数字は見える?日本人男性20人に1人が「色覚異常」…「牛肉が焼けていく色調変化がわかりにくい」「青が白に見える」 なぜ色が他人と違って見えるのか
他の人とは色が異なって見えてしまう「色覚異常」。日本人男性の20人に1人の割合で存在すると言われていて、色が識別しにくいことで生活や仕事選びにも影響する場合もあります。実際に、「青が白に見える」という男性に話を聞きました。
カラフルで大小様々な丸が配置されている図は、色覚の検査に用いられるもので、色覚異常だと、数字が違う模様に見えたり色が違って見えたりします。
「色覚異常」は先天性の遺伝による場合が多く、日本人の場合、男性の20人に1人、女性の500人に1人という割合でいると言われています。
ふなこし眼科ペインクリニック 石倉涼子 副院長
「代表例としては赤と緑とか、オレンジと黄緑というような組み合わせが非常に判別しにくいと言われています」
色が識別しにくいことで、日常生活に支障をきたす場合も。
ふなこし眼科ペインクリニック 石倉涼子 副院長
「茶色がかって赤が見えたりしますので、牛肉が焼けていく色調変化とか痛んでいく色調変化が分かりにくいなどということが例として挙げられます」
目の中で何が起きているでしょうか。
ふなこし眼科ペインクリニック 石倉涼子 副院長
「色を感知する目の細胞の働きが不十分で、識別しにくい色が生じるというものです」
光の色は赤、緑、青の3つの色の組み合わせで作られていて、目の網膜には、それぞれの光の色を敏感に感知する細胞があります。
そのうちのいずれかが欠けていたり、機能が不十分だったりした場合に症状が現れるとのこと。
ふなこし眼科ペインクリニック 石倉涼子 副院長
「赤を感知する視細胞の感度が低いものを1型、緑を感知する視細胞の感度が低いものを2型という風にいっています。検査をして初めてわかるという、非常に軽症の方が多いんですけど、中には、社会生活を送るうえで困難を感じていらっしゃる方もいると思います」
このほかにも、稀に青を感知する視細胞の感度が低い3型も存在し、色の見え方には個人差も。
実際に、色覚異常と診断された男性に話を聞くことができました。
色覚異常と診断された男性
「信号ははっきりわかるんですけど、自分は赤、黄色、青じゃなくて、赤、黄色、白に見えます」
青が白に見える。
中学生のころ、学校で行った色覚検査で病院への受診を勧められ、色覚異常が判明したといいます。
アイドルのライブに行ったときにも…
色覚異常と診断された男性
「乃木坂のライブとかでペンライトの色を変えるときに、青とか緑系はやっぱわかんなくて、ずっとカチカチしていて、友達に教えてもらって直したりとか」
自分の見えている色に慣れているため、日常生活に大きな支障はないといいますが…
色覚異常と診断された男性
「高校の時の職場体験で、海上保安庁に行ったんですけど、前日に雨かなんかで海がすごい濁ってる部分があるって言われて、『あそこら辺の色の境目、違うよね』って言われて(識別できなかったです)」
色の小さな違いが認識できないことで、進路選びに影響することもあるといいます。
ふなこし眼科ペインクリニック 石倉涼子 副院長
「パイロットとか航空管制官、電車の運転士などは職業の性質上、色覚異常のある方は適性がないというふうに判断されていますので、進路を選ぶ際や就職する際にちょっと注意が必要になります」
周りの人には理解してもらいにくい色の見え方の違い。
鳥取県では、ある取り組みが始まりました。
福光莉子 記者
「鳥取県が貸し出しを行っているこちらのメガネ。かけてみると、色の見え方が変化するようになっているんです」
色覚異常のある人が見ている世界を体験できるメガネ。
色覚の差によって得られる情報に差が生まれないよう配慮する「カラーユニバーサルデザイン」の考え方を広めようという取り組みです。
まだ、治療法は存在しないという色覚異常。本人の努力だけではなく、社会全体として色覚異常の人に対するバリアフリー化も求められています。