観光バス需要8割回復 富山県内コロナ5類移行1年

観光バス需要8割回復 富山県内コロナ5類移行1年

学校行事再開追い風

 新型コロナウイルスの感染症法の位置付けが2023年5月に「5類」に移行して1年、県内で観光を中心とした貸し切りバス需要が伸びている。学校行事の再開を追い風に、多くの運行会社でコロナ禍前の8割程度に利用が回復。ただ慢性的な運転手不足から需要に応えきれない場面も出ている。

 富山地方鉄道と加越能バスの貸し切りバス予約を担う富山地鉄グループ観光バスセンター(富山市)ではコロナ禍前の半分以下に落ち込んだ予約が、この1年で7、8割まで戻った。修学旅行や遠足などの再開が影響しているという。

 新富観光サービス(同)もコロナ禍前の9割程度まで回復。5類移行後しばらくフル稼働状態が続いた。同社は観光ツアーも手がけており、担当者は「抑えられていた外出意欲が一気に表れた」とみる。

 となみ観光交通(砺波市)は2023年度の貸し切りバスの売上高が前年度比50%増となり、コロナ禍前の19年度と比べても25%増加。同社は昨年秋の運賃改定の影響もあるとしつつ「需要をうまく取り込めた」としている。

運転手不足

 バス業界では慢性的に運転手が不足しており、コロナ禍で離職も相次いだ。4月からは働き方改革関連法に基づく時間外労働(残業)の上限規制が導入され、県内各社は人員確保と運行管理に苦慮している。

 イルカ交通(高岡市)では引き合いに応えきれないケースがあり、西村寛社長は「受けたくても受けられない」とこぼす。富山地鉄は正社員登用時の支度金の大幅増額や賃上げなど次々に待遇改善を打ち出したが「全く人員が足りていない状況」と頭を悩ませる。

 となみ観光交通では昨年から採用活動を強化。コロナ禍で減っていた運転手を倍増させた。吉田智行社長は長期の利用が見込めるインバウンド(訪日客)に期待を込め「安定的な運行につなげたい」と話す。

 帝国データバンク富山支店の大場正範調査課長は転職した運転手が戻ってこない現状を指摘。「先を見据えて人員を確保してきたか、コロナ禍での取り組みが問われている」とした。

生産も拡大

 バス製造の現場でも回復傾向が鮮明になっている。三菱ふそうバス製造(富山市)では、大型観光バスの登録台数が2021年にコロナ禍前(19年)の93%減まで落ち込んだ。5類に移行した23年に67%減に減少幅が縮小し、今年は27%減を見込む。

 早期に19年水準まで戻すことを目指しつつ、運転手不足に悩む販売先の支援にも力を入れる。同社にはバスの運転免許を持つ社員が多く、運転手として派遣する。事業開始に向けて準備を進めており、同社は「できる限り顧客の助けになりたい」としている。

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