シワ・シミ・白髪・ハゲ…老化はコントロールできるのか?遺伝より後天的な要素が8割【エイジング革命①】

シワ・シミ・白髪・ハゲ…老化はコントロールできるのか?遺伝より後天的な要素が8割【エイジング革命①】

 「いつまでも若く美しく、元気でありたい」…いつの世でも人類はそう願ってきた。その夢が、ここにきて現実のものになりつつある。

 老化はどこまでコントロール可能なのか。老化研究の第一人者、慶應義塾大学の早野元詞氏が3回に分けて解説する。

 第1回は、老化が気になり始めたらまず、何をするべきか。普段からできる生活習慣改善の基本をおさらいする。(JBpress)

 (早野 元詞:慶應義塾大学医学部特任講師)

■ 老化はコントロールできる

 老化は、誰にも避けられません。

 老化が時間に伴う動的変化だとすれば、それを避けるのは不可能だからです。

 そんな老化現象の一例として、最もわかりやすいのが、「老け顔」です。人間に限らずマウスなどでも、歳を取るとシワやシミができたり白髪になったりします。これらはすべて、動的変化に基づく後天的なプロセスです。

 「後天的?  白髪や禿頭は遺伝じゃないの?」

 そう思われる方もいるかもしれません。しかしながら、老化は「後天的」な変化が8割以上を占めるのです。つまり「先天的」な遺伝のせいではなく、食事や運動などによって大きく影響される。言い換えれば、生活習慣などに気をつければ、老化はある程度コントロールできるのです。

 先日、こんなことがありました。

 あるテレビ番組で、ロックユニット「B’z」の稲葉浩志さんが、4歳上のお兄さんと並んでいる写真を見たのです。思わず、「あっ!」と声を上げてしまいました。二人の年齢差が、とても4歳とは思えなかったからです。

■ 兄弟でも「老け方」に大きな差

 ちなみに稲葉さんは1964(昭和39)年生まれなので、今年で還暦です。ですが、写真を見る限り、少しもそうは見えません。私は中学生の頃から「B’z」のファンクラブに入っていたので、今でも憧れの存在で大いにバイアスがかかっている可能性がありますが。一方でお兄さんは、年相応のお姿に見受けられました。

 「兄弟でも、これだけの違いが出るのだ」

 良し悪しをいうつもりは全くありません。お二人とも魅力十分でしたから。ただ、生物学者の眼が何かをつかんだ瞬間でもあり、40代を過ぎるとよく目にする光景でもありました。

 この稲葉兄弟の姿とは、老化が後天的である好例を示すともいえます。血を分けた兄弟だから、遺伝的な要因にそれほど違いはないはずです。

 だとすれば、彼らの見た目の違いは、後天的な要因に大きく左右されていると考えるしかない。実際に、一卵性双生児が100%同じ遺伝的背景であったとしても、老化の進むスピードに違いがあることが報告されています。また、ヒトだけでなく動物でも、幼少期からの生活環境が長期的な影響を及ぼすとの研究報告もあります。

 詳しくは知りませんが、稲葉さんは若い頃から徹底した体調管理をしていると何かで読んだ記憶があります。そう思ってテレビを見れば、若い頃にタレントデビューした人たちは、どちらかといえばあまり老けない人が多いと思いませんか。

 最近ではモデルの方を含めて、老化を防ぐためのさまざまな対策が、インスタグラムなどのSNSで数多く発信されています。多くが主観的な方法で、老化研究のサイエンスとは異なるケースも見受けられますが、そのような日々の努力の積み重ねで「老化は防ぐことが可能」であると示されています。

■ 自分への注意が老化を防ぐ

 「老化は避けられないが、防ぐことはできそうだ……」

 そんなイメージを持ってもらえたでしょうか。だとすれば、いつ頃から意識すると良いのでしょうか。

 答えを先にいってしまえば、早ければ早いほど良いのです。簡単すぎると思いましたか? 

 そう、簡単です。20代でもいい。とにかく若いうちから、身体に過度なダメージを与えるような生活はできる限り避ける。これが老化を防ぐ大原則です。

 具体的には暴飲暴食、偏食、紫外線や乾燥などを避け、もちろんタバコは吸わない。睡眠時間には個人差がありますが、自分なりの快眠を見つけ、それを維持していく。

 睡眠については「概日リズム」という、体内の自然なリズムに逆らわない心がけも重要です。夜になれば眠り、朝の光で目覚めるという、継続的な身体リズムにのっとって生きるということです。科学的にも、こうした理想的な睡眠パターンの高齢者は、そうでない同年代よりも認知能力が高く、複数の健康問題の発生率が低い傾向があることが報告されています。

■ 50歳を超えたら手遅れか? 

 「じゃあ、手遅れだ……。だってもう、50歳だから」

 そう思われる方もいるでしょう。いやいや、まだまだ大丈夫です。できれば40代ぐらいから手を打っておきたかったところですが、50代でも何とかなる余地は十分にあります。

 たとえ60代以降でも、決して手遅れだとはいいきれません。十分、若返りが可能であることもわかってきています。

 あるいは逆に、「もう50歳を過ぎたとはいえ、どこも衰えていないんだけど……」と、納得がいかない方もいるかもしれません。今の時代は、“健康年齢は歳の8ガケ”ともいわれていますから。

 ですが、こうして老化は人それぞれであるからこそ、自覚症状に頼るのは禁物なのです。また、老化は特殊な情報として体内で蓄積されて、一定の閾値(いきち)を超えた時点から一気に症状として現れることも示されています。

 今一度、他人になったつもりで、自分の身体をくまなく観察してみましょう。

 よく見ると、皮膚のどこかが傷んできてはいませんか。腫れていたり、黒ずんでいたり、もしくは非常に乾いていたり。それらが目に見えない体内の異常を現している可能性も多分にあります。

 それこそ細胞レベルで見れば、日々の動的変化は必ず進んでいるので、それらの信号をキャッチする習慣が必要です。老化の抑制も、初めの一歩は自分自身への注意であり関心です。そのためには、身体に関する基礎知識はあればあるほど良いに違いありません。

🍎たったひとつの真実見抜く、見た目は大人、頭脳は子供、その名は名馬鹿ヒカル!🍏