「ニッチ戦略」でヒット連発も…紅麹サプリで苦境の小林製薬 ヘルスケア事業の今後は【知ってもっと】【グッド!モーニング】

 小林製薬の紅麹(こうじ)成分が入ったサプリの健康被害が相次いでいる問題で、厚生労働省は入院した人が157人に上ったと発表しました。一方、小林製薬と共同で紅麹の遺伝子解析を行っていた専門家は、「紅麹自体からプベルル酸は生成されない」と語りました。

■どこから混入? 医療機関を受診786人

紅麹を小林製薬と共同研究 金谷重彦教授

「本当に小林製薬からすると、なんでこの物質なの?っていう感じだと思う。今まで(製造過程で)毒物の成分は計っているのに、それ以外の物質が出てきているから未知なんです」

 こう話すのは、問題となっているサプリを開発する前、小林製薬と共同で紅麹の研究を行っていた、国立奈良先端科学技術大学院大学の金谷教授です。

 当時、金谷教授が紅麹の遺伝子の働きを解析した際には…。

金谷教授

「製薬会社と研究をしてて、それで全ゲノム解析をした。小林製薬と全ゲノム解析をした時に、ゲノム上にある遺伝子を端から探索した」

「(Q.紅麹菌からプベルル酸は出ない?)ほぼないと思います」

 小林製薬と金谷教授の解析では見つからなかったというプベルル酸を発生させる成分。1日に改めて研究資料を確認しましたが、その結論に変わりはないといいます。

 では、なぜ今回、商品からプベルル酸が検出されたのでしょうか。

金谷教授

「青カビが入った。それがプべルル酸を作れる青カビだった。色々調べてみて分かったんだけど、紅麹は生育遅い。青カビの方が生育速度が早い。紅麹を増やす環境っていうのは、カビが大好き」

 現時点で、健康被害の原因は特定されていませんが、金谷教授は、製造過程で青カビが何らかの原因によって混入し、湿度などが生育に適した環境だったため、一気に増殖。これにより、プベルル酸が発生したのではと分析しています。

 厚生労働省によりますと、先月31日時点で、小林製薬の紅麹が含まれたサプリを摂取して入院した人は157人、医療機関を受診した人は786人に上っているということです。

■紅麹サプリ被害 66%女性、40歳~69歳中心

 日本腎臓学会は今回の問題を受けて、独自のアンケート調査を行い、1日にその結果を発表しました。

猪阪善隆副理事長

「この薬剤(サプリ)を中止するだけで、腎機能などが改善する患者もアンケートの結果から多くいることが分かりました」

 症状を訴えている人の66%が女性。40歳から69歳がほとんどですが、30代もいたといいます。また、全体のおよそ8割が1月以降に医療機関を受診。主な症状は食欲不振や尿の異常、腎機能障害だということです。

■「ニッチ戦略」でヒット連発 小林製薬とは?

 1日、予定していた入社式を取りやめた小林製薬。新入社員58人を前に、小林章浩社長自らが今回の問題について説明したということです。

 そもそも、小林製薬とはどのような会社なのでしょうか。過去に、社長に直接インタビューをしたことがあるという記者は、次のように話します。

東洋経済 伊藤退助記者

「結構、小林製薬は新商品を大事にしていて、社員全員でアイデア出しを行ったり、面白いネーミングを一緒に付けたりして、ヒット商品を作ってきた」

 会社のホームページに記載されている独自のビジネスモデル、「小さな池の大きな魚」。誰も見つけていない市場を見つけてヒット商品を狙う、「ニッチな戦略」と説明されています。

伊藤記者

「これがまさに小林製薬を体現しているのかなと思って。いわば万人に使われる商品でなくても、その人には刺さるみたいなものがかなり出ていて。ただ、その対象が小さすぎないのが、小林製薬の面白いところ。アンメルツとかも貼るタイプではなく、塗るタイプの消炎剤ですけど。あれっていうのも、それが好きな人には刺さるわけ」

 小林製薬のロングセラー商品「アンメルツ」。これは小林製薬の男性社員がデート相手の女性から、肩の貼り薬が「年寄り臭い」と言われ、振られたという経験がきっかけとなり誕生したといいます。

■ヘルスケア事業に注力 社長「商品開発続けたい」

 ニッチな戦略で、ヒット商品を生み出してきた小林製薬。特に、ヘルスケア事業は力を入れてきた分野です。

小林社長

「国民の健康ということを考えると、病気の予防、健康の維持は重要なポイント。その分野で許されるのであれば、今後も貢献していきたい。そういう商品開発をしていきたい」

 先週の会見で、「今後も商品開発を続けたい」と語った小林社長。会見場で、この言葉を聞いた記者は…。

伊藤記者

「結局は消費者がこの後どう買うか。この商品がダメだから、他の小林製薬の商品はダメだというふうに判断したのであれば、小林製薬は苦しくなると思います。ヘルスケアをこれからやっていくのか、当然反対する人もいると思うんですけど。小林製薬の(商品を)求めている人も私はいると思っていますので。そこは消費者と一緒にやっていくことが大事だと思う」

 紅麹のサプリを巡って、小林製薬に寄せられている相談件数は、およそ2万2000件。小林製薬はコールセンターの受け付けを4時間延長し、午後9時まで対応しています。

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