「電気料金」爆上がりのいまEVに乗って得ある? ガソリン車とEVの「給油 vs 充電」料金を比較計算してみた!

「電気料金」爆上がりのいまEVに乗って得ある? ガソリン車とEVの「給油 vs 充電」料金を比較計算してみた!

電気代の高騰でもEVのメリットはなくらないのだろうか?

 原油価格の上昇、為替の影響などから電気料金が高騰している。とくに自由化によって生まれた新電力と呼ばれる小売電気事業者や特定規模電気事業者の提供するサービスにおいては電気料金の変動幅が大きいことから急激な値上りに悲鳴を上げている家庭も少なくないという。

 また、急速充電インフラの利用を前提としたEV充電サービスについても電気代高騰やインフレ対応として会費や利用料を値上げしているケースは少なくない。そもそも一般電気事業者(東京電力や関西電力など)においても、原発再稼働をしていない事業者は大幅な値上げを実施している。たとえば、東京電力の提供するオール電化向けのメニューでは、2023年6月までの深夜料金は1kWhあたり18.37円だったが、7月以降は28.06円と5割以上も上昇しているほどだ。

 これまで電気料金のリーズナブルさによってEVの運用コストは抑えられているといわれていたが、これほど電気料金が上がってしまうと、その旨味はなくなり、エンジン車とランニングコストは大差ない状況になっているのでは? と思ってしまう。

 しかし、結論をいえば少なくとも基礎充電として自宅などでの普通充電をメインにしている限り、エンジン車に対するEVの経済性は車両価格差を考慮しても圧倒的といえる。

 パワートレイン以外の差を最小とすべく、三菱の軽自動車eKクロスとeKクロスEVで比較してみよう。

 この2台は基本的なボディは共通で、パワートレインの違いだけといえる。そこで車両価格とランニングコストの合計で計算してみれば、エンジン車とEVの違いが明確になることだろう。

 eKクロスEVのモータースペックは最高出力47kW、最大トルク195Nmとなっているので、eKクロスのほうも最高出力47kWのターボエンジンを積む「T Premium」グレード、メーカー希望小売価格183万1500円を比較対象としてみよう。

 装備を合わせるためeKクロスEVも上級グレード「P」で比較するのがフェアだろう。こちらの車両価格は308万1100円で、そこに先進運転支援システム「マイパイロット」のオプションを追加すると、車両価格は324万6100円となる。

 これだけを見ると、圧倒的にEVのほうが高くみえるが、ご存じのとおりEVには国や地方自治体が手厚い補助金を準備している。

 政府から支給されるCEV補助金は、軽EVの場合は55万円。地方自治体としてはもっとも補助金が充実しているのは東京都で購入すると仮定した場合、再エネ電力を導入しているという前提で計算すると、補助金の合計は70万円となり、合わせて125万円となる。

 つまり、実質的な車両価格でいうと、ターボエンジンのeKクロスが183万1500円なのに対して、eKクロスEVは199万6100円となり、その差は16万4600円となる。

ランニングコストに優れるEVだが急速充電の使い過ぎには要注意

 では、ランニングコストとして必要な燃料代と電気代はどのようになるだろうか。話をシンプルにすべく、それぞれカタログ掲載の燃費・電費で計算してみよう。

 eKクロスのターボエンジン車のWLTCモード燃費は21.5km/L。本記事執筆時点での全国ガソリン平均価格はレギュラーで174円/Lとなっている。この2つの数字から100kmを走行するのに必要なコストを計算すると、約790円となる。

 一方、EVのランニングコストというのは非常に計算が難しい。もっとも電気代を抑えることが期待できるのは深夜料金が設定されているメニューで契約することだが、ここでは一般電気事業者の標準的な契約といえる従量電灯を基準に試算してみよう。

 東京電力の場合、従量電灯での単価は1kWhあたり30.00円・36.60円・40.69円の3段階となっている。そしてeKクロスEVのカタログスペック(124Wh/km)からすると100kmを走行するのに消費する電力は12.4kWhとなる。中間料金の36.60円を想定すると、ランニングコストは約447円となり、ガソリンターボ比で約56%だ。

 東京都在住でeKクロスEVを購入した場合のガソリンターボ車との差額は16万4600円だから、おおよそ5万kmを境にEVのほうがローコストな乗りものとなるのだ。

 ちなみに、前述したように原発再稼働の有無によって従量電灯での料金は大きく異なる。たとえば関西電力の従量電灯は20.31円・25.71円・28.70円の3段階だ。こちらの中間料金を基準に計算すると、eKクロスEVが100kmを走行するのに必要な電気料金は約319円となる。ガソリンターボと比べると半額以下のランニングコストとなる。

 なお、急速充電を利用した試算は非常に難しい。通常の電気料金はkWh(電力量)あたりとなるが、急速充電インフラについては利用時間ベースでの課金であり、どのくらい充電できるのかケースバイケースで異なるからだ。また会費を払っている会員とビジターでは料金も異なるのもランニングコストの算出を難しくしている。

 たとえば、急速充電サービスの最大手といえるeモビリティパワーの場合、50kW以下の急速充電器のビジター利用料は1分あたり55円となっている。

 eKクロスEVを50kW急速充電器につないだときに10分で7kWh程度の充電が可能だとすると、10分間(=550円)の充電で55kmほど走行できることになる。急速充電だけを利用すると100kmを走るのに必要なコストは1000円となり、ガソリンターボのほうがランニングコストを抑えられるという計算結果にもなる。

 実際には、自宅での普通充電(基礎充電)と移動中の急速充電(経路充電)をミックスするだろうから、EVのランニングコストを算出することは難しい。傾向として、基礎充電メインで運用すれば同等のエンジン車よりコストは抑えられるだろうが、急速充電を多用すると想像以上にランニングコストがかかる傾向にあるといえる。

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