「富士山を遮断」人気撮影スポットに幅20メートルの黒幕を町が設置へ 観光客の“マナー違反”に「最終手段をとらざるを得なかった」 観光客・住民から様々な声

「富士山を遮断」人気撮影スポットに幅20メートルの黒幕を町が設置へ 観光客の“マナー違反”に「最終手段をとらざるを得なかった」 観光客・住民から様々な声

観光客が殺到するある自治体。人が集まる撮影スポットに「富士山を隠す」大きな黒い幕を設置することを決めました。この方針に様々な声があがっています。

■道路に寝そべる、入口に座り込んで食事をとる、ポイ捨て・・・観光客の迷惑・危険行為

喜入友浩キャスター

「歩道を埋め尽くすように観光客の方が集まっていて、皆さんカメラを構えています。その先を見てみると、道路を挟んで、コンビニエンスストアと奥に富士山が見えます」

25日、山梨県富士河口湖町のコンビニの前には多くの観光客が集まっていました。

ドイツからの観光客

「コンビニの青と白が山頂の雪の色とぴったりだね。ローソンを見て 富士山を撮るには良い景色だと思った」

イタリアからの観光客

「インスタグラムを見て来ようと思いました」

富士山とコンビニを絡めた写真は、SNS上にも数多く投稿されていて、海外の観光客にとって人気の撮影スポットになっているのです。ただ、観光客の迷惑行為も。

喜入キャスター

「道路に寝そべって食事をとっています。そしてコンビニエンスストアの駐車場の縁石にも、ずっと人が座り込んで食事をとっています。ここは車道です。入口に座り込んで食事をとっている観光客もいます」

コンビニの向かいにある井ビシ歯科医院は1年半近く、観光客の迷惑行為に悩まされてきたといいます。

井ビシ歯科医院 井出公一 院長

「どんどんエスカレートしていくんですよね。最初はアジア圏の方ばっかりだったんですけど、世界中の皆さんに来ていただくので嬉しいんですけど・・・もうここまで多くなるとちょっと地元の人もやっぱり迷惑しますしね」

喜入キャスター

「今、立っているところは、歯科医院の敷地ですよね。(敷地内に)ゴミが落ちてますけれども?」

井ビシ歯科医院 井出太一副院長

「朝と夕方、ゴミ拾いをしていますけど、ごみ袋がいっぱいになるぐらいコンビニの弁当やたばこの吸殻」

暑さをしのぐためか、観光客がクリニックの軒下に入り込む様子や、歯科医院の専用駐車場に、タクシーやバスで乗り入れる観光客の姿も。

井出太一 副院長

「無断駐車をしている車が多数いる状態で、通常の我々の医療提供にも障害が出ている」

医院の敷地内で写真を撮る商売を始める人まで現れたといいます。さらに迷惑行為だけでなく、危険行為も。

■観光客の迷惑・危険行為で「富士山隠す」黒幕 町が設置へ

写真撮影のために、横断歩道のない道路を渡る人が後を絶たないのです。

こうした事態に、富士河口湖町は付近に警備員を配置しましたが、改善される兆しがないといいます。そこで苦肉の策として町が打ち出したのが、富士山を撮影できないように遮る黒い幕を歩道に設置すること。幕は高さ2.5m、幅20m。幕に沿って、防護柵も設置する計画です。

喜入キャスター

「幕の高さは2.5m、手を伸ばしても写真を撮ることはできなくなります」

町の担当者は「マナー違反が改善しない中で、最後の手段をとらざるを得なかった」としていて、工事はゴールデンウイークの後半までには完了させる方針です。

井出太一 副院長

「クリニックからの景観というところも非常に良くない状態にはなりますが、そうせざるを得ないほど対策に苦慮しているのと、今までの対策でそれを超えるようなマナーやモラル違反がありましたので」

