トヨタ会長、グループ不正陳謝 「責任者」として変革主導、ダイハツ工業や豊田自動織機などグループで認証不正

トヨタ会長、グループ不正陳謝 「責任者」として変革主導

 トヨタ自動車の豊田章男会長は30日、名古屋市内で今後のトヨタグループのビジョン発表のため、記者会見した。

 豊田氏は席上、ダイハツ工業や豊田自動織機などグループで認証不正が相次いでいることについて、「ご迷惑、ご心配をかけていることを深くおわび申し上げる」と頭を下げて陳謝した。その上で、「私自身が責任者としてグループの変革をリードする」と強調した。

 豊田氏は認証試験を巡る不正について「絶対にやってはいけないことをやってしまった」との認識を示した。一方、グループ内でのさらなる不正事案の有無を問う質問については「私の知る限りない」と断言。ただ、自らが社長時代にダイハツなどグループの不正を見抜けなかった責任に関しては「東日本大震災など危機の連続でトヨタを立ち上がらせるだけで精いっぱいだった」と弁明した。

 豊田氏は同日、グループ17社で共有するビジョン「次の道を発明しよう」を発表。ビジョンは2月14日に発表する予定だったが、不正が相次いで判明したことから、前倒ししたという。

「ランクル」エンジンでも違反 トヨタ、10車種の出荷停止―豊田織機が認証試験で不正

 豊田自動織機は29日、フォークリフト用エンジン3機種の認証試験で不正を行っていた問題で、外部有識者による特別調査委員会の報告書を発表した。グループを率いるトヨタ自動車のスポーツ用多目的車(SUV)「ランドクルーザー」、ワゴン車「ハイエース」など10車種の自動車用エンジン3機種の出力試験で新たに不正が判明。トヨタは同日、10車種の出荷を一時停止すると発表した。

 エンジン出力の基準は満たしており、該当車両の使用を直ちに停止する必要はないと説明している。トヨタの佐藤恒治社長は29日夜、東京都内で「お客さまに多大なご心配と不安を与え、心よりおわびしたい」と記者団に述べた。出荷停止対象は国内外で月間約3万6000台という。

 国土交通省は不正を受け、30日に豊田自動織機の立ち入り検査を行い、事実関係を確認する。

 トヨタ向けの自動車用エンジンでは、試験の際に燃料噴射量を調整し、出力などのデータを水増ししていた。産業車両用エンジンでは、フォークリフト用6機種、建設機械用1機種でも違反行為が追加で判明。排ガス試験の際に実測値とは異なるデータを用いたり、量産品とは異なる制御ソフトを使用したりしていた。

 豊田自動織機の伊藤浩一社長は29日、都内で記者会見し「多大な迷惑をおかけし、誠に申し訳ない」と陳謝し、再発防止に取り組む意向を強調した。試験で違反行為があったエンジンや搭載フォークリフトなどの出荷は見合わせる。基準に適合しないエンジンを搭載した建設機械については、建機メーカーと連携してリコール(回収・無償修理)を検討する。

財界トップも相次ぎ懸念 トヨタ不正「大変残念」

 ダイハツ工業や豊田自動織機などトヨタ自動車グループで認証試験を巡る不正が続いていることについて、財界トップからも懸念の声が相次いだ。

 経済同友会の新浪剛史代表幹事は30日の記者会見で、「世界ナンバーワンの企業のグループ群の、製造工程においてそういうことがあったのは非常にショッキング。大変残念だ」と述べた。

 新浪氏は、不正の背景について「安全面とコストのバランスは非常に難しい」と指摘。その上で「メーカーの社長として、他山の石にしないといけない」と語った。

 経団連の十倉雅和会長も29日の会見で、「日本企業の信頼が揺らぐような不祥事が起こっていることは誠に残念だ」と指摘。さらに「コーポレートガバナンスは形式で終わってはいけない。実効性を担保する内部統制をやっていただきたい」と述べ、苦言を呈した。

国交省 豊田自動織機の工場に立ち入り検査 エンジン不正問題で

「豊田自動織機」が国の排出ガスの性能試験で不正を行っていた問題で、新たに自動車用のエンジンなどでも不正が確認されたことを受け、国土交通省は30日午前、愛知県にある工場で立ち入り検査を始めました。

 

「豊田自動織機」ではフォークリフトや建設機械用のエンジンの排出ガスの性能試験で不正を行っていたことが明らかになっていて29日、新たに、現在生産する別の4種類のエンジンでも不正が確認されたと発表しました。

