岸田首相、排出削減対策ない火力発電の新規建設終了を表明 COP28

岸田首相、排出削減対策ない火力発電の新規建設終了を表明 COP28

 岸田文雄首相は1日、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催されている国連の気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)の首脳級会合で演説した。温室効果ガスの排出削減対策の取られていない石炭火力発電所の新規建設を「終了する」と表明。議長国のUAEなどが掲げる、世界全体の再生可能エネルギーの設備容量を2030年までに3倍にするとの目標に賛同する姿勢を示した。

 排出削減対策の取られていない石炭火力発電を巡っては、今年5月に広島市で開かれた主要7カ国首脳会議(G7サミット)の首脳宣言で「建設終了に向けて取り組む」と明記したが、日本政府として国際社会に発信するのは初。首相はCOP28の場で表明することで日本の取り組みへの理解を得たい考えだ。

 一方、日本は既存火力の排出削減策として、石炭にアンモニアや水素を混ぜて二酸化炭素(CO2)の排出を減らす「混焼」やCO2回収・貯留技術(CCS)を進め、石炭火力をできるだけ長く利用する方針で、石炭火力の全廃時期は示していない。混焼を巡っては欧州などから化石燃料の延命策との批判も根強い。

 首相は演説で、途上国支援に向けて世界銀行とアジア開発銀行に拠出し、融資力の強化を図ることや、アフリカ開発銀行の新基金へも「貢献する」と表明した。温暖化の影響を受けやすい途上国などに対し、財政面でも脱炭素化の取り組みを支援する姿勢を強調した。

 温室効果ガス排出量を30年度までに13年度比で46%削減する目標を掲げる日本の取り組みについては「既に約20%を削減しており、着実に進んでいる」との認識を示した。脱炭素社会を目指す「グリーントランスフォーメーション(GX)」を加速させると述べ、実現に向けて新たに発行する国債「GX経済移行債」など日本の取り組みを説明。日本の主導でアジアに広げる脱炭素の連携枠組み「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」に関する初の首脳会合を12月に開催することも紹介した。その上で「徹底した省エネと、再エネの主力電源化、原子力の活用などを通じたクリーンエネルギーの最大限の導入を図る」と表明した。

 国際社会は産業革命前からの気温上昇を1・5度に抑える共通目標を掲げるが、各国の目標が達成されたとしても今世紀末に3度近くに達する見通しとなっている。首相は現状を「道筋に乗っていない」と指摘し、「30年までの行動が決定的に重要だ」と訴えた。「経済成長やエネルギー安全保障と両立するよう多様な道筋の下で、全ての国が一緒になり、ネットゼロという共通の目標を目指そう」と呼びかけた。

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