こうした対策に町の人からは・・・

近くに住む人

「幕を張って、危険な行為がなくなるんだったら嬉しいなって思いますね」

「あそこに(幕を)設置しても意味はないんじゃないでしょうか。win-winになるようにちゃんと撮影できる場所を整備するとか、駐車場を整備するとか、そういったことが必要じゃないかなとは思います」

「(幕を張ると)結構な圧迫を感じるような気はするんですけど・・・マナーを守ってもらえないとそうなってしまうのかな」

■琵琶湖の白鬚神社前では死亡事故も 景観を犠牲にしてでも安全対策を

せっかくの景観を犠牲にしてまで設置されることになった黒い幕。

同様の判断を迫られた観光スポットは、ここだけではありません。琵琶湖の中に佇む白鬚神社の大鳥居。海外からも多くの観光客が集まる人気スポットですが、ここでも危険横断が。

白鬚神社 高橋敬一 宮司

「横断歩道も信号機もないのに急に車が止まったということで、追突事故が何件かございました」

神社の本殿と鳥居を隔てる国道を横断する人が後を絶たず、死亡事故まで起きてしまったのです。神社側は2024年2月に県などの協力を得て、高さ110cmの柵を100mにわたって設置しました。柵があることで渡る人への抑止力になればと考えられたものですが、設置後もお構いなしに横断する男性や、完成したばかりの柵に寄りかかって撮影する男女の姿がありました。

観光客のモラルが低ければ低いほど、景観を遮る障害物は高くなっていくのかもしれません。

■「富士山隠す」黒幕に地元・観光客は?

藤森祥平キャスター:

平日にも関わらず、ものすごい人。

小川彩佳キャスター:

いろんな国の方が集まってらっしゃったんですね。

喜入キャスター:

世界からヨーロッパ、アメリカ、アジア・・・本当にいろんな言語が飛び交ってました。

びっくりしました。ローソンと富士山。ちょっと理解できなかったんですけれども、これがいいんだと多くの方がおっしゃっていました。

今回それを防ぐために幕が設けられるんですけれども、この道路は車通りが非常に多いので、地元の方も日々ヒヤヒヤしながら走っているということをお話されていました。町としても、事故が起きたら加害者になるのは地元住民ということで、“最終手段”をとらざるを得なかったと話しています。

小川キャスター:

でも、この黒幕というのは、さすがに地元の方から「やりすぎなんじゃ・・・」って声はなかったですか?

喜入キャスター:

私もそう思って行ったんです。でも、やりすぎではないと思った話があって、観光客が写真を撮るのに夢中になりすぎて、クラクションに気づかない。そして観光客の方が押していたベビーカーが道路に出てきたことがあった、ひきそうになったと。もう命に関わる話なので、早くこうしてほしいという声もあった一方で、やはり観光の街なので、こういう幕ではなくて人員を増やしてしっかり誘導する、こうした方法もあるのではないかという声もありました。

小川キャスター:

クリニックの方も本当に大変な思いをされていることが伝わってきましたけれども、やはりこれだけの外国人観光客の方が集まっていて、貴重な観光資源にもなりうる場所に幕をかけてしまうというのは、もったいないことだなというふうにも感じてしまうんですよね。

クイズプレーヤー 伊沢拓司さん:

やっぱりここ自体にお金を生む仕組みがないので、やっぱり対策にもお金はかけられないですよね。まずお金を生む仕組みを作るにせよ、作らないにせよ、当面迷惑をしているんだったらお金のかからない手段で対策するしかないとなると、やっぱりこういったことにはなるのかなと、ある種妥当な選択だなと思います。

藤森キャスター:

現場で、今まで自治体以外の対策ってあるんですか?

