Facebookの偽アカウントから友達申請→興味本意でOKしたら何が起きるのか?

Facebookの偽アカウントから友達申請→興味本意でOKしたら何が起きるのか?

 「Facebookは使われていない。オワコンだ」そんな声も聞かれるが、それはZ世代での話だ。ある調査(※)によれば、現在も30代の4割以上が利用しているという。実際、筆者の周りを見回してみても、30代~60代の大人世代は引き続きメインのSNSとして利用している人が多いようだ。そんなFacebookで問題になっていることの一つが「偽アカウント」。さまざまな偽アカウントが、ユーザーに続々と友達申請を送ってくるのだ。最近の偽アカウントは巧妙になっているので、ニセモノと見破るのが難しい。つい友達申請を承認してしまったという人もいるだろう。偽アカウントとつながるとどんなことが起きるのか。そして私たちは、こうしたアカウントとどのように向き合えば良いだろうか。

● Facebookの怪しい友達申請 ~偽アカウントは主に5タイプある

 昨年後半くらいからだろうか、筆者の観測範囲になってしまうが、偽アカウントからの友達申請が急激に増加した印象がある。多い時は毎日のように送られてくる。「知らない人はリクエストをやめてください!困ります!」と悲痛な叫びを投稿している人もいた。あまりに申請が多くて疲弊しているのだろう。だが相手は初めから詐欺を働くつもりでやっており、日本語も読めないことが多いので、この悲痛な叫びを受けても友達リクエストは止まない。

 偽アカウントにはいくつかのタイプがある。大きく分けると以下の五つだ。

 (1)著名人のなりすまし

(2)容姿端麗な若い女性

(3)医師または軍人で配偶者と死別した男性

(4)友人、知人のなりすまし

(5)見知らぬ普通の人

 (1)誰もが知る著名人が自分に友達リクエストを送ってくる可能性は低い。ほぼ0%といっていい。なので、無視すればいい。例えば、これはイーロン・マスクを名乗っているアカウントからの友達リクエスト。即座にブロックしてFacebookに通報しよう。

 見知らぬアカウントから友達リクエストが来る場合、男女で少し異なる。男性向けにリクエストを送ってくる偽アカウントは(2)若くて容姿の整った女性(最近はAI美女も増えてきた)、女性向けにリクエストを送ってくるのは(3)医師または軍人で配偶者と死別した男性というパターンが多い。外国人の名前を名乗っているパターンも多いので、この場合も「こんな人からリクエストが来るわけがない」ということに気付けば、そのままブロックして通報するだけだ。

 続いては、(4)友人、知人のなりすましだ。同じ人物のアカウントが二つあり、元々のアカウントは「加藤恭子」と漢字名だったのに、新しいアカウントはローマ字で「Kyoko Kato」になっていたりする。実は、このパターンは見分けづらい。というのも、Facebookをビジネス目的で利用していて複数アカウントを運用している人がいるためだ。自分のビジネスの内容を宣伝する投稿をすれば友達やフォロワーに自動で届くので、それを「メルマガ」のように利用するために、意図的に友達を増やしている人がいるのだ。このタイプの人は友達数が上限の5000人を超え、もう一つアカウントを運用していることがある。このように、同一人物のアカウントが二つあっても、なりすましでないこともある。

 これに似た別のケースで、前のアカウントが使えなくなったので別途アカウントを作成し直したという場合も、同一人物のアカウントが二つ存在する状態となる。なお、自分のアカウントにアクセスできないという状況は別の問題にもつながる。それについては後述する。

 この場合の見分け方だが、たいていは、なぜ二つ目のアカウントを作ったのかが元のアカウントや新規アカウントに書かれているので、その説明があるかどうかを見る。そしてそのアカウントから友達リクエストが来た場合は、その友人知人に「このようなリクエストが来ているけど、なりすましではないか」と尋ねるのが良いだろう。煩わしいかもしれないが、それが確実だ。

● ニセモノと見分けにくいパターンを 見破るコツ

 「こんな手には自分はだまされない」そう思う人も多いだろう。だが最近は、パッと見では違和感がなく、偽物と気付きづらい申請も増えている。例えば50代男性に40~50代女性からの友達申請が来た場合、「こんな若くて綺麗な人が自分に友達申請をするはずがない」わけではないので、(5)見知らぬ普通の人からの申請は見破りづらい。

