「異変に気付くのでは」 青カビ混入か、経路焦点

「異変に気付くのでは」 青カビ混入か、経路焦点

 小林製薬の紅こうじを使ったサプリメントの原料から、青カビがつくる「プベルル酸」という天然化合物が検出された。製造過程で、紅こうじ菌を付着させる米や、培養時に青カビが混入した可能性がある。機能性表示食品に関する消費者庁の検討会で委員を務めた合田幸広氏が9日までに取材に応じ「(青カビ混入などがあれば)現場は少なくとも何らかの異変に気付くのではないか」と指摘した。

 一方「青カビの種類によっては気付かないこともある」との見解の専門家もいる。プベルル酸を巡っては、報告が相次ぐ腎疾患との関連とともに、含まれるに至った経路の解明も焦点となる。

 合田氏は、紅こうじ菌の培養過程で想定外の物質が大量につくられたのだとすれば「色が変わることもあるだろう」と話し、製品の状態に変化が起きるとする。

 紅こうじ菌は、青カビやこうじ菌に比べ、生育スピードが遅い。琉球大の橘信二郎准教授(微生物利用学)によると、実験室では、蒸した米に紅こうじ菌を付着させ、米の水分と温度を調節しながら培養する。

サプリ向け、発酵期間4倍 小林製薬の紅こうじ原料

 小林製薬(大阪市)の「紅こうじ」サプリメントによる健康被害が疑われる問題を巡り、同社がサプリ原料となる紅こうじ菌の発酵で、食品用に比べて4倍の時間をかけていたことが4日、同社関係者への取材で分かった。健康効果があるとされる成分の濃度を高めるため、サプリ用は最長56日間発酵させていた。

 紅こうじ菌の発酵には細かい温度管理が必要とされる。琉球大の橘信二郎准教授(微生物利用学)は「発酵の時間が長いほど、汚染リスクが高くなる」と指摘。サプリの成分向上を狙った長期間の発酵により、製造工程で衛生管理の難度が高まったとみられる。

 紅こうじは、蒸した米に紅こうじ菌を混ぜて発酵させる。特徴的な赤い色は発酵で生まれ、古くから食品に利用されてきた。悪玉コレステロール値を下げるとされる「モナコリンK」といった機能性成分が注目され、近年は健康食品としての利用も広がった。

 発酵期間は用途によって異なり、小林製薬は食品用に2週間程度かけていた。長く発酵するほど成分が濃くなるため、サプリ向けは期間が長かった。

紅こうじ論文は「適正」と著者 販売後の品質確認が重要と指摘

 小林製薬の「紅こうじ」サプリメントを巡る健康被害問題で、コレステロール低減をうたう機能性表示食品の科学的根拠として同社が国に届け出た論文著者の庄司哲雄大阪公立大研究教授(代謝内科)が10日までに共同通信の取材に応じ「論文は研究結果に基づき一定の責任を持って書いた。今読み直しても非常にニュートラルな評価だ」と述べ、紅こうじの効果や安全性に関する評価は適正との見解を示した。

 機能性表示食品は文献調査などの根拠を示せば、薬や特定保健用食品のように審査することなく国に届け出ができる。制度の厳格化を求める声に対し庄司研究教授は「審査があってもこのデータで通ったと思う」とした上で、「審査を厳格化しても製造の過程で予期せぬ物が混入すれば健康被害につながる。販売後も品質を継続して確認できる仕組みにすることの方が重要だ」と指摘した。

 自主回収対象の「紅麹コレステヘルプ」などの商品は悪玉と呼ばれるLDLコレステロールを下げると表示。同社は根拠として庄司研究教授らによる2018年の論文を示している。

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