あなたが眠れない原因は「不眠恐怖症」「寝室恐怖症」かもしれません
Dr.三島の「眠ってトクする最新科学」
こんにちは。精神科医で睡眠専門医の三島和夫です。睡眠と健康に関する皆さんからのご質問に科学的見地からビシバシお答えします。
今現在不眠症でお悩みの方の多くも、以前はぐっすり眠れていたはずです。ところが、いったん不眠症に陥ると、それをこじらせてしまうことが少なくありません。なぜなのでしょうか? そこには多くの不眠症患者さんに共通する不眠恐怖症、寝室恐怖症の問題が潜んでいるからなのです。この恐怖症は不眠を悪化させる「体の変化」まで引き起こします。
「疲れているのに旅先で眠れない」は正常な防衛本能のため
目安は不眠症状が1か月以上続いた時
不眠恐怖症、寝室恐怖症にはもう一つ深刻な問題があります。恐怖症が続くことで心理的な緊張感が高まるだけではなく、睡眠の質を低下させるような体の変化が生じる点です。例えば、質の良い睡眠のためには、就寝前から脳の温度(深部体温)が低下している必要がありますが、恐怖症によって体温低下の勢いが弱まり、睡眠中の脳温は高止まりしてしまいます。これは交感神経が緊張している(副交感神経の働きが弱まる)ためです。また副腎皮質から分泌されるストレスホルモン(コルチゾール)の量を増加させてしまいます。コルチゾールには非常に強い覚醒作用があるため、就寝時刻から明け方にかけて分泌が低下するなど、睡眠を妨げないように調節されているのですが、不眠恐怖症、寝室恐怖症の状態では高止まりしてしまうのです。
このような状態に陥らないための対策のポイントは、不眠をこじらせないことです。先のカナダの調査結果からもわかるように、一つの目安として不眠症状が1か月以上続いたときには、自然に治るのを待つのではなく、早めにかかりつけ医に相談するとよいでしょう。不眠の原因を特定して治療をする、睡眠調節のための指導を受ける(睡眠衛生指導)、必要に応じて安全性の高い睡眠薬を服用するなど、症状に応じた対策を取ることで不眠をこじらせずにすみます。
すでに慢性不眠症、不眠恐怖症、寝室恐怖症が強くなっている場合には、精神科や心療内科などで専門的な薬物療法や、認知行動療法などの心理療法を受ける必要があるかもしれません。かかりつけの医師の元で治療を受けている方は紹介状を作成してもらうとよいでしょう。
