新型コロナ 今冬は感染拡大しない?…インフルエンザは「注意報レベル」の流行続く
新型コロナウイルスは、感染拡大が始まった2020年以降、冬になると感染の「波」が押し寄せ、医療機関は逼迫(ひっぱく)する状況でした。今冬は、インフルエンザの流行が目立つ一方、新型コロナの感染者はさほど多くありません。今の状況と今後の見通しについて、東京医科大病院渡航者医療センター特任教授の濱田篤郎さんに聞きました。
――2023年11月27日~12月3日の1週間に報告された1医療機関あたりの感染者は、インフルエンザが26.72人なのに対し、新型コロナは2.75人と少ない状況です。インフルエンザの流行と関係はありますか。
インフルエンザの感染者が増えると、新型コロナが減るという相関関係は、医学的には証明されていません。
新型コロナの流行は、日本では今のところ顕著になっていませんが、欧米では同時流行が起きつつあります。
――日本で、新型コロナの感染者が少ないのはなぜですか。
20年に日本でも新型コロナの感染拡大が始まりましたが、この約4年間で、多くの人が新型コロナにかかったりワクチンを接種したりして免疫を持つようになりました。
今夏は、新型コロナの感染者が増えましたが、流行は秋口まで続き、かかった人の多くは、まだ免疫が残っていると考えられます。また、今年は、12月になっても比較的暖かい日が多いことも影響していると思います。寒いと室内に籠もりがちになって換気もしなくなり、感染しやすい状況が生じるためです。
――今冬は、新型コロナの感染は広がらないのでしょうか。
もう少したってから、感染が広がってくるという可能性は十分にあります。今、主に流行しているのはオミクロン株の「XBB」系統のタイプですが、別系統の「BA.2.86」というタイプが欧米諸国で増加傾向にあり、入院患者や死亡者も少し増えています。
世界保健機関(WHO)は、BA.2.86について、「監視下の変異株」(VUM)から「注目すべき変異株」(VOI)へ、リスク評価を1段階上げました。
このタイプは日本でもすでに確認されています。
「BA.2.86」とは
――BA.2.86は、どのような特徴がありますか。
従来のものと比べて、感染にかかわるウイルス表面の突起(スパイクたんぱく質)の変異が30か所以上、確認されています。今あるワクチンでも、予防効果は期待できると考えられていますが、免疫を逃れる可能性が高くなると懸念されています。
まだ不明な点が多いですが、感染力はやや強い可能性があります。ただ、重症化することは少ないと言われています。23年8月に英国の老人ホームで集団感染が発生した際にも、亡くなった人はいなかったと報告されています。
――感染拡大を極力抑えるために、すべきことはありますか。
新型コロナの感染症法上の位置づけが「5類」になったことを受け、社会的に様々な制限がなくなり、忘年会に参加したり、帰省や海外旅行をしたりする人も多いと思います。ただ、そうした機会に感染するリスクはあります。
しかし、今は社会全体で行動制限をしていくという状況ではありません。感染が広がってきたら、マスクを着用し、手洗いを徹底する。具合が悪い時は、人が集まる場所に行かない――という個人レベルの感染対策を取るよう心がけてほしいと思います。
重症化することは少ないとはいえ、高齢者にはそのリスクがあります。高齢者は年1回、ワクチン接種を受けることも大切です。
