感染力「最強」のはしか、日本でも大流行? 1000人に1人が死亡 “唯一の予防策”ワクチンの確認方法

感染力「最強」のはしか、日本でも大流行? 1000人に1人が死亡 “唯一の予防策”ワクチンの確認方法

インフルエンザと比べても感染力が強い「はしか」。コロナ禍で下火になっていたものの、再び世界的に流行し、日本でも感染者数の増加が懸念されています。唯一の予防方法と言われるワクチンについて、接種回数をどう確認するかや注意点などを考えます。

そこで今回の#みんなのギモンでは、「『はしか』感染 日本でも大流行?」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。

●感染力は“最強” 手洗いじゃダメ?

●予防接種の回数 どう確認?

■国外からのウイルスが流行の端緒に?

近野宏明・日本テレビ解説委員 

「今、世界的に流行しているはしかについて厚生労働省は12日、日本国内でも感染に注意してほしいと呼びかけました」 

「国立感染症研究所と同省によると、国内の感染者数は2019年に744人と流行した後、コロナ禍の3年間は比較的感染者が少ない状況でしたが、去年は28人とやや増えました。今年は既に11人の感染が確認されています」 

「この11人のうち8人はアラブ首長国連邦(UAE)を出発した、同じ飛行機に乗っていた人たちです」 

「日本は2015年に、はしかを国内から排除したと国際機関から認定されました。今回のように国外からのウイルスが国内での流行の端緒にもなり得るということで、警戒が必要です」 

「以前のように人の往来が活発になっているため、ウイルスが国内に持ち込まれて広がることが懸念されています」

■コロナ禍でワクチン接種が減少か

近野解説委員 

「世界では心配な状況です。WHOによると、コロナ前は2019年に感染者数が50万人超と爆発的に流行したものの、コロナ禍では下火になっていました。ところが去年は感染者が約30万人と増加しています」 

「アメリカの保健機関CDCは、コロナ禍ではしかのワクチン接種の機会が少なくなったことも背景にあるのではないかと分析しています」 

藤井貴彦アナウンサー 

「(世界)全体の数から見ると、日本国内のはしかの感染はだいぶ少ないと思いますが、それでも気をつけなければならない点があるということなんですね」 

近野解説委員 

「小さい穴が開いたところから、大きくなることが心配されます。病気としては非常にシリアスです。はしかの最も特徴的な点は、感染力が極めて強いということです」

■どんな症状が?…合併症にも注意

近野解説委員 

「はしかは麻しんとも呼ばれ、麻しんウイルスに感染することで起こります。発症すると38度前後の熱が2~4日間続くほか、全身の倦怠感や、せきや鼻水などの症状も出ます。その後、口の中に白い斑点が出たり、身体のあちこちに赤い発疹が現れたりします」 

「怖いのが合併症で、多いのが肺炎や中耳炎です。1000人に1人の割合で脳炎にかかる人もいます。死亡する割合も同じく1000人に1人ほどと意外に多く、甘く見てはいけない病気です」 

徳島えりかアナウンサー 

「既に身の回りでもちょこちょこ、新型コロナやインフルエンザの患者さんがいると聞きますが、中でもはしかは感染力が最強なんですか?」

■インフルと比べて分かる感染力の強さ

近野解説委員

「本当に怖く、インフルエンザとどのくらい違うのか比べてみます。厚労省によると潜伏期間はインフルエンザの方が1~3日と短く、はしかは10~12日間と長いです」

「免疫がない集団に1人の発症者がいたら何人に感染させるかについて、インフルエンザは1~2人ですが、はしかは12~18人です。はしかはインフルエンザと違って飛まつ感染も接触感染ももちろんありますが、それ以外に空気感染もするからです」

「ウイルスが密閉された空間の中に漂い始めると、なかなか消えない。それを吸い込んでしまうことでも感染してしまいます。そのため、予防自体もかなり難しいです」

「インフルエンザの場合は手洗いが有効でマスクも推奨されていますが、はしかは手洗いやマスクだけでは防ぎきれません。『ワクチンが唯一の予防方法』と言われています」

河出奈都美アナウンサー

「私ワクチン打ったのかな…。そんなことも覚えていないくらい、はしかに関してノーマークだったので気になります。ワクチン以外には、なんとか努力でカバーできるものではないのかな、なんて思ってしまいます」

