飲用できる水道水を一般家庭へ供給できている国は、わずか11カ国しかないという。中でもトップクラスの安全性を誇る日本の水が、今や危機に瀕している。

 元凶は「PFAS(ピーファス)」。約1万種あるとされる有機フッ素化合物の総称だが、もともと自然界には存在せず、分解されにくいため、「永遠の化学物質」とも呼ばれている。恐ろしいのは、水などを介して人体に取り込まれると、臓器などに蓄積されてしまうことだ。

 WHOや米国の学会などでは、PFASがもたらす健康リスクとして、発がん性や高コレステロールを伴う脂質異常症、乳児・胎児の発育低下などが指摘されている。そんなPFASの中でも、特に有害性が高いとされるのは、ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS〈ピーフォス〉)と、ぺルフルオロオクタン酸(PFOA〈ピーフォア〉)と呼ばれる二つの化学物質。国際条約の規制対象で、日本でも輸入や製造が禁止となっているのだ。

 深刻なのは、これらの化学物質が、全国各地の河川や地下水などの「水源地」で相次いで検出されていること。しかも、国の定める暫定目標値よりも、はるかに高い濃度で残留しているというのである。

全国各地に存在

 ようやく政府も本腰を入れて対策に動き出し、6月20日には内閣府食品安全委員会の作業部会が、PFASにおける健康への影響について、初めて評価書の案を取りまとめた。同書では「動物実験によって出生児に低体重などの影響が認められる」とした上で、関係省庁に対して水道水におけるPFAS濃度の基準値策定を求めている。

 その2日後、22日には、政府が全国規模では初の水道水におけるPFASの実態調査を、5月から始めていたことが報じられた。今秋をめどに、全国の自治体や水道事業者に対して回答するよう一斉に指示を出したという。

 これまでも環境省はPFASの実態調査を全国の自治体と協力して行ってきたが、2022年の調査で対象となったのは、38都道府県に過ぎなかった。

「汚染ハザード」一覧マップは、「週刊新潮」が現時点で判明した最新の調査結果をもとに、国の暫定指針値を超える高濃度のPFASが検出された地点をまとめたもの。そこにあなたの住む街の名前がないからといって、安心するのは早計である。

 国の一斉調査が進んでいけば、“ホットスポット”は増える可能性が高い。そして汚染地域には、ある「共通の特徴」が見られるというのだ。

日本の水道水は大丈夫?煮沸消毒しても除去されない化学物質「PFAS」が"やっかい"な3つの理由

 有機フッ素化合物の「PFAS(ピーファス)」をめぐり、国は、全国の水道事業者などに水質検査の結果などを9月末までに報告するように要請しました。果たして、日本の水道水は大丈夫なのでしょうか?京都大学・原田浩二准教授への取材などをもとに“PFASとは何か”をまとめました。

自然界に存在しない物質『PFAS』 関連が否定できない影響「出生時の体重低下」「コレステロール値上昇」

 まず、PFASとは「有機フッ素化合物」の総称です。少なくとも4700種類以上存在していて、多ければ1万種類以上あると言われています。

 PFASという名称は、ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物の略称です。このPFASは自然界に存在しない物質で、人間が作り出したものです。例えば、フライパンの表面をこびりつきにくくするフッ素加工や、レインコートの撥水加工、スキー用のワックスなどに使われています。

 全てのPFASが体に悪いと確定したわけではありませんが、『PFOS(ピーフォス)』と『PFOA(ピーフォア)』の2種類については、国際条約で製造・輸入が禁止されています。これ以外のPFASについては、まだ分からないことも多いということです。徐々に規制が進むPFASですが、地下水や土壌などには残っているとされます。

 今年6月、内閣府の食品安全委員会は、健康への影響に関する評価を公表。「出生時の体重低下」「ワクチン接種後の抗体低下」「コレステロール値の上昇」などの影響は関連が否定できないとしています。なお、今回は日本独自のリスク評価を断念し、2016年のアメリカにおいて動物で検証した結果をもとに評価を行ったということです。

