海保5人死亡「痛恨の極み」、日航「着陸許可が出ていたと認識」…小池都知事「災害が災害を呼んでしまうことは残念」
羽田空港での事故を受け、国土交通省と海上保安庁、日本航空は2日夜、東京・霞が関の同省で記者会見を開いた。海上保安庁の瀬口良夫次長は、事故の発生と、海保機に搭乗していた乗員男性6人のうち5人の死亡が確認されたことについて、「深くおわびを申し上げる。かけがえのない職員の命を失ったことは痛恨の極み」と述べ、頭を下げた。
午後9時15分頃から始まった国交省と海保の合同会見では、報道陣から事故機と管制とのやりとりなどについての質問が相次いだが、同省の平岡成哲航空局長は「確認中」と繰り返した。日本航空機の乗客らの避難誘導については、「火災が生じるまでの時間が短い中で、脱出できたのは適切に指示が行われたと思っている」とした。
一方、日本航空の青木紀将・総務本部長は、同機について「着陸許可が出ていたと認識している」と説明。堤正行・安全推進本部長は乗員から聞き取った結果として「通常通り進入し、着陸動作を開始したところ事故が起きたと確認した」とした。フライト前に機体の異常を示す報告はなかったという。
海保機は石川県で発生した地震の支援活動で食料や水を運ぶところだったという。ある海保関係者は、「これまでにない事故が起きてしまった。地震の救援活動に影響を出してはならないのだが……」と言葉少なに語った。
岸田首相は首相官邸で記者団に対し、「被災者のために高い使命感、責任感を持って職に当たっていた職員で大変残念だ」と述べ、支援物資輸送について「影響が生じないように全力で対応していく」と強調。斉藤国土交通相も記者団に「運輸安全委員会や警察で調査が進められる。国交省も事故究明、再発防止に全力を挙げたい」と語った。小池百合子・東京都知事は2日夜、都庁で取材に応じ、「災害が次の災害を呼んでしまうことは残念だ」と語った。
「ドン」と衝突音、JAL機は炎上したまま進んだ…のどにやけどなどで乗客14人けが・4人搬送
2日午後5時47分頃、東京都大田区の羽田空港で、新千歳(北海道)発羽田行き日本航空516便(エアバス350型機、乗員乗客379人)と、海上保安庁羽田航空基地所属の「MA722」(ボンバルディアDHC8型機、乗員6人)が滑走路上で衝突し、両機は炎上した。警視庁によると、海保機の乗員のうち、機長を除く5人が死亡。日航機の乗員乗客は全員脱出したが、14人がのどにやけどなどを負い、うち4人が病院に搬送された。
国土交通省は2日夜、航空事故と認定し、国の運輸安全委員会が事故原因の調査を始めた。警視庁は3日に特別捜査本部を設置し、業務上過失致死傷容疑も視野に調べを進める。
国交省と海上保安庁は2日夜、合同で記者会見し、事故時の状況について、着陸しようと南側からC滑走路に進入してきた日航機と、離陸するために西側から同滑走路に入ってきた海保機が衝突したと明らかにした。
両機は滑走路上で炎上し、消防車約120台で消火にあたった。海保機は午後8時半頃に鎮火した。日航機は3日午前0時過ぎにほぼ消し止められた。
国交省などによると、日航機は2日午後4時20分頃に新千歳空港を出発し、午後5時40分頃に羽田空港に到着する予定だった。乗員12人、乗客367人(乳児8人を含む)は全員が脱出した。
海保機は能登半島地震の発生を受け、被災地向けの支援物資を運搬するために新潟航空基地(新潟市)に向けて出発する予定だった。
JAL機乗客「すさまじい炎、窓の外はオレンジ色に」…機外脱出「あと1分遅れていたら」
発表によると、海保機の乗員は、いずれも羽田航空基地所属で、▽宮本元気機長(39)▽田原信幸副機長(41)▽石田貴紀・通信士(27)▽帯刀航・探索レーダー士(39)▽宇野誠人・整備士(47)▽加藤重亮・整備員(56)。
東京消防庁や警視庁によると、自力で脱出した海保機の宮本機長は重いやけどを負ったが、意識はあるという。残る5人は機内に取り残されたとみられ、死亡が確認された。
事故直後から4本ある羽田空港の滑走路は全て閉鎖されたが、C滑走路以外の3本は午後9時30分に再開した。
目撃者らによると、日航機が海保機に衝突すると「ドン」という音が周囲に響き渡った。日航機は炎上したまま滑走路を進み、停止した後も機体の後部から炎と黒煙が上がる中、乗客らが脱出用シューターから次々と滑り降りて機外に避難したという。
「ありえない」「不思議だ」専門家らにも衝撃 羽田空港で日航機と海保機衝突
「あり得ない事故だ」。日航機と海上保安庁の航空機が衝突、炎上した事故を受けて、専門家らは一様に衝撃を受けた様子だった。