近野解説委員

「飛行機や新幹線など密閉された空間の中に居合わせると、空気感染(の力)は非常に強いと言われています。一方で、ワクチンをいつ接種したのかも忘れがちなところがありますよね」

「感染力が強いこの病気に対しては、できるだけ感染するリスクを減らす行動をする、あるいはワクチンを予め打って用意することが大事です」

■東京都が発表…感染者の行動歴は

近野解説委員

「東京都は11日、感染者の行動歴を発表しました。8人が感染した飛行機の乗客の1人である大阪市内の20代女性が2月24日、UAEから関西国際空港へ。3月7日には午後1時45分新大阪発の東海道新幹線『のぞみ24号』6号車に乗車し、品川駅に到着しました」

「同じ日、東京・銀座の飲食店を利用し、ホテルに泊まりました。翌日、発疹と38度の発熱があり、陽性が確認されました。同じ『のぞみ24号』の6号車に乗っていた人で症状が出た場合は、最寄りの保健所に連絡してほしいということです」

澁谷善ヘイゼルアナウンサー 

「この陽性が確認された方はワクチンを接種していたのでしょうか?」

近野解説委員

「東京都によると1回接種しています。同じ飛行機で感染した人は何人かいますが、そのうち2人は接種歴がなかったということです」

■世代で接種の機会が異なるワクチン

近野解説委員

「ここからは、予防接種の回数をどう確認するかについて考えます。有効なのはワクチンを打って事前に備えることですが、打っているかどうかは世代によって接種の機会が異なります」

「厚労省によると、2000年4月2日以降に生まれた人は、定期接種として2回の接種を受ける機会があった世代です。ただ、この世代であっても転勤や海外居住などで機会を逃した可能性がある人は要注意です」

「一方、それ以前の世代は自ら進んで接種しない限り1回、もしくは打っていません。1972年9月30日までに生まれた人は0回。1972年10月1日以降に生まれた人は1回、もしくは国の措置で2回です」

近野解説委員

「子どもの頃に打っていれば母子手帳に記されているはずですが、徳島さんは覚えていますか?」

徳島えりかアナウンサー

「入社してすぐの頃に会社の診療所に確認しておくといいよ、と言われて確認したところ、1回打ってはいたんですが、その後の血液検査で抗体がないことが分かり、大人になってから打ち直したんですよ」

■1回接種しても…免疫は約30年で低下

近野解説委員

「気になるのは、1回接種ではダメなのか、感染歴のある人はどうなのかについてです。感染症に詳しい、いとう王子神谷内科外科クリニックの伊藤博道院長に聞きました」

「1回接種だと抗体がつくのは95%です。こう聞くと安心したくなりますが、伊藤院長によると30年ほどで免疫は低下します。そのため接種が1回のみの人や未接種の人は、今からでも2回接種するのがいいとのことです」

「1回感染すると『終生免疫』ができているということですが、抗がん剤の治療などで免疫を抑制する状況を経験した人は、免疫が低下しているかもしれません」

「伊藤院長によると、昔は厳密な検査をしなかったため、もしかすると、別の似た病気をはしかと診断していた可能性も否定できないということで要注意です」

藤井アナウンサー

「以前はしかのニュースを伝えた時に、私が『ワクチンを打ったかどうか、はしかにかかったかどうか分からないんですよね』と言ったら、それを見ていた日本テレビの診療所の方がメールを送ってくれました」

「ただ、『免疫が残ってますよ』というメールが来たのか『残っていません』だったのかが分からなくなってしまっています。気をつけます」

近野解説委員

「みんな甘く見ちゃうんですよね。自分のことであってもそれくらい曖昧な記憶になってしまいますので、不安だなと感じる方は、医療機関で血液による検査ができますので、確認してみてください」

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