Googleマップ悪質クチコミ巡り医師ら提訴 評価される店側は、気になる…? 「気にしない」派も

「Googleマップ」悪質クチコミ巡り医師ら提訴 評価される店側は、気になる…? 「気にしない」派も

Googleマップで行きたい施設を調べると、その施設の「評価」や「クチコミ」も見ることができます。今回、このクチコミを巡り、悪質なクチコミを放置され、営業を侵害されたとして医師らがGoogleを提訴しました。

18日夜、渋谷で出会ったのは、これから飲みに行くという3人組です。

――お店決めた?

「まだです」

――どう決める?

「Googleマップで、近くの居酒屋調べてクチコミ見て。店員の態度が悪いとか、そういうの気にしちゃうかな」

クチコミを見て行く店を決めたという女性も…。

「Googleで調べて評価良かったので。店内きれいだよとか、おいしいよとか。写真も見せてくれていて、みんなが言っているから安全なところなのかなって」

「決め手」と話したのは、地図上で施設名などを検索すると、住所や連絡先が表示されるGoogleマップです。クチコミや施設の評価も星5段階で表示されます。

   ◇

そのGoogleマップを巡って18日、全国の医師らが、「Google」に損害賠償を求め提訴しました。

原告側の代理人弁護士(18日午後)

「被告は米国法人であるGoogleLLC、Googleマップの運営者です」

その理由は…

「スタッフに子供の骨を折られた」

「時間になっても医師が来ない」

「怒鳴られた」

こうしたクチコミの数々。医師ら側によれば身に覚えがなく、事実ではないことばかりだったため、クチコミの削除や間違った情報の修正をGoogleに求めましたが、放置されていたといいます。

Googleを提訴 原告の医師

「ちゃんとGoogleと血の通った人と人として、話し合いがしたかったんですが、全く人間的な話し合いっていうのをしてもらえない。やむを得ず集団訴訟することになりました」

クチコミをした人物でなく、サイトを運営する側を訴えた今回の裁判。専門家は…

インターネットトラブルに詳しい小林衛司弁護士

「今回は抜本的な解決を求めるためにGoogleに提訴を行ったんだなと。これをきっかけにGoogle側の内部のシステムを変えたり、対応の変化を求めて裁判をしている、という意義も考えられる」

こうしたクチコミを投稿され、「評価される側」の店舗は、どう考えているのでしょうか――。

山本里咲フィールドキャスター

「Googleの評価などは気にしますか?」

弁当店 代表

「だいぶ気にしますね」

山本里咲フィールドキャスター

「どれくらい見ますか?」

弁当店 代表

「新しいクチコミが入ったらすぐチェックはしますね。頻繁には見ています」

Googleに登録していると店側は、クチコミが来るごとに、メールで通知が来るといいます。

山本里咲フィールドキャスター

「見る時ってドキドキしたり?」

弁当店 代表

「(評価が)いいのであれって思います。開くときに(星)何個だろうって、やっぱり思うので」

このドーナツ店も、クチコミは「気になる」派…。

ドーナツ店 店長

「どちらかというと僕は、接客が良くなかったとか、味がこうだったとか、そういうネガティブな方の意見が載っていないかという確認ですね。万が一あった場合、それは僕らの責任になってしまうので。それは絶対、改善したいという気持ちがあったので」

一方で、クチコミを「気にしない」と答えたのは創業56年のうなぎ店です。

うなぎ店 店主

「『ひどいこと書かれているよ』って(言われたことは)ありました。でも私は見もしません」

周囲から“ひぼう中傷”ともとれるクチコミを投稿されていると聞かされたこともあったといいますが…

うなぎ店 店主

「世の中っていろんなこと、言う人いるじゃないですか。それを気にしていると、自分が小さくなっていってしまうから、お店自体も小さくなってしまうんで、そういうことは気にしない」

ITジャーナリストの石川氏は、私たちが気をつけるポイントとして、一つのサイトの情報をうのみにせず、複数のサイトで確認すること、またクチコミを投稿する際には、面と向かっていえることだけを書くことを意識することも重要だといいます。

今回、裁判を起こされる形となったGoogleは…

「Google マップでは、様々な場所に関する信頼できる情報を見つけやすくし、不正確な内容や誤解を招く内容を減らすよう努めています」

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Googleマップの“口コミ”めぐり医師らが提訴 「患者の言いなりになったら医療をちゃんと保てない」 過去に開示請求した現役医師「裁判に勝っても赤字」

 Googleマップで店舗や施設の情報と共に出てくる「口コミ評価」。参考にする人も多いと思われるが、医療機関に関してはトラブルも。事実と異なる悪評が放置され、営業権を侵害されたとして18日、医師ら63人が合わせて140万円余りの損害賠償を求め、アメリカのGoogle本社を集団提訴した。

