港区女子の投稿で波紋「高級すし店」どんな場所か 身だしなみや注文の仕方など気を付けたい点

港区女子の投稿で波紋「高級すし店」どんな場所か 身だしなみや注文の仕方など気を付けたい点

 ここ数日、東京・南麻布にある客単価5万円のすし店で起きた騒動が、X(旧Twitter)上で大きな話題となっている。

 Xの投稿によると、すし店を訪れたある男女客の前に、大将がほかの客から差し入れられた白ワインを置いたことに端を発した。女性客が「二日酔いで気分が悪いので、目の前に置かないでくれ」と伝えたところ「お客様からもらったものだ」と大将が言い返したことで、言い争いが始まったようだ。

■X上で多くの関心が寄せられる

 女性客が「こんなおすし屋さん初めて」と口にして帰ろうとしたところ、怒り心頭に発した大将が身を乗り出そうとし、弟子に羽交い締めにされたそうだ。この様子を男性客が撮影し、退店後に女性客が写真と騒動の様子をXに投稿したところ、2.8億回ものインプレッション(表示回数)があり、多くの関心が寄せられた。

 女性客は「すし店の対応が悪い」と主張しているが、同じタイミングでお店にいたという他の客からは、男女客は注意も聞かず、勝手に写真や動画を撮影し続け、ほかの客にも迷惑をかけていたとの投稿もあった。

 両者に言い分があり、結局のところ事の真相は定かではない。ただこの投稿を通して、高級すし店に行く際の作法について改めて考えるきっかけになった人も多いのではないだろうか。そこで今回は高級すし店を訪れた際のマナーについて解説したい。

 都内の高級すし店では、コースが3万円以上という店も数多くある。したがって、あまり高くない日本酒を飲んでいたとしても、合計で4万円を超えるのは一般的だ。

 高級すし店でもマナーはそこまで格式張っていない。服装はスマートカジュアルであれば十分だ。ただしすしは生の魚を扱うため、香水は控えたほうがいいだろう。タバコももちろん厳禁だ。ちなみに日本料理やフランス料理、もしくは、そこまでの高級店でなかったとしても、通常の飲食店(風営法の対象ではない飲食店)であれば、香水やタバコは敬遠される。

 高級すし店はカウンターが中心で、6席から10席程度。個室があれば、もう4席から6席くらい増える。

 銘木の一枚板で作られたカウンターであれば高価であり、木材なので傷もつきやすい。腕時計やアクセサリーを外したり、スマホの置き場所には気をつけたほうがよい。ちなみにカウンターの奥にある一段高くなったところは、 “つけ台”と呼ばれる握ったすしが置かれる台だ。ここには客が勝手に物を置いてはいけない。

 高級すし店では、自由にネタを指定できる“お好み”は行っていない。基本的には完全な“おまかせ”コースのみ。酒肴になるような“つまみ”と、“握り”から構成される。

 つまみを出してから握りが提供されることがほとんどだが、交互に提供されたり、途中でつまみが提供されたりすることも少なくない。つまみと握りの割合も、すし店によってだいぶ異なるのだ。食べ終えた後には、まだ何か食べるかを聞かれ、食べたいと答えると用意できるネタが挙げられるので、その中からチョイスする。

■お酒の値段が書かれていないことも

 お酒はメニューが用意されておらず、口頭でのやりとりになることもある。用意されていたとしても、「いくらからだけ」と表記されており、明確な値段が記されていないこともある。

 追加オーダーやお酒がいくらかなのか、現在どれくらいの金額になっているかは明示されていないので、知りたければ聞くしかないが、筆者はそのようなシーンを見かけたことはない。高級すし店に通い慣れた客は、暗黙の了解で、全体で大体いくらぐらいだと想定して食事しているのだ。

 すしは箸で食べても、手で食べてもいい。醤油をつける際にはネタにつけるが、高級すし店では、すでに醤油が塗られているなど、味が付いていることがほとんどだ。そのため、カウンターに醤油差しは置かれていない。

 すしは温度が大切なので、握られたらできるだけすぐに食べたほうがよく、一口で食べるのがスマートだ。手で食べて汚れた場合には、最初に提供されるハンドタオル(おしぼり)で拭けばよいが、最近では、握りに入ってからガーゼのような指拭きが提供されるので、これで汚れを拭う。

 ドリンクは何もオーダーせずに、お茶だけを飲む客もいるが、できれば何かを合わせてみるのがお勧めだ。お酒のチョイスは堅苦しく考えなくていい。日本酒が最適だが、ビールや焼酎、レモンサワーもよく飲まれる。

 ワインの品揃えも豊富になってきているので、シャンパーニュでも、白でも赤でも、好きなものをスタッフに相談すればいい。高級すし店であれば、ソムリエやきき酒師がいることが多く、そうでなくともお酒に詳しいスタッフがいるはずだ。

■撮影は店によってポリシーが異なる

 写真や動画の撮影は、店によってポリシーがまったく異なるので、最初に聞いたほうがいい。撮影されたくないというお店から、お酒のボトルだけならいい、自分の料理だけなら可、さらには、どんどん撮影して投稿してもらいたいなど、実に幅広い。

 アレルギーや苦手なもの、宗教や信条的に食べられないものがあれば、事前に伝えておく必要がある。予約時に連絡しておくのがベストだが、遅くても食事の始まり時には伝えておかなければならない。提供されるときに言われても、すでに用意しているので代替ができずに、すし店は対応に苦慮する。最近では、食べられないものが1品であれば代替品に差し替えてくれるが、2品以上となれば対応できず、来店を拒否する店も多くなっている。

 農林水産省によれば、2023年の海外における日本食レストランは、2021年の約15.9万店から約2割増の約18.7万店に増加。2006年の約2.4万店と比べれば、17年で約8倍に伸張している。

 日本食レストランには、当然のことながらすし店も多く含まれている。海外ではおまかせコースが13万円であったり、すし職人の年収が最低1000万円であったりと、すし店の高級化は加速している。高級すし店を訪れる際は、客側もマナーを守りながら、大将が握るすしを美味しく味わえるとよいだろう。

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