新型コロナワクチンの定期接種化 対策は新たなフェーズに

新型コロナワクチンの定期接種化 対策は新たなフェーズに

 政府の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会が11月22日に開催され、2024年度以降の新型コロナウイルスのワクチン接種は、高齢者を主な対象に定期的に実施することが決まりました。ワクチン対策が新たなフェーズに入ったわけです。今回は来年度以降の接種の概要と今後の課題を解説します。

 ◇国民に免疫、重症例減る

 新型コロナワクチンの接種は2021年2月から「特例臨時接種」という枠組みで開始されました。感染症が急速に拡大し、「まん延予防上緊急の必要がある」と厚生労働相が判断した場合に行う接種で、費用は国が全額負担します。新型コロナの場合、当初は国民全員を対象に接種を推奨し、国民側にも接種を受ける努力義務がありました。当時の新型コロナの感染力や重症度からすると、ワクチン接種で個人だけでなく、社会全体を守る必要があったのです。

 この接種開始以降、日本では21年秋までに7割以上の国民が初回接種(2回目まで)を終了しました。その後も、特例臨時接種で追加接種が何回か行われています。新型コロナの感染予防や重症化予防には、定期的に追加接種をして免疫を強化することが必要でした。

 この結果、22年に入ると、感染者は発生するものの、重症化するケースは少なくなっていきました。これはワクチンの効果だけでなく、21年末から世界的に広まったオミクロン株が重症化しにくい変異株であることも影響しています。さらに、複数の抗ウイルス薬が使用されるようになったことも重症化を抑えた一因です。

 こうした状況から、23年11月の時点で、新型コロナは特例臨時接種の対象疾患として扱う必要がなくなりました。そこで、来年度から定期接種のB類として扱うことになったのです。

 ◇「個人を守る」に移行

 定期接種には、小児を主な対象にしたA類と高齢者を対象にしたB類があり、後者にはインフルエンザや肺炎球菌のワクチンが入ります。高齢者がこうした感染症にかかると重症化することがあるので、それを防ぐために、自治体が費用を補助して接種を推進する仕組みです。新型コロナも高齢者は重症化するリスクがあるため、この定期接種B類に入れることになったのです。今までの新型コロナワクチンは「社会と個人を守る接種」でしたが、これからは「重症化しやすい個人を守る接種」になると考えていただければいいでしょう。

 では、高齢者以外は接種を受けられないのかというと、決してそうではありません。インフルエンザワクチンと同じように、希望者は任意接種として有料でワクチン接種を受けることができます。現在、新型コロナワクチンは国が管理していますが、来年度からは市販される予定です。これを医療機関が購入し、定期接種や任意接種を希望する人に接種するという対応になります。

 ◇年1回、来年秋に開始

 それでは、来年度の新型コロナワクチンの接種はいつ頃から始まるのでしょうか。今回、厚生労働省が発表した資料によれば、現行のワクチンは、追加接種後の感染予防効果の持続が2~3カ月ですが、重症化予防効果は1年以上続くとされています。こうしたデータを基に、追加接種は1年に1回となりました。接種する時期は、流行が拡大しやすい冬になる前の秋から始まる予定です。接種場所は最寄りの診療所や病院などになるでしょう。

 費用は現時点では分かりませんが、定期接種になる高齢者は自治体から補助が出ます。それ以外の任意接種で受ける人については、補助を出す自治体もあれば、全額自費になる可能性もあります。

 ◇課題は流行株の予測

 このように来年度からは、新型コロナもインフルエンザワクチンのように、冬前に1回接種を受ける方式を採ります。使用するワクチンの種類は、厚労省が次の冬に流行が予想される変異株を選んで、それを含むワクチンを接種することになります。

 インフルエンザワクチンも、次の冬に流行が予想される株を用いて接種しています。世界保健機関(WHO)が毎年、どの株が次に流行するかを予測し、メーカーはそれに基づいたワクチンを製造しています。一方、新型コロナで、次の冬に流行する変異株を予測するのはなかなか難しいと思います。WHOでそうした対応ができない場合は、各国の保健当局やメーカーが独自に予測することになるでしょう。

 もう一つ大事な点は、このままmRNAワクチンを中心とした接種を続けるかどうかです。

 ◇副反応が少ないタイプへ

 新型コロナの流行制圧に当たり、mRNAワクチンは大きな功績を残しました。流行が始まってからわずか1年ほどで効果の高いワクチンが開発されたのは、mRNAワクチンだからできたことです。この功績が評価され、その開発に貢献した米ペンシルベニア大学のカリコ博士らが、23年のノーベル生理学・医学賞を受賞しました。

 その一方で、mRNAワクチンは接種部位の腫れや痛みなどの局所反応、発熱や倦怠(けんたい)感などの全身反応がかなり高率に起きます。この副反応がつらいので、追加接種をためらっている人もかなり多いのではないでしょうか。

 日本で今までに接種を受けた人の大多数にはmRNAワクチンが使用されており、新型コロナワクチンそのものが、局所反応や全身反応を起こしやすいと考える人も多いと思います。しかし、日本ではmRNAワクチン以外に組み換えタンパクワクチンも少数使用されており、このワクチンでは発熱や倦怠感などの全身反応が少ないことが、厚労省の研究班から報告されています。

 mRNAワクチンは流行が始まったばかりの時期には救世主になりましたが、流行が安定してきた現時点では、組み換えタンパクワクチンなど副反応のより少ないワクチンを使用していくことも考えなければなりません。国内でも、独自に開発した組み換えタンパクワクチンの承認申請を出しているメーカーや、インフルエンザと同種類の不活化ワクチンを開発しているメーカーがあります。特に今後、ワクチン接種が有料になれば、副反応のより少ないワクチンを選ぶ人が増えるのではないでしょうか。

 新型コロナのワクチン対策が新しいフェーズに移行するのに伴って、その法的な扱いだけでなく、ワクチンの種類についても考えていく時期だと思います。

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