 

新たに確認された不正は

▽フォークリフト用のエンジン1種類の排出ガスの性能試験と

▽自動車用のエンジン3種類の出力試験に関するもので

国土交通省は30日午前「豊田自動織機」の愛知県碧南市の工場に、職員6人を派遣し、立ち入り検査を始めました。

 

この工場にはフォークリフトや自動車などのエンジンの開発を手がける「エンジン事業部」があり、国土交通省は社員への聞き取りなどを行って不正の実態を調べることにしています。

立ち入り検査を受けて豊田自動織機の広報担当の高木博康 執行職は「こうした不正を起こさないよう検査を受けたいと思います。まずはしっかり報告し、検査での確認作業に対応していきたい」と話していました。

林官房長官「不正行為は遺憾 厳正に対処」

林官房長官は閣議のあとの記者会見で「豊田自動織機には、まずはユーザーなどへの丁寧な説明に努めてもらいたい。型式指定申請での不正は自動車などのユーザーとわが国の自動車産業の信頼を損ない、自動車認証制度の根幹を揺るがす行為で、不正行為が明らかになったことは遺憾だ」と述べました。

 

そのうえで「立ち入り検査などで国土交通省が企業のガバナンスに関する問題がないかという視点も含めて広く調査を行い、事実確認などを踏まえ厳正に対処していく」と述べました。

斉藤国交相「ガバナンスの問題含め広く調査」

斉藤国土交通大臣は閣議のあとの会見で「今回の不正行為は、産業機械や自動車のユーザーの信頼を損ない、かつ自動車認証制度の根幹を揺るがす行為であり極めて遺憾だ。会社への立ち入り検査の結果を踏まえ、厳正に対処してまいりたい」と述べました。

 

そのうえで斉藤大臣は、トヨタ自動車のグループの企業で不正が相次いでいることを問われたのに対し、「日野自動車やダイハツ工業の不正では、いずれも企業のガバナンスの問題が大きく、今回の立ち入り検査でもガバナンスに関する問題がないかという視点も含め広く調査を行う。グループ全体で共通する問題があるかは、まずは個々の企業のガバナンスや不正行為の事実確認を行い、その調査結果を踏まえ必要に応じて検討すべき論点だ」と述べました。

齋藤経産相「会社は経営問題そのものと認識し厳正な対応を」

齋藤経済産業大臣は閣議のあとの会見で「自動車認証制度の根幹を揺るがすものであると同時に、ユーザーの信頼を損なうものであり極めて遺憾だ。会社には経営問題そのものだと認識し、速やかに厳正な対応をしてもらいたい」と述べました。

 

さらに、齋藤大臣は豊田自動織機に対し、顧客や取引先への適切な対応や原因究明、それに再発防止策の実施を指示したとしたうえで、経済産業省としても取引先への影響について実態把握を進める考えを示しました。

トヨタ 10車種出荷停止 豊田自動織機エンジンで認証取得の不正

トヨタ自動車は、グループの豊田自動織機が生産するディーゼルエンジンで認証取得の不正があったとして、このエンジンの供給を受ける国内向けの6車種を含む合わせて10車種の出荷を停止することを決めました。

 

発表によりますと、トヨタ自動車のグループの豊田自動織機が生産する自動車用のディーゼルエンジン3機種で、認証手続きに必要な出力試験の違反行為が見つかったということです。

これを受けてトヨタ自動車は、このエンジンの供給を受ける国内向けの6車種を含む合わせて10車種の自動車の出荷を停止することを決めました。

 

対象はランドクルーザー300や、ハイエース、ハイラックスなどが含まれています。

 

国内向けの6車種のうち4車種は国内の工場で生産していて、トヨタ自動車は、4つの工場の6つの生産ラインで29日夕方から2月1日まで生産を停止することを決めました。

 

4つの工場は、「トヨタ車体」の

▽愛知県刈谷市にある富士松工場、

▽三重県いなべ市にあるいなべ工場、

▽愛知県豊田市にある吉原工場、

「岐阜車体工業」の

▽岐阜県各務原市にある工場です。

 

また、「日野自動車」も、東京 羽村市にある羽村工場の生産ラインで同じ期間、停止するとしています。

 

トヨタ自動車のグループでは、子会社のダイハツ工業でも国の認証取得の不正問題で国内の自動車工場の稼働停止が続き、不正問題による車の出荷の停止が相次ぐ事態となっています。

 