「これほどひどい事故は見たことがない」。元日航機長で航空評論家の山田不二昭氏は、事故の瞬間の映像を確認すると、こう語った。
「滑走路に航空機がいる状況で、別の航空機が進入することはない。地上の指示系統にミスがあった可能性も現時点では排除できないのではないか」と話した。
同じく元日航機長で航空評論家の小林宏之氏も「これほどの火災を伴う事故は、見たことがない。プロのパイロットが管制官の指示を聞き間違えたとは思えない」とした上で、日航機と衝突した海保機が能登半島地震の対応で新潟航空基地に向けて急遽(きゅうきょ)、物資を搬送中だったことを踏まえ「『被災地に早く物資を届けてあげたい』という心理が影響を与えた面はあったのかもしれない」と推測した。
一方、海保OBの男性は「パイロット側のミスなのか、管制官側のミスなのか分からないが、通常はあり得ない事故。不思議だ」と首をひねる。
「暗さが影響したのかもしれないが、海保機は夜間のパトロールもするので夜間に飛ぶこと自体は不思議ではない。乗客が無事なのが不幸中の幸いだが…」と、ショックを受けた様子だった。
「海保機が離陸していないのに管制塔で着陸許可が出た可能性も」元日航機長
羽田空港で日本航空の飛行機と海上保安庁の飛行機が衝突して炎上した事故で、元日本航空の機長は追突事故について「海上保安庁の飛行機がまだ離陸していないのにもかかわらず、管制塔で着陸許可が出た可能性がある」と話しました。
元日航機長 塚原利夫氏
「離陸しようとした保安庁の飛行機に、日本航空の飛行機が後ろから突っ込んだということも考えられる。何が問題かというと、まだ飛行機が離陸していないのに着陸許可を出しちゃったのかもしれませんね。管制官が。パイロットのほうは目の前には何もいないよねというつもりでいきますから、目の前に海上保安庁の飛行機が止まっていることが見えていなかったのかもしれません」
「日航機が着陸しようとした滑走路上に海保機」 国交省が会見
羽田空港(東京都大田区)のC滑走路上で、新千歳発羽田行きの日本航空(JAL)516便が、海上保安庁の航空機と接触した事故で、国土交通省と海上保安庁は2日午後9時過ぎに記者会見を開いた。
同省の平岡成哲航空局長は事故の状況について「516便はC滑走路に南側から着陸をしようとしていた。その際、滑走路上に海保の機体があり衝突した。その後、516便はC滑走路の北側で停止した後、炎上した。ここまでは確認できている」と話した。
海上保安庁、日航機との衝突で死亡した隊員5人の氏名を公表 副機長や通信士ら
羽田空港の滑走路で日本航空と海上保安庁の機体が衝突し炎上した事故について、海上保安庁は2日夜、死亡した5人の隊員の氏名を明らかにした。
死亡したのは、副機長の田原信幸さん(41)▽通信士の石田貴紀さん(27)▽探索レーダー士の帯刀航さん(39)▽整備士の宇野誠人さん(47)▽整備員の加藤重亮さん(56)-の5人。
機長の宮本元気さん(39)は自力で脱出し、意識があるという。
日航機、海保機と衝突炎上=379人全員脱出、隊員5人死亡―東京・羽田空港
2日午後5時50分ごろ、東京都大田区の羽田空港のC滑走路で、新千歳(北海道)発羽田行きの日本航空516便が着陸時に海上保安庁の航空機と衝突、炎上した。
機長除く5人死亡の海保機、地震被災地へ離陸のため走行中に衝突…物資運搬で新潟に向かう途中
2日午後5時55分頃、東京都大田区の羽田空港C滑走路で、航空機が炎上したと東京消防庁に通報があった。同庁などによると、滑走路上で日本航空の旅客機と海上保安庁の航空機が衝突した。警視庁によると、海保機の乗員男性6人のうち、機長を除く5人の死亡が確認された。日航機は炎上し、乗員乗客計379人は全員脱出したが、17人がけがをした。
国土交通省などによると、旅客機は新千歳(北海道)発羽田行き日本航空516便(エアバス350型機)。午後4時20分頃に出発し、同5時40分頃に羽田に到着する予定だった。
日本航空によると、乗員12人、乗客367人の計379人は全員脱出したとの情報がある。日航機は南側からC滑走路に進入し、着陸中に衝突したという。
海保によると、日航機と衝突したのは、羽田航空基地所属の「MA722」(全幅27・43メートル、全長25・68メートル)ボンバルディア社製の機体。東京消防庁や警視庁によると、乗員6人のうち機長は自力で脱出したが、残る5人は機内に取り残されたとみられる。その後、5人の死亡が確認された。