喜入キャスター:

ちょうどこの幕を設置する場所には、今フェンスがあるんですけれども、こうしたフェンスは歯科医院が自らお金を出して自分たちの敷地に入らないように守ってきたということで、自費でやってきたということです。

小川キャスター:

いろんな対策を何往復も考えた結果、この苦渋の決断だったということなんですね。

■オーバーツーリズムの解消には「分散化が必要」そのためにも国の補助が必要

藤森キャスター:

海外でも同じようにSNSで急に人気が出て観光地になってしまったのが、ベトナム・ハノイのトレインストリート。ご存知の方もいるかもしれませんが、ここは元々線路脇に住民が憩いの場、共有スペースを作っていて、鉄道が通る場所だったんです。それをSNSで見た人たちにバズるような形で注目されてきた。

5年前、オーバーツーリズムで鉄道の運行に影響が出てしまったので、当局が外国人観光客を立ち入り禁止にしました。ただ、地元住民が「ちょっと待ってくれ。せっかくできた観光地を犠牲にしないでほしい」という声が強くて当局は許してないんだけれども、いろいろ独自にルールを決めて勝手に再開したという、そういったいわゆる旅行客と地元がいわばwin-winの関係を何とか保っているところもあるんです。

小川キャスター:

観光客の方もルールを守るようになったのかもしれないですね。

藤森キャスター:

今回のケースに話を戻しますと、オーバーツーリズム問題も含めて観光推進プロジェクトを手がけている、ネイキッドの久保哲矢プロデューサーにお聞きしました。今回の富士山の件は、「分散化が必要ではないか」と。例えば現場周辺が営業時間外の早朝に限定して、朝早い富士山が綺麗に見える時間帯に朝食サービスを受けられる施設などを作ってみてはどうか。そして、こういう事業に国が補助金を出す、サポートする。

伊沢さん:

スタート地点としてはこういったことは必要になってきますよね。とにかく、今あの場所にはお金を生む仕組みというのはなくて、京都で起こっているオーバーツーリズムとはちょっと都合が違うわけですよね。しかも地域住民の方が生活している空間ですから、鎌倉の踏切とかも今人気ですけど、まずはそこに暮らしてる人たちのウェルビーイングが達成されないことには話がスタートしないかなと思います。その人たちがOKでも安全性を守るための初期投資に必要になるので、継続的ではないにせよ補助金というのは一つありな施策なのかなと思いますね。

喜入キャスター:

住民の方が、ある日突然家の前が観光地になったっておっしゃっていたんです。観光地になる準備もできていない、観光地にしていいのか決めていないし、何も整っていない状況でこうなってしまっていると。だからまず、こうした方策を考えるために一旦休憩が欲しいんじゃないかなって。かなり疲れてらっしゃるんですよ。ですから、まず黒い幕で、一旦元通りの生活に近づけてこの先を考える。こうした時間が必要なのではないかと思いますし、それに国、自治体が協力することが必要ではないかと思っています。

■「みんなの声」は

NEWS DIGアプリでは『観光客をめぐる問題』などについて「みんなの声」を募集しました。

Q.観光客をめぐる問題 対応を主導すべきは?

「国」…48.9%

「自治体」…43.2%

「地元業者・住民」…2.0%

「観光客のマナー」…4.3%

「その他・わからない」…1.5%

※4月25日午後11時18分時点

※統計学的手法に基づく世論調査ではありません

※動画内で紹介したアンケートは26日午前8時で終了しました。

観光客殺到で「富士山に黒幕」設置工事開始で新たな危険性も “応急処置”に観光客からは残念がる声【Nスタ解説】

「富士山隠す黒い幕」工事開始 マナー違反相次ぎ…町が苦渋の対策(2024年4月30日)

