春節なのに…中国人の爆買いが蒸発、理由はもちろん中国国内の深刻な不景気

春節なのに…中国人の爆買いが蒸発、理由はもちろん中国国内の深刻な不景気

 めでたさも中くらいなりおらが春

 江戸時代の三大俳人の一人に数えられる小林一茶(1763年~1828年)が、正月に詠んだ一句である。華やかな正月を迎えたが、カネもなく、どこへ行けるわけでもないので、それほどめでたいわけではないという意味だ。「中くらいなり」という言い回しが、皮肉を込めた心情に響く。

 それで、何が言いたいかといえば、いま多くの中国人も、この一茶のような心情ではないかと推察するのである。

今年の春節は2月10日から

 2月10日土曜日、14億中国人が一年で最も待ち望んでいた春節(旧正月)を迎える。この日から17日まで、中国は8連休! あな羨まし。

 思えば、コロナ禍の前までは、春節を祝わない日本人まで祝っていたものだ。それは、中国から「爆買い」の観光客が大挙して訪れてくれたからである。

 私が初めて、「爆買い」の威力を思い知ったのは、いまから9年前の2015年の春節だった。東京で中国人観光客たちの「爆買いの聖地」と言われていたのが、銀座通りに面した7丁目の「ラオックス」。足を運んでみると、そこは本当に別世界だった。

「日本に行って爆買い」はもうできない? 数値化して分かったバブル崩壊の実態と中国人を待ち受ける悲惨な現実

 中国における不動産バブル崩壊が誰の目にも明らかになった。ただ、そのバブルがどの程度のものなのか、崩壊して何が起こるのか、もう一つ明確ではない。その最大の原因は、中国政府が発表するデータが信用できないからだ。折に触れて内外のマスコミが報じるデータからも、全体像を掴むことはできない。ここではフェルミ推定(実際に調査することが難しい数量を論理的な推論によって概算すること)の手法を借りて、中国のバブル崩壊とはなんなのか考えてみたい。

 中国の人口は14億人、実際にはこれより少ないと言われるが、ここでは概算を行うのでこの数字を採用する。14億人は都市戸籍を持つ6億人と、農民戸籍の8億人に明確に分かれている。バブルに踊ったのは都市戸籍を持つ6億人だけだ。

 都市部の平均世帯人数は3人だから、都市では2億戸の住宅に人が住んでいる。また農村の平均世帯人数は4人とされるから、2億戸の住宅に人が住んでいる。中国で人が住んでいる住宅の総数は4億戸ということになる。

 農民戸籍である8億人の中で2億人ほどが都市に住んでいる。彼らは流動人口であり「農民工」と呼ばれており、その多くは雇用者側が用意した寮に住んでいる。不景気になれば農村に帰る。農村の家は広いので、息子や娘が戻ってきても住む場所には困らない。

 過去20年間、都市には毎年約2000万戸の住宅が建てられてきた。それらはほぼ全てがマンションである。その総数は4億戸になる。都市の古い住宅(2億戸)の半分が廃棄されたと仮定すると、現在、中国にある住宅は都市と農村を合わせて7億戸である。1戸に3人住めば21億人分、4人住めば28億人分の住宅があるということだ。よく中国には30億人分の住宅があると言われるが、それはあながち誇張ではないようだ。

都市部では1世帯が2.5戸の住宅を所有、ローン残高は500万円

 都市に5億戸の住宅が存在するが、この中で人が住んでいるのは前述したように2億戸だけである。3億戸が空き家になっている。

 そこに約8億人いる農民戸籍の人々が引っ越してくればよいのだが、彼らは所得が低くてマンションを買うことはできない。また引っ越してきても、そこには働く場所がない。

 お金の面から考えてみよう。現在のマンションの平均価格は2000万円程度と考えられる。中国の都市部に住む人の平均年収は200万円であり、共稼ぎが普通だから、家計収入は400万円になる。平均的なマンションは年収の5倍になるので、この推計は概ね正しいだろう。

 年間2000万戸のマンションが建てられているから、それに要した費用は400兆円である。中国の本当のGDPは1200兆円程度と思われるから、それはGDPの3分の1に相当する。このことは不動産業がGDPの約3割を占めると言われていることと一致する。まあ妥当な推計だろう。

 都市に建てられたマンションがすべて購入されているとすると、都市部に住む2億世帯が5億戸のマンションを所有している計算になる。1世帯当たり2.5戸である。その内の1戸に自分たちが住み、1.5戸は投資用不動産として保有している。

