在日中国人が「経済が発展しても中国に帰る気になれない」と語る納得の理由

在日中国人が「経済が発展しても中国に帰る気になれない」と語る納得の理由

3年以上に及んだ新型コロナウイルスの流行で中国に帰省できなかった在日中国人は多いが、私の友人の張さんもそのひとり。張さんは今年の春節、実に4年半ぶりに、故郷に帰省した。張さんは日本に住んで30年。帰省の感想を聞くと、おだやかな張さんの表情が曇り、少し怒りを込めながら“本音”を語り始めた。

スーパーで販売されている食品の「やばさ」がその一つだ。野菜や果物が農薬にまみれ、“解毒作業”が必要だったという。

安全な野菜は一部の人たちの間だけにいきわたる

張さんが帰省したのは春節だったため、家族や友人らとレストランで食事をする機会も多かったそうだが、

「レストランの食材も同じですよ。でも、食べないわけにはいかない。それに、調味料の味が濃いので、ごまかされて、皆食べてしまうんです。空恐ろしいことですよ。私はもう50代だし、母親や兄弟も年ですが、兄の子どもたちはまだ20代。もっと若い子たちは生まれたときから農薬まみれの野菜や果物を食べているので、絶対に長生きできないと思いました。

注意している人もいますけど、毎日のことだから、注意しきれない。富裕層は自分の畑を持って、安全な野菜を栽培しているけれど、そんなことは一握りの人しかできない。本当に罪深いことですよ」

張さんが憤るのは、単に野菜が農薬まみれというだけでなく、農家の人たちの考えだ。

「農家だけではないですが、残念ながら、中国ではどんな商売でも、お金さえ儲かればいい、という考え方の人が多いことです。経営者も社会のため、人々のためではなく、お金のため。農家の人も、消費者に美味しい野菜を食べてほしいとか、そういう理念はないんですよね。

兄によると、野菜がツヤツヤでおかしいという消費者の声が多いので、農家の人はわざとニンジンに泥をつけて、『掘りたての新鮮なニンジン』だと演出しているという話でした。もちろん、自分たち(農家)は、農薬まみれの野菜は食べません。それを聞いて、本当に悲しくなりましたね……」

他者の都合を無視した交通マナー

張さんの話は大気汚染や食品についてだけでなく、人々のマナーにも及んだ。中国に帰れなかった4年半の間、コロナ禍もあったが、中国経済は発展した。SNSなどで見るかぎり、故郷の友だちは皆、豊かになったように見えた。経済が低迷する日本にいる自分は取り残されているような気になることさえあった。

だが、張さんは言う。

「私も中国はよくなった、発展した、中国人のマナーはずいぶんよくなったと思って喜んでいたんですが、今回の帰省では、そう感じませんでした。私の街だけではないと思います。

まず感じたのは自動車を運転する人の運転マナー。信号が青だから渡ろうとすると、平気で信号を無視して走ってくる。信号よりも自分の目で確かめないとひかれてしまいますよ。それに、こちらでは駐車場があまり完備されていないこともあって、皆、道路脇に勝手にクルマを止めるんです。3車線の道路でも1車線しか使えないなんてこともしばしばで、とても歩きにくい。

コロナ禍の2022年11月、内陸部の新疆ウイグル自治区ウルムチの高層マンションで火事が発生し、10人が亡くなるという事故がありましたが、この無秩序な道路事情を見て、私はあのときのことを思い出しました。

コロナという特別な事情もありましたが、敷地内で住人がそれぞれ勝手にクルマを止めていたため、消防車がスムーズに敷地の中に入れなかった。当時、それも消火が遅れた要因のひとつと言われました。

犬を飼っている人も多いのですが、フンの処理をきちんとしない人がいるので、踏んでしまうこともありました。公園を散歩していると、おばあさんが公園の花を勝手に折って、それを手に孫と一緒にスマホで写真を撮り、そのあと、その花を道端にポイっと捨てているのを見たときには、この国はもうダメだという絶望感に包まれました。

あの行為を見ていた孫も大人になったら、同じことをするのだろうと思ったからです。春節なので爆竹を鳴らす人も多かったのですが、夜の10時、11時ならまだしも、早朝の4時、5時から爆竹を鳴らす人の神経が自分にはどうしても理解できない…」

「『自分さえよければいい』『他人の迷惑を考えない』というのは、自分に関係ないところで起きている場合はあまり感じないことですが、自分のすぐ身近なところで起きたときは、心底怒りが沸いてきます。

人々のマナーが悪いために社会全体の効率が悪く、監視カメラなど、本来必要のないものも必要になります。中国は経済的に発展し、名実ともに巨大な国になりましたが、中国人の心はあまり変わっていないのでは、と思いました。

北京や上海などの大都市の人は違うと思いますが、地方都市はどこも似たり寄ったりかもしれません。もちろん、検証していないのでわかりませんけど……。これはあくまでも私の個人的な感想です。

兄たちは私に、そろそろ引退して、中国に帰ってきたら、と勧めてくれたのですが、私はとてもそういう気持ちにはなれませんでした」

張さんはこう言うと、寂しげな表情で、私に笑いかけた。

🍎たったひとつの真実見抜く、見た目は大人、頭脳は子供、その名は名馬鹿ヒカル!🍏