台湾地震の現地ルポ、倒壊ビルの図面で分かった耐震性の弱点

台湾地震の現地ルポ、倒壊ビルの図面で分かった耐震性の弱点

 2024年4月3日に台湾東部沖で発生した大地震。高層ビル倒壊の瞬間を捉えた映像は世界に衝撃を与えた。台湾当局によると、地震の規模を示すマグニチュード(M)は7.2。台湾でM7を超える地震は、1999年の集集大地震以来となる。日経クロステックは被害の大きかった花蓮(ファーリエン)市を4月13日に取材。倒壊した高層ビルをはじめ、複数の建物被害を追った。

 解体音が鳴り響き、大きく南西に倒れた高層マンション「天王星ビル」の内部があらわになっていた――。台湾東部の花蓮市にある現場を訪れると、周囲の建物は日常を取り戻しており、天王星ビルの一画だけが地震の大きさを物語っていた。

 24年4月3日午前7時58分(現地時間)、台湾東部沖を震源とするM7.2(台湾交通部中央気象署の発表)の地震が発生し、最大震度6強を観測した。犠牲者は台湾全土で死者16人、負傷者1155人に上る(台湾内政部消防署の発表、4月11日時点)。その後、4月24日までに発生した余震は1200回以上。4月23日にはM6.3の地震が発生し、花蓮市内では被害が拡大している。

 天王星ビルは地下1階・地上9階建てで、鉄筋コンクリート(RC)造。築37年の建物だった。このビルでは地震発生後、住人の女性が一度逃げた後にペットを探しに戻り、犠牲になったという。4月17日には解体が完了した。

 主な用途は集合住宅で、低層部に商業スペースがある構成だ。交差点に向けて南西側にガラス窓の開口部を大きく取り、通り沿いにピロティを設けて約3mセットバックしていた。台湾特有の「騎楼(チーロウ)」と呼ぶ歩行者空間を確保するためだ。

日経クロステックが入手した天王星ビル1階平面図。上が東。いずれの柱も細いが、特に地震で崩れた南側の2本は細くかつ扁平(へんぺい)形となっている。「交差点に視線が通り抜けやすいように、細くしたのかもしれない。角地などで開口部を大きく取ろうとする建物は注意が必要だ」と和田章・東京工業大学名誉教授は指摘した

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