ゴリラのためにスマホ集めています…動物園「現実に気づいて」

ゴリラのためにスマホ集めています…動物園「現実に気づいて」

「ゴリラを守るためにスマホを集めています」――。京都市動物園(京都市左京区)が、来園者らに不要になったスマートフォンや旧式携帯電話(ガラケー)の提供を呼び掛けている。同様の取り組みは東京・上野動物園や千葉市動物公園でも。なぜゴリラのためにスマホを集めているのだろうか。

 日本でゴリラを飼育する動物園は6カ所のみ。そのうちの一つ、京都市動物園では4頭のニシゴリラが野生のすみかである熱帯雨林を模した施設で暮らし、市民らに親しまれている。

 展示エリアの一角に、スマホの回収箱が設置されたのは今年9月のこと。木箱に「ゴリラの生息地を守るためスマートフォン・携帯電話のリサイクルにご協力お願いします」と案内がある。同園によると、既に箱の8割ほどまで集まっている。SNS(ネット交流サービス)で取り組みについて投稿すると、「ぜひ協力したい」「郵送でよければ送りたい」と好意的なコメントが次々に寄せられた。

 この企画は、国際協力分野のNPO法人「テラ・ルネッサンス」(京都市下京区)と、京都市、上野両動物園、千葉市動物公園、日本モンキーセンター(愛知県)の4園が連携して取り組んでいる。同様にスマホの提供を来園者に呼び掛け、既に終了した上野動物園では約1カ月で222台が集まった。

 ◇「レアメタル」採掘抑制へ

 なぜスマホの回収がゴリラを守ることにつながるのか。読み解く鍵は、製造に欠かせない希少金属「レアメタル」だ。

 レアメタルはスマホをはじめ、さまざまな電子機器に使われ、大きな需要がある。一方で産出国は限られる。テラ・ルネッサンスによると、野生ゴリラの生息地であるアフリカのコンゴ民主共和国は、タンタル、コバルトといったレアメタルを多く埋蔵。先進国向けに高く売れるため、権益を巡る反政府勢力の紛争が頻発し、多数の住民が犠牲になっている。また、採掘でゴリラがすむ森林が伐採され、個体数は減少している。

 着目したのが「都市鉱山」と呼ばれる、廃棄される電子機器に眠るレアメタルだ。同法人によると、日本では1年間に約65万トンの小型家電が廃棄されるが、その中に含まれるレアメタルなど貴重な金属は844億円相当に達するという。

 今回の取り組みでは、集めたスマホを1台30円でリサイクル業者に買い取ってもらい、レアメタルを再利用する。採掘を抑制してゴリラの生息地を守り、スマホなどの売却益はコンゴの紛争被害者の支援に充てる。

 京都市動物園の担当者は「ゴリラは人気の動物だが、皆が気軽に持つスマホのせいで生息地が奪われ、苦しんでいる。これをきっかけに、知られていない現実に気付いてもらえたら」と話す。

 同園では12月27日まで回収を続ける。

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