台湾地震“倒壊建物”の共通点…専門家が指摘「ああいう壊れ方は日本では起きない」

台湾地震“倒壊建物”の共通点…専門家が指摘「ああいう壊れ方は日本では起きない」

 3日、台湾で起きた最大震度6強の地震で、死者は9人、負傷者は1000人を超えています。震度6強の揺れを観測した花蓮市は、自然豊かで穴場の観光スポットとして知られる街でした。

■TVスタジオでも「いろいろなもの落ちてきた」

 ドライブレコーダーの前方に映った衝撃の映像。大規模な崖崩れが起き、土煙が上がります。人々は呆然(ぼうぜん)と立ち尽くすのみ。間一髪、崖崩れを逃れた車が走って逃げてきました。

 地震発生直後、別の場所では何かを察知し、バックする車。すると落石がありました。さらに、大きな岩が前方の車を直撃。その後も、次々と落石の恐怖に見舞われました。

 台北市では、部屋全体が左右に揺れ、照明が音を立ててぶつかりあっています。

アナウンサー

「ただいま地震が発生しました。立っていられない状態です。天井も激しく揺れているため、いろいろなものが落ちてきました」

 3日日本時間午前8時58分ごろ、台湾東部を震源とするマクニチュード7.7の地震が発生。現在、分かっているだけで9人が死亡しています。

■花蓮の日本人を取材中にも…地震

 交差点に建つ9階建てのアパートが大きく傾き土煙を立てているのは、台湾東部の花蓮。震度6強の強い揺れが襲いました。

花蓮日本人会 幹事 溝渕剛さん

「うわー。これめちゃくちゃ」

 花蓮にある日本料理店で撮影された映像です。

 客室の棚などが倒れ、多くの食器や花瓶が割れました。1階にあるカウンターテーブルも、表面が割れてしまっています。

溝渕さん

「電気はつく」

 キッチンの被害状況を確認します。

従業員

「冷蔵庫倒れていたから」

溝渕さん

「あ、本当に。あ、また来た。やばい、やばい。出ろ出ろ、駐車場」

 撮影したのは、この飲食店を経営している溝渕さんです。

溝渕さん

「いつ大きい地震がくるのかという感じを持っているが、いざとなると無力だなと思う」

 従業員たちと建物の外へ避難した後も、何度も地震がきたといいます。インタビュー中にも、地震がありました。

溝渕さん

「ちょっと今、揺れています。大丈夫です。震度で言ったら2あるかなという感じ。でも、きょう一日中揺れているので、いつ揺れているのか分からない」

■「すごいと思った」小学校職員の対応

 地震が起きておよそ2時間後。溝渕さんが、登校していた小学生の子どもを迎えに行くと、多くの保護者が訪れていました。

保護者

「4年生はどこにいますか」

職員

「4年生は、こちらとそちらに避難しました。少し探してみてください」

保護者

「3年生を探しているんですが」

溝渕さん

「子どもを探しに来る親御さんに、スピーカーを持った先生が確実に受け渡して帰宅させるというところが、正直長年いたんですけど、すごいと思った」

■列車から撮影の映像に…“地すべり”の様子

 台湾の中東部に位置する花蓮。先住民が多く暮らし、台湾で一番太陽に照らされる都市と言われています。

 海、山、川の自然に触れることができ、2021年には台湾の中で最も好きな観光地の第1位に選ばれたこともあります。

 観光の目玉である自然は、その姿を大きく変えていました。山のあちらこちらから土煙があがり、木々が砂で覆われています。

 列車内から撮影された映像には、地すべりの様子が捉えられていました。

撮影者

「これはだめだ」

■専門家が指摘…“倒壊した建物”の共通点

 台湾では、1999年にも今回と同じマグニチュード7を超える地震が発生。建物の倒壊などで、2400人以上が命を落としました。

 当時、建物のコンクリートの中から大量の一斗缶が出てくるなど、ずさんな建築が問題になりました。

 この地震を現地で調査した専門家によりますと、このころから建物の耐震対策が進められてきたといいます。

東京工業大学 和田章名誉教授

「(台湾の)新築の建物の技術が、日本より進んでいる面もあって。建物が揺れにくいように、積層ゴムの上にビルを乗せる。そういう技術は1999年の地震以降、台湾でも相当進んでいる」

 倒壊している建物には、共通点があるといいます。

和田名誉教授

「1階が柱だけでできていて、その上を7階とか十何階だとか、1階の柱が壊れると全体がバタンと倒れたり傾いたり、壊れた被害を見ると特徴的。ああいう壊れ方は日本では起きない。古い建物を今の耐震基準で見直すと、ちょっと足りないというものを直していく努力がされたらいいのかなと思う」

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