10年も前に「QRコード切符」を導入した沖縄都市モノレール 使い勝手やメリット・デメリットは?
2026年度以降置き換わる「QRコードの切符」
JR東日本など全国の大手鉄道8社で今後、磁気の付いた切符が順次廃止されることが話題になっている。2026年度以降はQRコードが印刷された切符か、デジタル表示を改札機にかざす方式に順次置き換えられていくという。
このTVニュースを沖縄で見ていた筆者は不思議に思った。2003年に開業した沖縄都市モノレールでは、かなり以前からQRコード方式に切り替えられていたからだ。
もしや、沖縄はこの方式では先駆者だったのか?早速、那覇空港駅で取材した。
沖縄が先駆者だった「QRコードの切符」
▽沖縄都市モノレール営業部 石井正さん
「ゆいレールでは2014年10月にQRコード式を導入していました。磁気方式は、そのときに止めました」
複線の総延長17キロメートルに、19の駅がある沖縄都市モノレール(愛称:ゆいレール)。なんと10年も前に、QRコード方式を導入していた。石井さんはQRコード方式の導入を決断した当時の中心人物だったそうだ。石井さんの知る限り、今でもQRコードを採用している地方の路線は「ゆいレール」と「北九州モノレール」だけだと教えてくれた。
▽沖縄都市モノレール営業部 石井正さん
「磁気付きの切符を吸い込む方式とICカードの読み取りの両方をこなす機械の初期導入費用と比べ、QRコード方式が圧倒的に安いんです。磁気式は券を逆さに入れても正しい向きで出し直すなど、複雑な機構が入っていて、濡れたり曲がった切符が入ると詰まることがあり、保守も大変です」
石井さんによると、この改札機1台あたりの初期導入コストは「100万円単位」でQRコード方式のほうが安いそうだ。
また保守については、「QRコードの読み取り面を拭く程度」だといい、ほとんどメンテナンスフリーに近い維持管理のしやすさが事業者にとって最大のメリットだと明かしてくれた。初期費用も維持費も安いQRコード方式に、デメリットはないのだろうか。
唯一のデメリット?「慣れている人が少ない」
▽沖縄都市モノレール営業部 石井正さん
「利用客が、ICカードのように反応が早くないのではと思って、立ち止まってしまいます」
普段あまりモノレールを利用しない記者も試しに使ってみたが、確かに、QRコードをしっかり認識してもらおうと思うと、やや緊張して一瞬立ち止まってしまう。
また改札を眺めていると、QRコード方式だが「紙の切符」なので、無意識に差し込み口を探して右往左往する人も多かった。こうした点があるためか、JR関係者も何度もゆいレールの視察に訪れていたという。
初めてQRコード方式を使ったという中高年の旅行グループ7人に話を聞いてみた。
▽QRコード方式を初めて利用した女性
「戸惑いました」
「使い方を言われたらすぐ分かった」
「当てたつもりだけど反応しなくて、何回かやり直した」
窓口業務にあたる職員も、QRコードに関する案内業務のウエイトが大きいそうで、伝え方を工夫していた。
▽構内アナウンス
「QRコードは青いところにタッチをお願いします。スーパーのセルフレジのようにバーコードをスキャンしてください」
▽構内アナウンスした職員
「不慣れな方が多いので、窓口に案内することもあります。まだ時間がかかるかなと」
しかし話を聞いた旅行グループも戸惑っていたのは最初だけ。他の利用客も、便利になるのではと話してくれた。
ー今後全国に広がっていくそうだが?
「大丈夫。QRコード自体は普段から使っているので」
QRのデジタル切符は「企画券」にも
▽沖縄都市モノレール営業部 石井正さん
「立ち止まってしまうのは、やり方が分かるまで。かざす角度が歪んでいても認識します。慣れた人が多い県庁前駅では、朝夕の混む時間帯でも改札に列が長く伸びることはありません」
「またQRコードは企画情報を書き込んでいろんな使い方ができる。何日間乗車券など、旅行企画に合わせて事前にクレジット決済し、スマートフォンに入れておけるんです。台湾や香港などからの利用者が多くいます」
「ゆいレール」には他社路線との接続がないため、決断しやすかった面もあるそうだが、10年も前のQRコード方式採用には先見の明があったと言えるのかもしれない。最後に、先駆者としてこれから導入する各社にアドバイスを求めてみた。
▽沖縄都市モノレール営業部 石井正さん
「IC専用機にまず取り付けるんでしょうね。いっぺんにではなく、徐々にやっていけばいいと思います」