 口コミの削除依頼を出しても対応されるのはごくわずかで、削除基準も必ずしも明確ではないという。集団提訴に対しGoogle側は「不正確な内容や誤解を招く内容を減らすよう努めている。個別の案件に関してはコメントを差し控えさせていただく」と回答している。

 Googleマップの口コミの是非や悪評の実態について、『ABEMA Prime』で現役医師と原告側の弁護士とともに考えた。

■口コミ2つの問題点 医師側は「誰が書いたかはわかる」

 原告医師らが掲げる問題点の1つが、Googleマップを使用したくない病院も改ざん防止等のために登録を事実上強制されること。一般ユーザーが施設名称や営業時間、連絡先などを編集可能で、修正のためには「ビジネスプロフィール」登録が必要になる。原告団の向原栄大朗弁護士は「病院の場所や営業時間が間違って登録されていても、病院側から訂正する手段がない。これが一番大きな問題だ」と指摘する。

 そしてもう1つが、無責任な匿名の口コミによる被害が多数あるものの、削除等のハードルが著しく高いこと。原告医師らに寄せられた内容として、女性職員に対する「IQ70以下」「メス豚」といった書き込みや、声を荒げたわけではないのに「怒鳴られた」と記載、職員を盗撮した顔写真とともに誹謗中傷、「閉業」マークを勝手につけられるなどがある。Google側に削除依頼と報告ができるのは誤情報やヘイトスピーチなどポリシーに違反したもののみ。事業体と投稿者の間で事実相違がある場合、確実に判断する方法がないためGoogleは関与しないとしている。

 大阪でクリニックを開業した医師の池田氏は過去、ウソの口コミをめぐりGoogleに投稿者の開示請求を行った経緯がある。「当院に対しての誹謗中傷だが、私もスタッフもそのような患者さんが来た覚えはなかった。『放っておくとこんなクリニックは潰れるだろう』とまで書かれてしまったので、放置できないなと。当時、日本法人は電話番号も住所も公表していなかったので、アメリカのサンフランシスコ州の裁判所に情報開示請求を行った」と語る。

 その後、日本で裁判を起こしたところ、投稿者は患者ではなかったそうだ。「患者さんが欲しい薬に対して、その症状には合わないと違うものを提案することもある。その後、『薬がもらえなかった。ヤブ医者だ』と星1の評価がついたりするが、我々は患者さんに向き合う仕事。誰が書いたかは100%わかると思ってもらったほうがいいと思う」。

 決着がつくまでにかかった期間は約3年、日米両方の裁判でかかった金額は50万円+50万円で約100万円。一方で裁判に勝って得た金額は50万円ほど。池田氏は「完全に赤字」と話す。また、「医師のみのSNSでは、Googleマップに対する怒りの声はかなり多くなっている。来院しなくても書き込めると、同業者の嫌がらせもできてしまうからだ。医療機関も法的処置を取ることは増えている。書き込む人は気軽な気持ちかもしれないが、裁判になると相手方も3年ぐらいは付き合わなくてはならない。弁護士を雇うことも考えるとかなりの負担になる」と指摘した。

■「患者の言いなりになったら医療をちゃんと保てない」

 口コミ問題を解決すべき点として、向原氏は「医療は言われたとおりにすればいい仕事ではなく、患者に最適な解決策を提案しなくてはいけない。抗生物質が欲しいと言われても、医師としては良くないという判断もありえる。そこで悪口を書かれてしまうと、患者の言いなりになるしかないというソリューションになってしまう。医療がちゃんと保てなくなる、医師の裁量が尊重されないことにつながりかねない」と危機感をあらわにする。

 Google側に求めるのは、書き込みを患者など特定の人に限定する、訂正できる環境を整えること。「書き込む側も特定されるし、慎重さが伴ってくる。おかしな情報が書かれにくくなり、口コミ情報の信ぴょう性も高くなる」「自分の情報をコントロールする権利はそれぞれにある。批評される側に立つ場合もあるが、間違った情報は訂正できるはずだ。それができる状況がないので、技術的な手段を用意してほしい」と訴えた。

 さらに、「両者の見解が違う時、裁判所で言い分と証拠を出し合って片付けるしかないというのが、基本的に僕らの問題意識だ。Googleにそれができるかというと、なかなか難しい部分はあると思う」とした上で、「我々は情報の受け手であると同時に、発信する側にも回っている。その辺りの情報リテラシーは磨いていかなければならない。学校でそういったことは教えられず、社会に出て、ネットに触れて初めて問題にぶちあたる。そこを一緒に考えていこうということも、今回訴訟提起した問題意識の1つだ」とした。

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