世界初! 日本で「歯が生える薬」が実現間近。入れ歯、インプラントに次ぐ第3の選択肢の実態…死ぬまで自分の歯で食べられる時代がやってくる?

世界初! 日本で「歯が生える薬」が実現間近。入れ歯、インプラントに次ぐ第3の選択肢の実態…死ぬまで自分の歯で食べられる時代がやってくる?

人生100年時代といわれるが、実は人間の歯の耐久年数はその半分のおよそ50年。80歳になるまでに8本以上の歯を失うと、咀嚼能力が著しく低下する。できれば人生の最後まで自分の歯で食事を楽しみたい……。そんな人類の夢をかなえるべく、歯が生える薬が開発中であり、今秋から臨床実験がはじまるという。

この研究を長年、牽引している北野病院歯科口腔外科主任部長の高橋克氏に話を聞いた。

【画像】マウスでの成功率はすでに100%。 衝撃の「歯が増える」様子

歯はそもそも「増える」特性を持っていた

――そもそも歯を生やすという発想のきっかけは何だったんですか?

高橋克(以下同) 実は1990年代に、歯は1つの遺伝子の変異で数が増えたり、減ったりすることがわかっていました。そのことを勉強しようと、歯科医師として働きながら、京都大学の大学院に進み分子生物学を、その後アメリカに留学して発生生物学を学びました。歯を新たに生やすというのは歯科医師としての夢です。

――その夢に向かって研究を続けるうちに、どんなことがわかってきましたか?

歯は生える数が決まっていて、全部で32本(親知らずを含む)あります。しかし、もともと数が足りない先天性無歯症という患者さんがいて、その割合は全体のおよそ1%くらいなんです。また、逆に歯が32本より多くあるのを過剰歯といって、やはり1%くらいいます。歯の数は決まっているはずなのに、増えたり、減ったりといった揺らぎ(余地)があるんです。

※先天性無歯症:生まれつき一部の歯が生えない症状

また、歯は分類でいうと心臓や肺、膵臓とかと同じく、「臓器」なんです。噛むという機能だけでなく、体調に影響を及ぼします。例えば、肺は2つありますが、先天的に1つしかない人は1%もいません。逆に、3つある人も1%もいないんです。つまり、歯は増えたり、減ったりする可能性が高い臓器といえるのです。加えて、歯は成長の過程で、乳歯から永久歯に生え変わります。つまりリニューアルできるシステムを持っているわけです。

先ほど言いましたが、1つの遺伝子の変異で歯が1つ増えるということがわかっていたので、少なくとも歯が生えることに関しては、可能性があるんじゃないかと思ったんです。

――歯生え薬は、どのようにして歯を生やすのでしょうか?

私たちの歯は永久歯が抜けると生えてきません。これは、USAG-1というたんぱく質が歯の成長を抑制しているからなんです。

歯は芽さえあれば生えてきます。だから、このたんぱく質の機能をなくせば歯が生えてくるということになります。そこでこのたんぱく質をターゲットにして、歯を増やすということを思いついたのです。

がんの治療で、がん遺伝子によって発生するタンパク質を標的にして増殖しにくくする、分子標的治療というのがありますが、歯を生やすのも同じようにターゲットを絞ります。

マウスを使っての実験では、100%の成功率!

――これまでの実験ではどんな結果が出ていますか?

マウスを使って実験をしました。中和抗体を打ったら歯が生えてきたんですよ。しかも条件さえ整えば、100%生えるという結果を得られたのです。

マウスは、乳歯がない動物なので、先天性無歯症の子を妊娠している母親に抗体を打ちます。すると歯が生えてきたので、腰を抜かすほどビックリしました。また歯がない犬にも投与したら生えてきたのです。

でも犬の場合、残念ながらマウスとは違って100%成功にはなりませんでした。今のところ、動物実験では副作用は出ていません。ゆくゆくは、注射で直接人間に薬を打って、歯が生えてくるようになると思います。この薬が合う人、合わない人がいるかどうかもいずれわかってくるでしょう。

歯がなくなっても明るい未来が待っている

――ちなみにお値段はどのくらいになるのでしょうか?

費用は今のところインプラント3本分を想定していますが、全然決まっていません。ただ使用する抗体製剤はけっこう高価なので、当然費用も高くなってくるでしょう。

※インプラントは1本で、30~40万円程度かかる

――どんな患者に有効ですか?

