「紅こうじ」とは? 古くから食品の原料 一部にカビ毒を作る種類も

「紅こうじ」とは? 古くから食品の原料 一部にカビ毒を作る種類も

 小林製薬(本社・大阪市)の「紅こうじ」のサプリメントを摂取した人に健康被害の報告が相次いでいる。サプリに含まれ、原因の可能性が指摘されている「紅こうじ」は、どのようなものなのだろうか。

 紅こうじは、昔から中国や台湾、日本などで食品に利用されてきたこうじの一種。米などの穀物にカビの一種である紅こうじ菌を繁殖させて作る。天然の赤い着色が人気で、沖縄伝統の発酵食品「豆腐よう」や、紹興酒などの原料にもなっている。

 鹿児島大の吉崎由美子准教授(発酵食品学)によると、日本人の研究者が1970年代、紅こうじ菌から、コレステロールを下げる作用がある「モナコリンK」という成分を発見。近年は健康食品の原料としても注目されるようになった。

 ただ、紅こうじ菌の中には、腎臓の病気を引き起こす恐れがある「シトリニン」というカビ毒を作るものもある。小林製薬の紅麹コレステヘルプの場合は、シトリニンを作らない紅こうじ菌を使って製造されている。問題発覚後に製品分析した際もシトリニンは検出されなかった。

 国の食品安全委員会によると、欧州では紅こうじに由来するサプリメントの摂取が原因と疑われる健康被害が報告され、14年に欧州連合(EU)が、紅こうじ菌が作るシトリニンのサプリメント中の基準値を設定した。

 フランスでは、摂取前に医師に相談するよう注意を呼びかけており、スイスでは、紅こうじが含まれる食品や薬品の売買が禁止されている。

 一方で、吉崎准教授は「紅こうじは、毒素が作られると分かるよりもずっと前から、日本の食文化に深く関わってきたもの」だと指摘し、「過剰に摂取するのでなければ、今回のサプリメント以外のものについて過度に心配する必要はない」と消費者に冷静な対応を求めている。

多面的分析怠った小林製薬 公表まで2カ月、原因一つに絞り調査

 小林製薬が製造したサプリメントの健康被害は、1人の関連死が疑われ、政府が機能性表示食品の一斉点検に乗り出す事態となった。同社は1月に最初の症例を把握したのに、なぜ対応が遅れたのか。

3月に再検査 未知の成分判明

 「小林製薬が原因究明の調査をしている間、行政への情報提供を行わなかったのは遺憾だ」。武見敬三厚生労働相は26日の閣議後記者会見で小林製薬の対応の遅れを批判した。

 サプリ摂取者の腎疾患の症例が、最初に小林製薬に報告されたのは1月15日。一方、厚労省が健康被害の情報を把握したのは、それから2カ月以上過ぎて小林製薬が記者会見を開いた3月22日だった。企業が健康被害を行政に報告する直接的な法令はないというが、厚労省の担当者は「速やかな情報共有がなされるのが望ましかった」と不満を漏らした。

 26日に因果関係が疑われる死亡例が判明すると、武見氏はこの日2度目の記者会見を開き、情報提供が不十分だとして小林製薬への聞き取りに踏み切る方針を示した。

 小林製薬はこの2カ月間、何をしていたのか。

小林製薬「紅麹」もアベノミクスの〝遺産〟か 規制緩和に議論波及

 摂取した人からの健康被害の報告が相次いでいる小林製薬の紅こうじのサプリメントは、国に届け出たうえで「コレステロールを下げる」と表示していた。こうした健康食品は機能性表示食品と呼ばれる。安倍晋三元首相の成長戦略「アベノミクス」の一つとしてできた制度で、スタート時から安全性が担保されるのか懸念されていた。

 「トクホ(特定保健用食品)の認定を受けなければ効果を商品に記載できないのでは金も時間もかかり、中小企業などのチャンスが閉ざされる」。2013年6月、安倍首相(当時)が規制緩和を表明した。その2年後の15年4月、機能性表示食品がスタートした。

 トクホは、国が有効性や安全性を審査する。これに対し機能性表示食品は、…

小林製薬の紅麹サプリから検出のプベルル酸とは 専門家の見方

 サプリメント服用を巡って健康被害が起きた原因物質の可能性として、製造元の小林製薬(大阪市)の調査で、「プベルル酸」が浮上した。

 厚生労働省によると、プベルル酸は青カビが作り出す物質で、抗生物質としての特徴がある。米国立衛生研究所(NIH)のデータベースなどでは、ヒヤシンスに病気をもたらす原因菌などから見つかった天然化合物としている。

 唐木英明・東京大名誉教授(毒性学・薬理学)は、プベルル酸について詳細は不明だとしたうえで、「青カビが作る物質であるなら、紅こうじ菌から自然に作られることはありえない」と指摘。製造過程で青カビが混入した可能性があるが、紅こうじを作る培養器はカビも非常に増えやすい環境のため、混入すれば一気に増殖し、色の違いで一目で分かるはずだという。

 また、プベルル酸が腎臓にどのような影響を及ぼすのかも明らかになっていない。「腎臓への毒性があるかを動物実験で調べることが必要だが、結果が出るまで1~2カ月はかかるのではないか」とみる。

 医薬品の製造現場に詳しい光本泰秀・北陸大教授(神経薬理学)もプベルル酸について、「なぜ腎臓に集積したのかや、もしくは集積していなくても、腎臓に毒性を示したのかを明らかにしなければ、原因物質として特定できない」と指摘する。そのうえで「これまで紅こうじを使った製品を長年製造してきたなかで、急に特定のロットの製品で健康被害が出るのは不思議だ。外部からの混入などの可能性も含めて調査する必要がある」と話した。

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