 こうした、本当に知り合いにいそうな同年代の異性からの申請は、判断に迷うところだ。しかし、そこにも小さな違和感はあるはずなので、注意深く見ていきたい。

 まずは、友達申請の際に送られてくるメッセージだ。以下は実際に届いたメッセージを紹介している。私宛なので女性向けのものだが、男性には違うものが届いているはずだ。

 まずは、去年前半によくあった、見破りやすいパターンから見ていこう。

 【日本語が不自然】

 これは日本語が若干おかしいパターンだ。翻訳ソフトを利用したのだとすぐに分かる。

 続いて、誤送信ですよ、という返信を狙っているのか、何かを適当にコピペして入れたと思われるパターンだ。日本語もおかしいし、こちらはまだ承認もしていないので、これも変だと気付けるだろう。

 【アカウントのプロフィールページをチェックする】

 次は、最近増えているパターンだ。日本語の違和感は減り、誰にでも当てはまりそうな表現に変わっている。確認して、共通の友人がいる場合もあり、そうなると「あ、知り合いの知り合いなら大丈夫だろう。コロナ禍で人と知り合う機会もなかったし、ネットで知り合いを増やすのも良いかな」などと思う人もいるかもしれない。

 実在の人物でもこのようなメッセージを送ってくる人もいるため、メッセージだけでは判別が付きにくい。そんな場合の見分け方としては送り主のプロフィールを見てほしい。

 例えばこのアカウントの場合、アドレスバーに表示されている名前はXXXXkeisuke(XXXの部分は筆者が消している)となっている。つまりこのアカウントは元々ケイスケさんという方のアカウントだったのだと分かる。続いて名字の「横山」。字体が日本で使われているものと異なっている。この2点からも、なりすましなどの何らかの問題のあるアカウントだろうと分かるわけだ。

 この名前表記の部分は重要で、「名字+名前」になっておらず、「苗字+苗字」「名前+名前」になっていることもある。「加藤 山田」「恭子 花子」といった名前になっているのだ。作成者は外国人で、日本の一般的な名字や名前の知識がないので、このようになるのだろう。漢字を使わず、名前をローマ字、カタカナ、ひらがなで表記している場合でも、母音を繰り返す、濁点がないなどの違和感に気付きたい。

 【投稿に時計マークが付いている】

 もう一つ気にしてほしいのが、投稿の時計マークだ。これは投稿後に日付をさかのぼって修正した場合に表示される。つまり偽アカウントを本物らしくするために、過去にこんなところに行きました、こんな食べ物を食べましたというのをまとめて同じ日に投稿し、以前に行ったように見せかけようとしているのだ。これも見分けるポイントになる。

 この過去の体験は誰かの過去投稿をコピーしていることが多く、試しに文章の中の数行をコピーしてFacebook上で検索すると、同一の文章と写真を使った投稿にたどり着く。

 例えばこの投稿では、4月12日に投稿してあったものを、日付をさかのぼって3月26日に修正していることが分かる(一部、文字や個人情報を消している)。

● 友達申請を全部断れば、万事解決? 大事なのは「違和感を放置しない」こと

 ここまで読んで「Facebookは危険だ、友達申請が来たら全部断ればいい」と考える人もいるかもしれない。それも一理ある。しかし、筆者としては選択的に受ける方法を推奨している。なぜなら、小学校の懐かしい同級生が自分を見つけてくれて再びつながったり、自分の書籍の読者やセミナー受講者などと対話ができたり、趣味のつながりができたり、ビジネスをしている人にとっては、自分や自社の最新情報を届けることができたりと、Facebookを使う利点も大きいからだ。

 本当の友達申請の場合ももちろんあるので、全部断るのはもったいない。大事なのは「違和感を放置しないこと」だ。万が一間違えて怪しいアカウントと友達になっても、すぐに削除したり、ブロックしたりすることもできる。

 以下、怪しいアカウントを見破るチェックリストをまとめてみた。

■怪しいアカウントを見破るチェックリスト

・メッセージの違和感(文法の間違い、翻訳したような文章、誰にでも当てはまる文章)

・名前の違和感(字体、見慣れない表記)

・時間帯(外国から送られてくるケースが多く、時差の関係で夜中などに申請がくる)

・直近の投稿(内容に時計マークが表示されていないか、途中まで男性の投稿だったのに途中から女性に代わっている、など)

・プロフィールの整合性(海外勤務なのに、日本に住んでいると書かれているなど)

・ブラウザのアドレスバーに、異なる名前が表示されている

● 偽アカウントの友達申請を 受けると、どうなる?