無歯症の専門外来をやっているのですが、お子さん(先天性無歯症の患者)を連れたお母さんたちはいつも泣いています。子どもに歯がないことに対して、申し訳ないことをしたと自分を責めています。

歯が少ないことは子どもの成長、発達に影響が出ます。食事を摂る効率も悪くなります。また歯が少ないということで、すきっ歯になったり、見た目が悪くなります。子どもにとってはデリケートな問題なので、治験が始まって、どんどん薬を活用できるようになると、親子の悩みを解決する突破口になり得ます。

――大人の生活は大きく変わるでしょうか?

もちろんです。大人には28本の歯(親知らずをのぞく)があり、歯がその半数以下になると、ごはんのようなやわらかい食べ物も噛めなくなります。そうなることで口腔機能が衰えてしまい、結果、認知症になりやすく、転倒が増えることが研究からわかってきています。

このような疾患を防ぐために、入れ歯や新しい自歯で失った歯を補うことが大切です。抜けても新しい自歯の登場で、歯科治療の幅が格段に広がりますし、生涯自分の歯でモノを食べることができるようになります。それはとても爽快なことなはずです。

歯が改善されれば、自然と健康寿命も延びます。まずは2030年を目処に、先天性無歯症の患者さんに薬を届けたいと思います。

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世界初“歯が生える薬”治験開始へ 生まれつき歯が6本以上少ない「先天性無歯症」の治療につながると期待

 大阪の病院などでつくる研究チームは、世界初となる“歯が生える薬”の治験を始めると発表しました。生まれつき永久歯が少ない子どもへの治療につながることが期待されています。

 大阪市にある医学研究所北野病院などでつくる研究チームは、「先天性無歯症」の治療につなげようと、歯が生える薬の治験を今年9月に始めると発表しました。生まれつき歯が6本以上少ない「先天性無歯症」の患者は人口の約0.1%いるとされていて、今回の薬は、歯の成長を抑制するタンパク質の働きを止めることができ、マウスなどでは新たな歯が生えることを確認できたということです。

 治験は成人男性(30歳以上65歳未満)を対象に行いますが、安全性が確認できれば「先天性無歯症」の子ども(2~7歳)を対象とした治験も始めるということです。

 薬の開発は世界初の試みで、2030年の実用化を目指していて、将来的には虫歯で歯を失った人の治療などにも役立てたいとしています。

「歯が生える薬」世界初の治験開始 虫歯で「永久歯」失っても治療できる可能性 「頭や手から歯が生える心配はありません」

歯の数が足りない人に、薬で歯を生やす治験を大阪市の北野病院などの研究グループが始めると発表した。

「歯が生える薬」世界初の治験開始 「虫歯」で「永久歯」失っても安心の未来訪れる可能性

■生まれつき6本以上歯が足りない人 人口の0.1%

生まれつき6本以上歯が足りていない「先天性無歯症」は、人口の0.1%程度患者がいて、遺伝の影響が強いと考えられている。

食べ物を噛んだり、言葉を発したりする力が弱く、子どもの成長に悪影響をおよぼす一方、治療は成人になってからの入れ歯やインプラントに限られていた。

■健康な成人の歯を生やす治験

北野病院などの研究グループは、マウスを使った実験から、特定のタンパク質の働きを抑えることで歯が成長することを発見。

この仕組みを活かした薬で、歯が欠損している健康な成人の歯を生やす治験を、ことし9月から京都大学医学部附属病院で始めるということだ。

■薬は腕から点滴で投与「頭から歯は生えないので心配なし」

北野病院 歯科口腔外科高橋克主任部長:既存の治療とは一線を画す。それぞれいい点、欠点があるので。3番目のモダリティとして診療の中に浸透していくことを目指しています。

薬は口腔内ではなく、腕から点滴で投与するというこの治験。 体の思わぬところから歯が生えてしまうなんてことは起きないのか心配になるが…

北野病院 歯科口腔外科 高橋克主任部長:よく聞かれる質問なんです。頭や手からは歯が生えないのかと聞かれますが、基本的にはこの方法ではゼロから歯をつくることはできない。つまり、“歯の根”がないと生えない。頭にも手にも歯の根はないので生える心配はありません。

■虫歯や永久歯を失った人への治療に活用 2030年の実用化目指す

研究グループは今後治験を先天性無歯症の子どもにも広げ、2030年の実用化を目指すということだ。

また、この薬を使って乳歯や永久歯に続く「第3の歯」を生やすことに成功したということで、虫歯などで永久歯を失った人への治療にも活用したいとしている。

永久歯がまた生える!? 世界初「歯生え薬」治験を9月から開始 マウスやイヌでは成功 入れ歯やインプラントに次ぐ第3の選択肢

 世界初となる「歯が生える薬」の開発を進める大阪の北野病院などの研究チームは、人に薬を投与する治験を9月から始めると発表しました。

 北野病院歯科口腔外科の高橋克主任部長は、「歯生え薬の実用化は歯医者の夢です。入れ歯やインプラントに次ぐ第3の選択肢として歯科診療に浸透させたい」と話しています。

 この“歯生え薬”はどのような仕組みになっているのでしょうか。

 サメやワニなどの歯は一生のうちに何度も生えかわりますが、人間は子どものときに乳歯が生え、次に永久歯が生えます。もし永久歯が抜けてしまったら新しく生えてくることはありませんが、永久歯のもととなる“歯の芽”は存在しているといいます。