トヨタは、「ダイハツに続き、豊田自動織機において不正行為が繰り返されてきたことは認証を行うメーカーとしての根本を揺るがす事態であると大変重く受け止めている」とコメントしています。

トヨタ 佐藤社長「再発防止に全力で取り組む」

トヨタ自動車の佐藤恒治社長は、都内で記者団に対し「トヨタの車をご愛顧いただいている皆様、トヨタブランドをご愛顧いただいているお客様に対しまして、多大なご迷惑、ご不安を与えてしまっておりますことを心よりおわび申し上げたいと思います。大変申し訳ございません」と述べ、陳謝しました。

 

そのうえで「不正が起きたことを大変重く受け止め、調査委員会の報告書を拝読し、真因の理解を深めて再発防止に全力で取り組んでまいりたい」と述べました。

またディーゼルエンジンの開発を委託しているトヨタ自動車と豊田自動織機の関係について「技術をスムーズに移転していくためのコミュニケーションや業務のやり取りがあるが、過剰に行われすぎると、自立的に理解して考え、行動することを阻害する要因にもなるので、丁寧なコミュニケーションが必要だ」と述べました。

 

また、グループ内で不正問題が相次いでいることについて「共通するのは、組織的な手当てによるけん制の力が効かずに不正に走ってしまった背景があることで、組織上の課題に手が打てていなかった。技術の高度化が非常に早く、業務量が高まっている中で、負荷が高まるとバランスを崩してしまうことがある。立ち止まってしっかり反省し、問題に向き合っていかなければならない」と述べました。

豊田自動織機 伊藤社長「重大に受け止め深く反省」

豊田自動織機の伊藤浩一社長は会見の冒頭で「基本として順守すべき認証制度の重みに鑑み、この内容を極めて重大に受け止め、深く反省いたしております。お客様、販売店、仕入れ先、ならびに監督官庁をはじめ、多くの関係者の皆様に多大なご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございませんでした」と陳謝しました。

 

また、エンジン開発を委託されたトヨタ自動車との関係について「トヨタ自動車とのコミュニケーションが不足しており、試験のプロセスで守るべき手順などのすり合わせが十分に行われていなかった」と述べました。

 

そのうえで「今後、トヨタにいろいろ教えていただき協力してもらって、今までのような不正が起こらないようにしたい」と述べました。

特別調査委 井上委員長「コンプライアンス意識の欠如」

「豊田自動織機」はフォークリフトや建設機械用のエンジンの排出ガス性能の試験でデータの不正が明らかになり、外部の有識者でつくる特別調査委員会を設置して調査を進めてきました。

 

その結果、新たにトヨタ自動車から開発を受託している自動車用エンジン3種類でも、出力試験で燃料の噴射量を調整し、見栄えのよいデータにするなどの不正が見つかったとしています。また、すでに公表したものとは別のフォークリフトや建設機械用のエンジン7種類でも排ガス試験のデータの不正があったということです。

 

こうした不正を招いた原因について、特別調査委員会の報告書ではコンプライアンス意識の欠如や管理・監督意識の欠如などがあったと指摘しています。

 

特別調査委員会の井上宏委員長は、記者会見で「不正行為は長期間にわたり、多くのエンジンでさまざま認められた」と指摘しました。

 

そのうえで「開発スケジュールのプレッシャーのもとで不正行為に走った実際の担当者、あるいは、これを承認した管理職のコンプライアンス意識の欠如を指摘しないわけにはいかない」と述べました。

 

また井上委員長は、「エンジン事業部は長期間にわたってトヨタからの受託が中心となっていた。例えば法律で規制が変わったとしても主体的に変更するというよりは、トヨタからのスペックの変更を受けて対応していて、対外的なリスクをわがこととしてさばいていく経験が乏しかった」と指摘しました。

経団連 十倉会長「信頼揺らぐような不祥事 誠に残念」

経団連の十倉会長は記者会見で「ものづくりだけでなくサービス業も含めて日本企業の信用や信頼に関わる問題だ。日本企業は品質や丁寧さ、納期や法律を守るなど、そういうところも評価されてきたが、その信頼が揺らぐような不祥事が起こっていることは誠に残念だと思う」と述べました。

 

そのうえで十倉会長は、「コーポレートガバナンスを形式で終わらせず、実効性を担保する内部統制をしっかり行ってこういうことがないようにしてもらいたい」と述べ、企業統治を徹底し、再発防止に努めるべきだという考えを示しました。

 

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