「紅麹問題」 そもそもサプリ なんで飲むの? 本当に必要な人たちも…気をつけたいNGな飲み方

「紅麹問題」 そもそもサプリ なんで飲むの? 本当に必要な人たちも…気をつけたいNGな飲み方

 小林製薬の「紅麹(べにこうじ)」成分入りサプリメントを巡る問題を受け、サプリメントに注目が集まっています。どのような人に必要なのか、飲む場合はどのような点に注意したらよいのか、薬局恵比寿ファーマシー(東京都渋谷区)の薬剤師、篠原久仁子さんに聞きました。

「トクホ」「栄養機能食品」「機能性表示食品」

――サプリメントが必要なのはどのような人ですか。

 例えば、妊娠していたり、妊娠している可能性があったりする人は、赤ちゃんの奇形を防ぐ目的で葉酸が多く必要になるため、サプリメントでの補充が推奨されています。また、病気で腸を切除して短くなり、吸収不良となる「短腸症候群」の人は、通常の食事だけでは十分に栄養素を吸収できないため、サプリメントを使って補うことがあります。

――ドラッグストアやコンビニエンスストアなどには、数多くのサプリメントが並んでいますが、多くの人は必要ないと考えてよいのでしょうか。

 体に必要な栄養は、食事から摂取するのが大前提です。サプリメントは、セルフメディケーションの一環として、必要性を自分で判断し、自己責任で使用するものです。医薬品と異なり、病気の治療のために使うものではありません。

 サプリメントなど、健康増進をうたった食品は「特定保健用食品(トクホ)」「栄養機能食品」「機能性表示食品」の三つに分けられます。

 トクホは、個別の食品ごとに国が審査し、効果や安全性が認められたものです。栄養機能食品には、ビタミンやミネラルなど、1日に必要な栄養成分が一定の基準量含まれています。機能性表示食品は、事業者の責任において、健康にプラスの効果が得られるという成分が入った商品で、その根拠となる情報が販売前に消費者庁長官に届け出られています。ただし、有効性や安全性が個別に審査されたものではありません。今回、問題となった紅麹を使ったサプリメントは、機能性表示食品でした。

 いずれも一定の科学的根拠に基づき、機能性の表示が国から認められたものですが、医薬品ではありません。

過去にはサプリで「自発性低血糖症」も

――今回のように、サプリメントを服用して健康被害が生じることはよくあるのですか。

 過去には、ダイエットや老化防止に効果があるとうたったサプリメント「 α リポ酸」が、震えや動悸(どうき)を引き起こす「自発性低血糖症」を招いたケースが相次いだことがありました。

 また、日常的によくあるケースとしては、「難消化性デキストリン」という成分の取り過ぎで、下痢を起こすことがあります。これは、トクホのお茶などに入っていて、糖分の吸収スピードを緩やかにして食後の血糖値の急上昇を抑えるものです。取れば取るほど、良いというわけではありません。

 ほかのサプリメントについても、一般論として、腎機能が低下した人では、尿として排出される物質が体内に蓄積してしまい、健康被害が生じる危険が高まります。また、すでに糖尿病や脂質異常症といった治療薬を服用している人が、さらにサプリメントを使うことで、成分を過剰に摂取してしまったり、相互作用が働いたりして、体調が悪くなるというケースは十分に考えられます。

――サプリメントを利用する場合の留意点はありますか。

 まずは、購入しようとしているサプリメントにどのような成分が含まれているのか、どのような表示の健康食品であるのかを確認することが必要です。国立健康・栄養研究所のウェブサイトには、素材情報について説明したデータベースがあります。私も活用しています。

 その上で、おくすり手帳を持参し、薬局の薬剤師に相談してほしいと思います。特に、厚生労働大臣が定める一定の基準を満たすなどした「健康サポート薬局」のマークがあるところがお勧めです。

 何か、治療薬を服用している場合などは、事前にかかりつけの医師や薬剤師に相談してほしいです。自己判断で、処方されている薬の服用をやめてサプリメントに置き換えたり、医療機関を受診せずにサプリメントで代用しようとしたりすることは絶対にしないでください。

――サプリメントを服用していて、体調が悪くなった場合、どうすればよいですか。

 購入する際と同様、かかりつけの医師や薬剤師に相談してほしいと思います。その際、(1)サプリメントを飲んでいること(2)複数の医療機関にかかっている場合は、それぞれでどのような薬を処方されているか(3)どのような食生活を送っているか――といった情報を必ず伝えてください。悪い飲み合わせを発見できたり、同じ成分のサプリメントを減らしたりといった対応ができれば、体調が改善することが期待できます。サプリメントの思わぬ副作用を防ぐためにも、受診の際にはおくすり手帳に記入しておき、医師や薬剤師に伝えましょう。

しのはら・くにこ

1985年、東京薬科大薬学部卒。87年、立川相互病院、94年、帝京大薬学部医薬情報室。96年、茨城県にてフローラ薬局開設。2010年4月、東京薬科大客員教授。11年3月、昭和大大学院で薬学博士学位取得。同年4月、昭和大兼任講師。19年7月、薬局・恵比寿ファーマシー代表取締役兼任。薬剤師・薬学博士、国際中医薬膳師、東京都糖尿病療養指導士、くすりと糖尿病学会認定糖尿病薬物療法認定薬剤師、健康サポート薬局研修修了薬剤師。日本薬剤師会雑誌編集副委員長、くすりと糖尿病学会理事、日本コミュニティファーマシー協会理事、日本在宅薬学会理事。

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