「分解されにくい」「体内に蓄積されやすい」「遠くまで移動する」

 PFASの摂取によって急性症状が出ることはないということですが、“やっかい”な点が3つあります。

 (1)分解されにくい

 PFASが自然界(土壌・水)で半減するまで50年以上かかると言われています。分解されにくいことから、PFASは『フォーエバー・ケミカル』=『永遠に残る化学物質』と呼ばれることもあります。同じように自然界から消えにくいとして使用禁止になった『ポリ塩化ビフェニル』(絶縁体などに使用された)は10~20年で半減すると言われています。

 (2)体内に蓄積されやすい

 PFASが体内から排出され半減する期間は3~5年と言われています。また、妊婦から胎児へ、へその緒を通して約3割の濃度で伝わってしまうことも確認されているということです。

 (3)遠くまで移動する

 水に溶けやすく海から広がり、魚介類から検出されることもあるということです。さらに、ガス状になり空気に乗って遠くまで広がるということです。

 ヨーロッパではPFAS全体を規制する流れになっています。

水道水は大丈夫?日本の基準は「25mプールに塩150粒」

 では、日本の水道水は大丈夫なのでしょうか。PFOSとPFOAに関して、毎日摂取しても健康への影響がないと推定される1日の量は、体重1kgあたり20ナノグラムということです。体重60kgの人であれば、1200ナノグラムです。

 PFOS・PFOAの摂取量が最も多くなる可能性が高い飲料水については、各国が基準値を出しています。日本は「水1リットルあたり50ナノグラム」(暫定目標値・PFOSとPFOAの合計)。この量を毎日摂取しても健康には影響がないだろうという数字です。一方、ドイツ(2028年から)ではPFOS・PFOAなどの合計が1リットルあたり20ナノグラム、アメリカ(今年4月決定)はPFOS・PFOAそれぞれ1リットルあたり4ナノグラム。考え方の違いなどにもよりますが、海外では日本に比べて厳しい基準が設けられています。

 ちなみに、1ナノグラム=10億分の1gです。日本の基準「1リットルあたり50ナノグラム」というのは、イメージすると、小学校の25mプールに塩を150粒入れたほどの量。ただ、その程度の量を超えた量を体内に摂取するのは良くないと言われているのです。

大阪府内の浄水場は日本の基準をクリア

 環境省や国交省は全国の水道事業者に対し、今秋までにPFASの検査状況を報告するよう要請しました。これまでも、大きな浄水場などでは独自に検査をし、公表しています。自治体の水道局のHPなどで確認が可能です。大阪府内の浄水場におけるPFOS・PFOAの検出状況を調べると、昨年度は1リットルあたり10ナノグラム前後(1年間の平均値)となっていて、日本の基準はクリアしています。

水道水を「煮沸」しても除去されないPFAS

 では、PFASについて、私たちができることはあるのでしょうか。ミネラルウォーターは、メーカー各社にPFAS含有量の公表義務がないため、正確には分かりません。ただ、各メーカーが利用する水源地から推測すると、おそらく基準値はクリアしているだろうと専門家は分析しています。

 水道水については、京都大学の原田浩二准教授によりますと、煮沸消毒してもPFASは除去されないということです。活性炭を使っている浄水器はPFASを7~8割以上除去するということです。

 今後、PFASへの規制が厳しくなることも予想されますが、撥水加工・フッ素加工に代わるものが開発されるのかどうか。また、地球全体の環境を考えたとき、PFASを使用した製品を使うべきかどうか、そういったことを考える時期にきているのかもしれません。

日本の水道水は大丈夫?煮沸消毒しても除去されない化学物質「PFAS」が"やっかい"な3つの理由

【アベマ同時配信中】「化学物質『PFAS』危険性は/欧州なぜ極右台頭?」 7月4日(木) よる9時|アベプラ

🍎たったひとつの真実見抜く、見た目は大人、頭脳は子供、その名は名馬鹿ヒカル!🍏