 研究チームは「USAG-1」というたんぱく質が歯の成長を抑制しているためであると突き止め、2018年に「USAG-1」の働きをなくす抗体薬を世界で初めて開発しました。

 すでにマウスやイヌなどに対しては、薬を投与して歯を生やすことに成功しており、研究チームは新たに9月から30歳から65歳未満の男性30人に薬を投与して、副作用の有無などを確認する治験を始めます。

 2025年度中には、先天的に永久歯が生えてこない2歳から7歳の子どもを対象にした治験も検討しているということです。

 2030年をめどに、先天的に永久歯が生えてこない「先天性無歯症」の人向けの薬の実用化を目指していて、薬の値段は150万円程度を想定しています。

 さらに、虫歯や歯周病などで歯を失った人の治療にも期待されるということです。

世界初『歯を生やす薬』今年9月に治験開始「先天性無歯症」の治療に 将来的には虫歯で歯を失った人の治療にも「歯医者の夢ですよね」

 世界初となる『歯を生やす薬』の治験が始まります。

 大阪市にある医学研究所北野病院などでつくる研究チームは、「先天性無歯症」の治療につなげようと、今年9月から歯が生える薬の治験を始めると発表しました。

 生まれつき歯が6本以上少ない先天性無歯症の患者は人口の約0.1%いるとされていますが、インプラントなどの治療が一般的でした。今回の薬は歯の成長を抑制するタンパク質の働きを止め、永久歯のもととなる「歯の芽」の成長を促すことができるということで、マウスなどでは新たな歯が生えることを確認できたということです。

 治験は成人男性(30歳以上65歳未満)を対象に行いますが、安全性が確認できれば、先天性無歯症の子ども(2歳~7歳)を対象とした治験も始めるということです。

 薬の開発は世界初の試みで、2030年の実用化を目指していて、将来的には虫歯などで歯を失った人の治療にも役立てたいとしています。

 (医学研究所北野病院・歯科口腔外科主任部長 高橋克さん)「歯医者のある意味、夢ですよね。既存の技術と一線を画しますよね。われわれ歯科医師の診療の中に浸透してくることを目指している」

世界初となる「歯を生やす薬」治験がスタート 「歯医者の夢ですよね」と研究者

世界初となる「歯を生やす薬」の治験が始まります。

生まれつき6本以上歯が足りない「先天性無歯症」は、人口の0.1パーセント程度の患者がいて、遺伝の影響が強いと考えられています。

この患者のために、北野病院などの研究グループは、世界で初めてとなる「歯を生やす薬」の開発を進めていて、マウスを使った実験から特定のタンパク質の働きを抑えることで歯が成長することを発見しました。

9月から歯が欠損している健康な成人の歯を生やす治験を、京都大学医学部附属病院で始めるということです。

【北野病院 歯科口腔外科 高橋克主任部長】「歯がなくて困っている方は、10万人います。その方々をなんとか助けたいのが正直なところ。歯医者の夢ですよね」

研究グループは今後、治験を先天性無歯症の2歳から7歳の子どもにも広げ、2030年の実用化を目指すということです。

将来的には、虫歯などで永久歯を失った人への治療にも活用したいとしています。

ところで、薬は腕から点滴で投与しますが、体の思わぬところから歯が生えることはないのでしょうか?

【北野病院 歯科口腔外科 高橋克主任部長】「基本的には、ゼロから歯をつくることはできない。歯の根のある所にしかできない。頭にも手にも歯の根はないので、そんな所からできることは普通ありません」

歯の悩みを抱える人にとっての希望の薬として、研究の進展が注目されます。

【世界初】「歯が生える薬」治験を今年9月から開始 2030年の実用化目指す 大阪・北野病院などの研究グループ

世界初『歯を生やす薬』今年9月に治験開始「先天性無歯症」の治療に 将来的には虫歯で歯を失った人の治療にも「歯医者の夢ですよね」(2024年5月3日)

🍎たったひとつの真実見抜く、見た目は大人、頭脳は子供、その名は名馬鹿ヒカル!🍏