「光の見えないトンネルの中にいるよう」、コロナ後遺症の苦しみ今も…周囲の理解得られず精神的苦痛も

「光の見えないトンネルの中にいるよう」、コロナ後遺症の苦しみ今も…周囲の理解得られず精神的苦痛も

 新型コロナウイルスの感染症法上の扱いが、季節性インフルエンザなどと同じ「5類」になって8日で1年となる。コロナ禍前の日常に戻ったが、今も感染後の後遺症に苦しんでいる人は多い。後遺症は周囲からの理解が得られないケースが目立ち、専門家は支援の必要性を訴えている。

誰でもなり得る

 東京都内の女性(51)が感染したのは、2022年7月。地元のクリニックで事務員として働き、感染の第7波の影響で、多数の発熱外来患者への対応に追われていた時だった。

 復帰した後もせきが止まらず、全身が痛む。仕事を続けることができなくなった。感染から1年10か月たった今も、体のだるさや不眠などの症状があり、働けない状況が続いている。

 労災に認定されて休業補償を受けながら生活しており、「いつ治るのかわからず、ずっと光の見えないトンネルの中にいるようだ」と肩を落とす。

 女性が受診する東京都渋谷区の「ヒラハタクリニック」の後遺症外来では、約7000人の患者を診てきた。平畑光一院長(46)は「重症化する患者は男性よりも女性が多い。既往症やスポーツ経験の有無などにかかわらず、誰でもなり得る」と指摘する。

メカニズム不明

 世界保健機関(WHO)は、後遺症について「感染から3か月時点で少なくとも2か月以上続き、別の病気では説明がつかない症状」と定義する。発症のメカニズムや患者数など、わかっていないことが多く、確立した治療法もない。

 厚生労働省の研究班が3自治体(札幌市、東京都品川区、大阪府八尾市)の住民を対象に、22年11月~23年3月に行った実態調査では、成人の感染者の1~2割が後遺症とみられる症状があると回答した。

 せきや息苦しさなどの呼吸器症状のほか、疲労感・倦怠(けんたい)感、睡眠障害、集中力低下、味覚障害や嗅覚障害などの神経症状も多くみられた。後遺症を訴える人のうち約1割が「生活に深刻な影響がある」と答えた。

 下畑享良(たかよし)・岐阜大教授(脳神経内科)は「ウイルスによる炎症が長引き、脳にダメージを与えることで、疲労や認知機能の低下などの神経症状が続くと考えられる。後遺症の深刻さを踏まえると、引き続きこまめな手洗いなど基本的な予防対策が重要だ」と話す。

仕事に支障

 患者の中には周囲の無理解に悩む人が少なくない。

 福島県の30歳代の女性は感染後、息苦しさや倦怠感に苦しんだが、同僚から「誰でも後遺症は残る。みんな我慢して働いている」と言われた。そのうち、起き上がることができなくなり、会社を辞めた。

 体調が回復して今年2月にパートの面接を受けた際には「後遺症なんてない」と発言され、再び体調が悪化した。女性は「周囲にわかってもらえないことが何よりつらい。後遺症のことを多くの人に知ってもらいたい」と訴える。

 岡山大病院(岡山市)では21年2月に後遺症に特化した「コロナ・アフターケア外来」を開設し、約1000人を診察してきた。同大の大塚文男教授(総合内科学)によると、患者の多くは周囲から症状を理解されないことで、精神的にもダメージを受けるという。

 大塚教授は「職場や学校の配慮不足で、社会復帰が遅れることもある。症状に合わせた柔軟な働き方を提案するなど、後遺症の人に寄り添った対応が必要だ」と話している。

感染者報告 12週連続減

 新型コロナウイルスの感染状況について、厚生労働省は7日、全国約5000か所の定点医療機関から4月22~28日の1週間に報告された感染者数が、1医療機関あたり3.22人だったと発表した。前週(3.64人)の0.88倍で、12週連続で減少した。

 インフルエンザは、1医療機関あたり1.07人で、前週(1.85人)の0.58倍となり、6週連続で減少した。

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