「中国EV大ピンチ」のウラに、習近平の「経済大粛清」があった…!中国「虎の子EV」を壊滅させる習近平思想の「恐ろしい中身」

「中国EV大ピンチ」のウラに、習近平の「経済大粛清」があった…!中国「虎の子EV」を壊滅させる習近平思想の「恐ろしい中身」

中国EVが大ピンチ

アメリカで電気自動車(EV)が売れずにトヨタのハイブリッドにシフトする動きが見られるという。中国では、そもそもEVをはじめ自動車への需要が後退している。中国のEV業界は、いま大きな過渡期にさしかかっているようだ。

前編『「EV」がアメリだけでなく中国でも絶不調に…トヨタ「ハイブリッド一人勝ち」のウラで「中国EV大ピンチ」の深刻すぎる実態』で紹介したように、中国は折からの景気減速と不動産バブルの崩壊による資産効果の剥落から、極端な需要不足に陥っている。

さらに、中国のEV業界は現在、電池メーカーも含めて供給が過剰になっている。

需要が小さいのに供給が多ければデフレを引き起こす。価格競争の激化によって中国EV関係企業の大量倒産は時間の問題だろう。

全人代で語られた「経済“無策”」

3月5〜11日まで開催された中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)では、李強首相の政府活動報告に世界の注目が集まった。

各国の関係者・専門家たちは、改革開放以来、最悪の状況となっている経済を中国政府がどのように立て直そうとしているのかを知りたかったからだ。

世界は中国経済の行方を固唾をのんで見守っている。内需を盛り上げてくれなければ、世界経済の足かせとなるばかりか、大きな経済ショックの要因となりかねないからだ。

それだけに、李強首相の演説で何が語られるのかが最大の関心事であり、そこでは大型の景気刺激策が行われることを期待していた。しかし、李氏が語った「バズーカ砲」は空砲に過ぎなかった。「経済成長率は5%前後」と高い目標が設定されたのとは裏腹に、その達成への道筋は示されなかったのだ。

現実味のない「質の高い発展」

李氏は政府活動報告で、習近平国家主席が好んで使う「質の高い発展」というフレーズを25回も用い、技術革新を成長の新たな牽引役にすることを強調した。

中国政府は今後も供給サイドへのテコ入れを通じて経済を活性化しようとする意志を表明した形だが、これが奏功する可能性は極めて低いだろう。

なぜなら、これまで指摘してきたように中国経済は供給過剰なのであり、刺激すべきは需要不足の方だからだ。中国経済にとって真に必要な対策は、バブル崩壊後の需要不足をいかに埋めるかであるのに、そのことがまったく理解されていないようなのだ。

それは、すでに日本が犯した失策と同じ轍を踏む行為だ。1980年代バブルが崩壊した後、日本は「構造改革」と称する供給サイドのアプローチを進めた。しかし、その結果「需要不足」がさらに進むという皮肉な結果を招いたのだ。

おそらく、中国も日本の「二の舞」となるだろう。

弱すぎる「消費喚起策」

バブル崩壊後の日本政府の取り組みは不十分だったが、それでも景気下支えのための刺激策を打ち続けた。政府の下支えがなければ、中国経済が不況から抜け出すことは困難だが、中国政府は需要を喚起する政策は見られない。

中国の長期金利(10年債利回り)は22年ぶりの低水準となっている。金利の低下は経済活動にとってプラスのはずだが、「金利を下げても経済が活発化しないのではないか」との指摘が出ている(3月1日付ブルームバーグ)。

バブル崩壊後の日本が経験した「流動性の罠」に中国も陥りつつあるようだ。

昨年の1人当たり名目国民総所得が約1万2600ドル(約190万円)となった中国は、かつてのような貧困国ではない。

消費主導型成長への転換が急務となっており、家計部門の消費拡大が喫緊の課題だ。政府は国民に対して消費の拡大を奨励しているが、前述の政府活動報告でそのための具体的な刺激策は述べられなかった。

経済対策で中心的な役割を果たしてきた地方政府は財政が「火の車」で身動きがとれないことから、「中央政府が主体となって経済対策を実施すべきだ」との声が出ているが、中央政府は慎重な姿勢を崩そうとしていない。

その原因として挙げられるのが、「習近平国家主席は、2008年に実施された4兆元規模の景気刺激策を苦々しく思っている」との見立てだ。

経済状況を見誤る習近平

習氏の景気刺激策に対する評価は、「中国の国民は苦労せずにカネを得ることばかりを考える『パラサイト(寄生虫)』になった。社会全体に浪費と汚職が蔓延し、巨額の債務だけが残った」という散々なものだ。

習氏の考え方は中国の伝統的な統治思考に基づいている可能性がある。

「中国政府は西洋由来の共産主義イデオロギーを正統な思想としているが、実際の統治は秦以降の歴代王朝の支配を支えた法家の考え(法と称する厳罰中心の支配)に基づいている」との指摘がある(3月1日付日本経済新聞)。

法家的統治に基づく政策では、国家や国有企業の優先順位が高い。「民から生活に必要な分を超える余剰財産を奪う」ことを良しとしており、この考えに従えば、個人消費に対して冷淡になるのは当然だ。

習近平政権下で「中国経済の復活」は難しい

中国でも少子高齢化が急速に進んでいる。本来、政府は少子化を防ぐ政策が求められるときだが、習氏は「中国は福祉主義の罠に陥ってはならない」との主張を繰り返している。習氏は法家の考え(民軽視)の忠実な信奉者であることの証左なのかもしれない。

この見方が正しいとすれば、中国が消費主導型の成長モデルに転換することは不可能だ。

一強体制が確立した現在、習氏を国のリーダーの座から引きずり下ろさない限り、中国経済の復活を期待することはできないのではないだろうか。

さらに連載記事『「EVはガソリン車よりも環境負荷が小さいとは言えない」…!中国に使い捨てられた「EV墓場」が次々と生まれる「深刻なワケ」』でも、中国のEVと経済事情について詳しく解説しているので参考にしてほしい。

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