 こうした偽アカウントの友達申請を受けると、何が起きるかについて考察したい。私自身はこの手の申請はすぐに削除し、通報しており、申請を受けたことはない。しかし、ネット上の体験談や、実際にだまされた知人の話を総合すると、どうやら、(国際)ロマンス詐欺や投資詐欺である可能性が高い。ロマンス詐欺は、親密になってから病気だとか、あなたに会いに行くためにお金が必要だ、会ったときに大金を渡すなどと言い出し、お金を巻き上げる詐欺、投資詐欺は、友達になって色々と会話をした後に別プラットフォームに誘導し、最初に少額の取引で儲けさせて信用させてから大金を偽の取引口座に送金させ、だまし取るというものだ。詳しくは、下記の記事を見てほしい。

「国際ロマンス詐欺」の悲劇的結末、全財産をむしり取られる手口とは

https://diamond.jp/articles/-/275442

イカゲーム投資、ZOZO前澤氏が「プレゼント」…仮想通貨サギの「最新手口」4選

https://diamond.jp/articles/-/288685

 実際に私が会った事のある人物で、SNSの詐欺に遭ってしまった人がいる。高学歴で、企業でも高い役職についていた人だ。そんな人でも引っかかってしまうくらい、巧妙にできている。非常に危険なので、興味本位で偽アカウントの友達申請を受けないでほしい。

● Facebookを あまり使っていない人が危ない!

 ところで、偽アカウントの中でも、特に(5)のような見分けづらいアカウントはどうやって作成されるのだろうか。「怪しいアカウントを見破るチェックリスト」で気付いた人もいるかもしれない。これらの多くは、アカウントを乗っ取って「再利用」しているのだ。

 狙われやすいのは、それなりに友人のつながりの多いアカウントだ。実は昨年、元同僚のAさんがこの被害にあった。しばらく投稿のなかったAさんだが、ある日突然、投稿を始めた。60歳前後の男性Aさんがおしゃれなカフェで、パフェを食べたと投稿している。「Aさん、定年退職でもしたのかな?楽しそうだな」と思って筆者は「いいね」をしたのだが、その違和感にいち早く気付いたのは、共通の知人Bさんだった。「今までのAさんの投稿とテイストが違う。これは本人だろうか?」と投稿した。

 ここから皆の連携プレーが始まる。さまざまな手段を駆使してAさんに連絡し、Aさんはアカウントの復旧のためにあらゆる手を尽くした。すでに登録してあるメールアドレスは乗っ取り犯のものに書き換えられており、復旧までに1週間以上かかった。途中でロックがかかってアクセスができなくなったりしたものの、最後は運転免許証をアップロードして復旧したそうだ。私もFacebook上で通報して、サポートした。

 AさんはIT系企業に勤めていたことと、周りのサポートもあったことで、幸運にも最終的にアカウントを取り戻すことができたが、大抵の人は諦めてしまい別のアカウントを作成しているのではないだろうか。過去の写真や投稿を失った本人は悲しいかもしれないが、それだけでなく、詐欺アカウント作成に加担していることにもなる。

● SNS疲れ? 利用をやめる前にやってほしいこと

 アカウント乗っ取りは、以下である程度防げるはずだ。Facebookに限らず、最近使っていないSNSアカウントがある人は、以下を試してみてほしい。

 ・今もログインできるか

・怪しい投稿がないか

・紐づいているメールアドレスや電話番号が、今使っているものになっているか

 また、セキュリティを高めるため、新たな認証方法が導入されているケースも多いはず。二段階認証などの設定も面倒がらずにやっておこう。パスワードも、使いまわしている場合などは変更しておく。また、本当に使っていないアカウントは、削除することも大切だ。

 SNSはテレワークの際に息抜きの雑談ができたり、移動中に閲覧したり、趣味の仲間とやり取りをしたりと、うまく利用すれば非常にありがたいものだ。だが、どんなに詳しくリテラシーが高い人でも、偽アカウントにだまされたり、アカウントを乗っ取られてしまったりすることはある。誰もが「自分もだまされる可能性がある」と思い、注意しながら利用していくしかないのだろう。

🍎たったひとつの真実見抜く、見た目は大人、頭脳は子供、その名は名馬鹿ヒカル!🍏