NHK、前会長の異例の意見書に反論 稲葉・現会長も会見で「残念」

NHK、前会長の異例の意見書に反論 稲葉・現会長も会見で「残念」

 NHKの2024~26年度の次期中期経営計画案に対する意見募集(パブリックコメント)に、昨年1月まで会長だった前田晃伸(てるのぶ)氏(79)が意見を寄せていたことがわかった。前田氏が提出した意見書の写しを朝日新聞が入手した。稲葉延雄・現会長下で策定された計画案への批判などが記されていた。

 意見書は400字詰めの原稿用紙5枚で、手書き。前田氏時代に導入された人事制度改革の見直しが進められている点に対し「新体制となり、改革派の職員は、次々と姿を消す事態となった。(昨年)1月以降、経営改革は止まり、古い体制を維持する方向にカジを切ったことは、誠に残念」と批判した。

 また、今年度予算で未認可の衛星放送の配信業務に絡む不適切な支出の決定に前田氏が関わっていたとして、退職金が10%減額支給された問題にも言及。決定は専門家が放送法に抵触すると指摘しているが、「『冤罪(えんざい)デッチ上げ事件』だ」「放送法違反のおそれがあるという指摘は、完全に間違い」とつづった。

 一方、NHKは9日、寄せられた意見への個別の回答を公表。前田氏の意見についてもコメントした。人事制度に関しては「『年功序列』『密室評価』の打破は賛同する」とする一方、「組織全体のことを考えない個を偏重する制度や、評価尺度の見えない抜擢(ばってき)は、公平・公正さを欠き、逆にプロフェッショナルの軽視、組織力の低下を生み得る」と反論。不適切支出については、「『先行投資』一般についてはご意見の通り」としたが、「受信料を財源とし、放送法で業務範囲を規律されるNHKは、予算の国会承認など正当なプロセスを経ずに何でも自由にできる、という存在ではない。適切に対応した」とした。

 稲葉会長は同日会見し、前田氏の主張について「私の役割は、(前田氏の)『改革の検証と発展』だ。改革を否定しているわけではないので残念」と述べた。

 また、NHK経営委員会は9日、今回の中期経営計画を議決した。昨年10月の受信料値下げなどに伴う収入減を踏まえ、27年度の支出を今年度と比べて1千億円減らす方針を明記。26年度にAMの「ラジオ第1」と「第2」から1波を削減し、AM1波、FM1波とし、NHKと民放各社が中継局の設備を共同利用するために、600億円を支出する方針も盛り込んだ。

 また、NHKはこの日、24年度のインターネット活用業務費も発表し、195億円(23年度比2億円減)を支出するとした。総務省の有識者会議が昨年8月、受信契約者を対象に任意で提供している地上波の同時・見逃し配信を、放送と同様、必ずNHKが行うべき「必須業務」に格上げすることを提言したことを受け、放送法改正に備える費用15億円が含まれるという。

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