 山梨県富士河口湖町にある訪日観光客に人気の富士山の撮影スポットで、マナー違反が相次ぐことから、町は「富士山を隠す」ために黒い幕を設置する工事を始めました。

 富士河口湖町にあるコンビニ店は、富士山を絡めて撮影することができる人気スポットになっていますが、観光客による迷惑行為も増えています。

井ビシ歯科医院 井出公一さん

「(ごみが)きょうもありました。朝、全部、私拾いました」

「(Q.朝拾ってこの状態ですか?)はい」

 これまで町は警備員を置くなどの対策をしていましたが、30日から富士山を隠す幕を張る工事を始めました。

 幕は高さ2.5メートル、幅はおよそ20メートルで、黒色で透けないようになっているということです。

 工事はゴールデンウィーク中にも完了させたいとしています。

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富士山に目隠し幕 海外メディア読者は同情の声「世界で一番礼儀正しい日本人がこのような行動に出るということは」

富士山の人気撮影スポットとなっていたコンビニ付近でマナー違反が問題となり、目隠しのための黒い幕が設置されることになった。このニュースを複数の海外紙が報道し、読者の反応も相次いでいる。

日本のみならず世界中でオーバーツーリズム(観光公害)が問題になっており、イタリアの観光地・ベネチアでは日帰り観光客から入場料を徴収する制度が導入され、スペイン領カナリア諸島では抗議活動がおこなわれる、などの動きが起こっている。こうしたなか、海外紙の読者からは日本で講じられた措置に同情する声も出ている。

SNS時代の旅行「なんと哀れなこと」

英紙「テレグラフ」は、「富士山を望む日本の町、観光客の視界を遮る幕を設置」という見出しで記事を掲載。違反駐車やごみのポイ捨てに悩まされる近隣住民の声などを伝えた。

さらに「大量の観光客が日本の他の観光地でも問題を引き起こしている」とし、京都・祇園では「パフォーマンス・アーティストである芸者へのパパラッチ」問題を受けて狭い裏通りへの観光客の立ち入りが禁止され、富士山でも今夏から入山規制が導入される、といった事例を紹介した。

このニュースに興味を持った読者も多くいたようで、200件近くの読者のコメントが寄せられた。

なかでも、旅先で目の前の風景に注意を払わず、写真を撮って投稿することに夢中だとするSNS時代の旅行スタイルへの批判的な意見が目立った。

ある読者は、「現代における旅行とは、何を見るか、何を経験するかではなく、何を投稿できるかだ」と皮肉った。

仏パリのルーブル美術館では名画「モナリザ」目当てに押し寄せる来館者の混雑対策へ専用の部屋を設ける計画が立ち上がっているが、「なんと哀れなことだろう。最近では人々はモナリザを見るために列に並んで、ついに順番が回ってきたら、背中を向けて自撮りをするんだ」とするコメントもあった。

なかには日本の状況に同情的な声も。ある読者は「間違いなく世界で一番礼儀正しい国民であるはずの日本人がこのような行動に出るということは、この問題がどれほど悪化しているかを示している」と書き込んだ。

「観光推進、庶民には恩恵なし」

英紙「デイリー・メール」も「日本の町が富士山の眺めを遮る巨大な65フィート(約20メートル)の幕設置、超過密撮影スポットの“無礼”な観光客阻止へ」と題した記事を掲載した。

記事では、京都や富士山に加え、スペインやベネチア、映画『アナと雪の女王』のモデルとなったとされるオーストリアの村など、世界各国のオーバーツーリズムの事例も紹介された。

この記事にも読者のコメントが約40件寄せられ、日本を旅行して記事に出てきた場所を訪れたという読者は「大勢の中国人の観光客がバスでやってきて、人気撮影スポットを15分占拠して立ち去った」ものの「他の外国人はそういう行為はしていなかった」と体験を記した。

「日本人はとても礼儀正しく、ルールを守る。悲しいことに、こうしたマナーの悪い観光客が、観光客全員の評判を台無しにする」と、日本の立場を思いやった投稿もあった。

「マスツーリズムは減らさなければならない。80年代と90年代に世界を見て回れて幸運だった」「政府は観光を推進するが、ほとんどの庶民は何の恩恵も受けない。公共交通機関が混雑して、モノの価格が上がるだけだ」と、現代の観光の状況に否定的な意見も相次いだ。

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