上か?下か?回転か?「かき混ぜ」機能でバトル 〝電気調理鍋〟戦国時代

上か?下か?回転か?「かき混ぜ」機能でバトル 〝電気調理鍋〟戦国時代

材料を切り、鍋に調味料を入れて、ボタンを押すだけで料理ができる「電気調理鍋」は、忙しい共働き世帯の〝救世主〟ともいえる存在だ。簡単に色々なメニューを自炊できるため、新型コロナウイルス禍の巣ごもり需要で一気に広がった。電機各社は一段とおいしく調理できるようにかき混ぜ機能に工夫を凝らして、仕上がりを競い合っている。

50年以上前からある自動調理鍋に革新を起こしたのが平成27年にシャープが発売した「ヘルシオ ホットクック」だ。

独自のかき混ぜ技術と火加減制御で圧力をかけず、調理作業の多くを自動化。予約機能も搭載し、電気調理鍋ブームの火付け役となった。累計60万台以上を販売するヒット商品だ。

料理をおいしくする肝となるのが鍋の上からアームを使い、かき混ぜる独自技術だ。「センサーを活用し、食材の状態に合わせて回転数や回転力、角度を制御する」(調理企画開発部の吉田麻里主任)という。ムラをなくし、全体に味がなじむ仕組みとなっている。

一方、パナソニックが昨年発売した「オートクッカー ビストロ」は圧力をかけながら、下からかき混ぜる。おいしさのためには煮詰めと炒めが不可欠と考え、鍋底からかき混ぜる形にした。開発まで3年を要したという独自形状の羽根が回転し、メニューに応じて速さや向きを変える。「鍋底をさらうようにかき混ぜて、具材がひっくり返り、焦げ付きを抑えて、濃厚な仕上がりになる」(くらしアプライアンス社調理ソフト課の広田起子主任技師)。

アイリスオーヤマは内鍋が回転し、食材をかき混ぜる「シェフドラム」を販売する。角度を3段階に傾けて、食材をムラなく調理。焼きや炒め、煮込み、揚げなど9通りの調理ができる。

コロナ禍で爆発的に増えた電気調理鍋需要は現在、反動減となっている。ただ、米フォーチュンビジネスインサイトの調査によると、世界の圧力鍋市場は2023年の54億8000万ドルから30年までに80億ドルまで成長すると予測されている。

最近のトレンドについて、調理器具・料理研究家の野川彩さんは「腐敗防止や無水調理など多機能化している。競争軸は調理時間の短さに移っている」と指摘する。進化の余地は大きく、今後も食卓を豊かにする新商品が出てきそうだ。

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