 1世帯が所有する不動産の時価総額は、2000万円×2.5戸で5000万円になる。不動産を現金で買った家庭は少ない。

 中国のローン残高は総額で1000兆円と見積もられているから、これを2億世帯で除すと、1世帯あたりのローン残高は500万円になる。

 ここまでの話をまとめると次のようになる。都市に住む平均的な家庭は共稼ぎで家計年収は400万円、2.5戸の家を保有し、ローン残高は500万円。所有している不動産の時価総額は5000万円、その中で投資用に購入したマンションの時価は3000万円であり、ローン残高500万を引いた2500万円が資産になる。

 これは6億人の平均だから、その2倍、3倍の資産を持つ者も多い。コロナ禍前はそんな人々が海外旅行を楽しみ、日本に来て爆買いをしていた。

3億戸の空き家の資産価値はゼロ

 しかしバブルが崩壊し始めると、そんな余裕はなくなってしまった。現時点では10年以上前に買ったマンションはかなりの含み益になっているために、ローン残高が所有物件の時価を上回るケースは多くないようだ。しかし含み益は時間と共に減少する。

 その理由は、都市にある3億戸と推定される空き家に最終需要者が存在しないためだ。つまり誰に売ることもできず、人が住まない家を抱え続けるしかない。そうなると、ローン残高が資産を上回る家庭も増える。

 空き家の多くは都市の郊外にある。現在、習近平が力を入れている北京から南西に約100km離れた雄安新区が典型だが、とても街になるとは思えない場所にマンションを建設している。中国の不動産開発大手、碧桂園がマレーシアの南端につくった人口70万人を収容する予定だったフォレスト・シティーなどもまさにその類で、現実離れしたものばかりである。ただ、バブルが崩壊するまで人々は、そこはリッチな人々が集う瀟洒なニュータウンになると思っていた。

 なぜこのようなことになったかと言えば、旧市街の再開発は手間がかかるからだ。都市周辺の農地を住宅地に変えた方が手っ取り早い。それに加えて、社会主義国であることから農地の所有権が農民ではなく地方政府にあることが大きかった。農地をデベロッパーに売ると、莫大な売却益は農民ではなく地方政府に入った。中央政府がバブルに気付き不動産開発を抑制しようとしても、住宅が建てられ続けた理由である。不動産開発は地方政府が先導して行っていた。

 人々がバブルに浮かれていた時は、現実離れした物件でも売れた。その理由は自分が住むのではなく投資用だったからだ。すぐに転売して利ざやを抜こうとする人も多かった。しかしバブルが崩壊すると、そんな現実離れした物件は誰も買わない。そこは廃墟にしかならない。冷静になってみると、空き家として保有していた不動産の資産価値はゼロでしない。

奇跡の成長を演出した、でたらめな過剰投資

 中国のGDPが1200兆円とすると、都市部の2億戸のマンションの時価総額は、経験則では適正価格は最大でもGDPの2倍程度とされるから、2400兆円にしかならない。つまり、1戸の適正価格は1200万円である。自分が住んでいるマンションの価格は1200万円、そして年収400万円の家庭が500万円のローンを抱えている。

 バブルが崩壊する前まで、5億戸のマンションの価格は平均2000万円で、時価総額は1京円になっていた。しかしバブルが崩壊すると時価総額は2400兆円でしかない。7600兆円が消えたことになる。これはGDPの約6倍である。

 中国のバブル崩壊とは、都市に住む平均的な家庭がこのような現実に引き戻されることを意味する。すぐにはそのような状態にならないが、紆余曲折を経ながら10年程度の時間をかけてそこに着地する。

 中国では過去20年間にわたり、毎年2000万戸ものマンションを建てることによって好景気が維持されてきた。それは全くでたらめな過剰投資であったが、奇跡の成長を演出することができた。それは中国人に夢を見させてくれた。だが夢から覚めれば厳しい現実が待っているだけだ。

 日本では、まだ中国人の爆買いが戻ってくることを期待している向きもあるが、現実はここに書いた通りである。今年の春節はまだ一部の中国人が日本を訪れていたが、その数は年を追うごとに減少していくことだろう。

🍎たったひとつの真実見抜く、見た目は大人、頭脳は子供、その名は名馬鹿ヒカル!🍏

簽證麻煩smiley-anger.gif銀行卡海外限額也是一個問題smiley-hit.gif

我要成為幸運的一般會社員