「気持ち悪いし汚い」から…廃棄される学校の剥製 理科教室の「開かずの扉」にしまわれたまま、博物館にない貴重な資料も

「気持ち悪いし汚い」から…廃棄される学校の剥製 理科教室の「開かずの扉」にしまわれたまま、博物館にない貴重な資料も

 長野県諏訪市の諏訪二葉高校に、関東地方で採取された貴重なトキの剥製標本が保管されていることが分かった。同校には、他にも100点以上の哺乳類や鳥類の剥製標本が残されている。ただ、信州大の笠原里恵助教(47)によると、近年は学校の統廃合で保管場所がなくなり、廃棄されるケースも。剥製の組織から遺伝子を抽出できるなど学術的価値は高く、研究者は廃棄する前に博物館や大学といった研究機関に相談するよう呼びかけている。

 笠原助教は保管されているライチョウの剥製から遺伝子を抽出し、ライチョウの遺伝的多様性を研究している。昨年、県内の高校に保管されている剥製の調査を始めたが、「気持ち悪い」「汚い」といった理由で破棄を検討する例もあるという。

 剥製を含む学校標本の歴史に詳しい千葉県中央博物館(千葉市)の斎木健一主任上席研究員(61)によると、長い歴史を持つ高校で多くの標本が残されている傾向がある。明治以降、国が示した教育内容に従い、学校では教材として剥製などを購入。教科書を読み、剥製で形態を確認するという形で活用していた。

 諏訪二葉高のルーツである諏訪補習女学校が開設されたのは1901(明治34)年だ。今回見つかったトキが下総(千葉県北部と茨城県南部)で採取されたとみられるのは1910(同43)年。その後に剥製となったトキを、前身の学校時代に教材として購入した可能性が考えられる。

 1942(昭和17)年には教育内容が改められ、剥製は徐々に使われなくなっていったとみられる。現在では理科室などの棚にしまわれたままか、廃棄されてしまうケースが多いのが実情だ。諏訪二葉高の場合、剥製がある棚は「開かずの扉」となっていたものの、廃棄されることはなく保存されていた。

 千葉県中央博物館の斎木研究員は「学校には国内で数少ない剥製や、地域で採取された動植物の標本など博物館にない貴重な資料もある」と指摘。国立科学博物館の動物研究部(茨城県つくば市)の西海功研究主幹(56)は「過去に戻って研究のための試料を得ることはできない。剥製は今は存在しなくなった生物の姿を見られるだけでなく、遺伝的多様性なども知ることができる」と剥製を残す重要性を強調している。

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