海保機は能登半島地震の発生を受け、被災地向けの物資を運搬するために新潟航空基地(新潟市)を目指して離陸するため、滑走路を走行中だったという。
この事故を受け、羽田空港の滑走路は全て閉鎖された。
NHKのテレビ映像では、日航機が空港に着陸すると同時に炎が上がり、炎上したまま滑走路を進む様子が確認された。同便の機体は停止後も後部から黒煙が上がり、機体の中からも炎が上がる様子が見られた。
周辺には約100台の消防車が駆けつけ、午後7時現在、東京消防庁が消火活動に当たっている。
日航機との衝突に絶句、海保関係者「前代未聞の事態が起きた」
東京・羽田空港に着陸した日本航空の旅客機が2日夜、炎に包まれた。同機は、海上保安庁が保有する航空機と衝突したという。海保関係者は「前代未聞の事態が起きた」と絶句した。
2日午後7時頃、羽田空港の展望デッキからは、日航機の機体から黒色の煙が上がり、多数の消防車が消火活動にあたっている状況が見えた。消防車のサイレンが鳴り響き、横浜市のパート従業員女性(47)は、「まさか日本でこんな大変な事故が起きるとは思わなかった。すごく怖い」と声を震わせた。
滑走路で炎上する旅客機を見る人たち(2日午後6時55分、羽田空港で)=若杉和希撮影
政府関係者によると、日航機と衝突したのは海保機だった。東京・霞が関の国土交通省では、午後6時過ぎから、事故を受けて同省職員や、同じ庁舎に入っている海上保安庁職員らが慌ただしく集まり、情報収集に追われた。
海保機は、石川県で発生した地震の支援活動に向かうところだった。同機に搭乗していたうち5人の死亡が確認された。
ある海保関係者は、「これまでにない事故が起きてしまった。情報がなかなか入ってこず、やきもきしている。地震の救援活動に影響を出してはならないのだが……」と声を詰まらせた。
滑走路で航空機が事故を起こし、乗客が緊急脱出する事故は過去にも起きている。
2007年8月には、沖縄・那覇空港で、中華航空機が駐機場に移動して停止後、爆発炎上した。乗員乗客165人は、脱出装置で避難し、無事だった。
16年2月には、北海道の新千歳空港で、離陸前の新千歳発福岡行き日航機の右エンジンから煙が出て、乗客乗員165人が緊急脱出した。
海保機は「C5」から進入し日航機と衝突 「管制」は適切?指示の聞き違え?国交省は「確認中」に止める
事故当時の状況について整理する。
国土交通省の記者会見で配られた資料によると、日本航空の機体がC滑走路の南側から着陸してきたところを水色の矢印に沿って誘導路から進入した海保の機体と衝突した。
日本航空の機体が海保の機体の横にぶつかったのか、後ろから追突したのかはわかっていない。
そして日本航空の機体は、滑走路上を走って来て止まり、乗客ら全員が脱出、機体は炎上した。
2日午後の会見では、航空機に対する指示である「管制」は適切だったのか、指示の聞き間違えがなかったのかなどの質問が相次いだが、国交省側は「現在、確認中」などと答えるにとどめた。
なぜ衝突?「事故原因は調査中」日航機炎上事故で国交省会見 日本航空は「着陸許可出ていた」との認識
事故を受け、国土交通省と海上保安庁が会見を開き、事故発生時の状況を説明したうえで、くわしい事故原因については調査中として明らかにしなかった。
午後9時ごろに行われた会見「かけがえのない職員の命を失ってしまったことは痛恨の極み。(MA722の機長から)滑走路上で機体が爆発した、自分は脱出した、その他乗員については不明との連絡があった」
国土交通省と海上保安庁は、2日午後9時過ぎに会見を行い、今回の事故について航空事故と認定し、運輸安全委員会に通知したことを明らかにした。
くわしい事故原因については調査中ということだが、政府関係者によると、着陸中の日本航空の旅客機に対して海上保安庁の航空機が滑走路に進入したとの見立てもあるという。
一方、日本航空も会見を開き、「着陸許可は管制から出ていたと認識している」と着陸の許可があったことを明らかにした。
日航機は「正常に着陸」 海保機機長の脱出状況判明 国交省会見
羽田空港(東京都大田区)のC滑走路上で、新千歳発羽田行きの日本航空(JAL)516便が、海上保安庁の航空機と接触した事故で、国土交通省と海上保安庁は2日午後9時過ぎに記者会見を開いた。
516便と海保機の接触の状況について、同省は「(海保機は)C―5誘導路から滑走路に入ってきた」と説明。516便については「正常に着陸していた」と述べた。
また、海保機の機長の脱出状況については「(機長から)機体が爆発した。自分は脱出した。その他の乗員は不明との通報があった」と話した。