【気象予報士解説】東京で異例の「雪と雷」 何が起きた? 冬の雷は威力100倍!?

【気象予報士解説】東京で異例の「雪と雷」 何が起きた? 冬の雷は威力100倍!?

 5日、東京での「雪と雷」という珍しい現象、どうして起こったのでしょうか?気象予報士の今村涼子さんに解説してもらいます。

■雪と雷…雪雲が夏の積乱雲なみに発達

 5日のレーダーで振り返っていきたいと思います。雪や雨のレーダーで、雪がピークになった5日午後9時ごろからですが、×印(落雷)が多数あります。午後10時前後にかけて関東南部を中心に落雷が多く発生したということが分かるかと思います。紫色の雪エリアと×印が同時に表示されることは、なかなかないことで珍しい現象といえます。

 なぜ5日はこれだけ雷が発生したかというと、雪雲が夏の積乱雲なみに発達したためです。では、なぜ積乱雲なみに発達したかというと、南岸低気圧のピークが関東沖に最接近した時に重なったためです。

 そこでこんなデータがあります。3Dで風の流れを表したもので見ると、関東沖の低気圧に向かって風が集まり、それが強い上昇気流になっていることを表しています。上昇気流が強いほど雲は発達します。5日の雪雲は雲頂高度1万メートル以上と、夏の積乱雲なみに発達したということになります。

 もう一つは去年から続いているのですが、海水温が高いことも水蒸気量が多くなったので、雪雲発達のエネルギーになったということが言えます。

■世界的にも珍しい…北陸は“冬”が雷シーズン

 雪の雷、関東では、今回初めて聞いた人がほとんどだったと思います。ただ日本で、雪の時の雷が当たり前に起こっている所があります。

 こちらは、東京と金沢の雷日数を月別にしたものです。金沢と東京で比べると、よく違いが分かるかと思います。東京は夏の夕立で雷が鳴るイメージですが、金沢は雷日数がそもそも多い上に冬が圧倒的に多いです。

 関東とは対照的に金沢など北陸は雷シーズンが冬、今の時期になります。北陸など日本海側は寒気が入ってきた時に雷雲が発達するので、雷とともに雪やあられが降ります。それで雷のことを「雪おこし」と言ったりすることもあります。

■「冬の雷」夏に比べて威力100倍の場合も

 この日本海側の冬の雷、実は、夏の雷よりも怖い面があります。夏の雷と冬の雷で特徴を比較してみます。夏の雷雲と冬の雷雲を表すと、こんなに違いがあります。冬の雷雲の方が夏に比べて小さいですし、背の高さも低いです。このため、落雷の回数も冬の方が夏より少なくなります。

 ただ、この「背が低い」「落雷回数が少ない」ことが実は問題となります。

 まず「背が低い」と雲の底も低いので、それだけ地面に近いわけです。そうすると落雷した時に影響が大きくなります。

 「落雷の回数が少ない」と何が起きるかというと、一度雷が発生した時に、その1回にエネルギーが集中してしまいます。ですので、冬の雷というのは「一発雷(いっぱつらい)」とも呼ばれたりして、夏の雷の100倍以上にもエネルギーが達することもあります。

 過去にも飛行機事故が起きたり、火災が発生したりしています。ですから冬の雷は侮れない、そういう一面があるわけです。

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