タクシーつかまらない福岡市、博多駅の乗り場に長い列…コロナ禍で2割が離職し運転手不足

タクシーつかまらない福岡市、博多駅の乗り場に長い列…コロナ禍で2割が離職し運転手不足

タクシーの人手不足が深刻だ。新型コロナウイルスの感染状況が落ち着き、街がにぎわいを取り戻す一方、福岡市ではコロナ禍の最中に運転手の2割が離職し、以前の水準に戻っていないためだ。週末や夜の歓楽街では慢性的にタクシーがつかまりにくい状況が続く。タクシー会社は新規採用に力を入れて、運転手の確保を進めている。

電話で呼んでも断られ

 13日午後6時過ぎ、JR博多駅博多口のタクシー乗り場には、自宅や宿泊先へ向かうビジネスマンや観光客ら約40人の長い列ができていた。客を降ろしたタクシーが、息つく間もなく次の客を乗せて出発していく。

 この日は金曜日で、歓楽街の中洲は地下鉄の終電がなくなった後も多くの人でにぎわっていた。那珂川に架かる春吉橋のタクシー乗り場には10人ほどが並び、飲食店の客を連れてきた女性(21)は「電話でタクシーを呼んでも断られるから、乗り場まで案内するしかない」と話した。

 東京から出張中の会社員(46)は空車が見つからず、徒歩で宿泊先のホテルへ向かうことにした。「都会の福岡でタクシーがつかまらないのは予想外だ」とぼやいた。

タクシー業界では運転手不足が続く。拍車をかけたのが新型コロナの感染拡大だ。外出自粛から利用客が減り、売り上げも減少。福岡都市圏のタクシー会社が加盟する福岡市タクシー協会によると、コロナ禍前の2019年12月に8381人いた運転手(個人を除く)は、今年5月に6598人と2割減った。

 基本給がなく完全歩合制の運転手もいて、コロナ禍は収入に打撃を与えた。市内のタクシー会社に勤める男性(67)は当時、月収が10万円を下回る月もあり、「年金を足してもギリギリの生活だった」と話す。

車はあるのに

 今年5月に新型コロナが感染症法上の5類に移行。繁華街や歓楽街ににぎわいが戻り、ビジネス街にも人の往来が復活した。

 全国ハイヤー・タクシー連合会によると、コロナ禍の20年5月の営業収入の全国平均は、19年同月の4割に落ち込んだが、今年7月に9割まで回復した。人の移動が活発化する中で、「タクシーがつかまらない」問題が急浮上した。

「運転手が足りず、車を眠らせている」。福岡都市圏を中心に約190台を運行する「福岡交通」(福岡市東区)の野上正嗣社長(55)が取材に答えた。同社では、コロナ前に約290人いた運転手が約250人に減少。タクシーの稼働率は6割から5割に落ちた。

 運転手1人が乗せる客数が増えたことで、運転手の収入は改善傾向にある。ただ、野上社長は「稼働率とのバランスが難しい」と頭を悩ませる。

 市タクシー協会によると、運転手の数は5月で底を打ち、微増しつつある。各社が採用をテコ入れした効果だが、急回復した需要には追いついていない。

配車アプリに注目

 今、業界が目指すのが運転手の若返りだ。タクシー運転手の高齢化は以前から問題視されてきた。人手の確保に加えて安全運行のためにも喫緊の課題とされる。

 注目されるのが、スマートフォンでタクシーを呼べる「タクシー配車アプリ」だ。タクシー運転手には従来、「ベテランしか稼げない」といったイメージがあった。アプリを使えば、経験の浅い若手でも効率的に客を乗せて、売り上げを伸ばせると期待される。

福岡交通では、アプリによる配車が電話の4~5倍に上り、若手運転手にはアプリの客を積極的に乗せるよう指導しているという。

 野上社長は「20、30歳代の運転手も増えつつある。タクシー需要が増える年末に向けて、運転手の確保を急ぎたい」と話した。

「ライドシェア」導入議論進む

 政府は、個人が自家用車で乗客を運ぶ「ライドシェア」の導入に向けた検討を進める構えだ。岸田首相は23日、臨時国会の所信表明演説で「地域交通の担い手不足や移動の足の不足といった深刻な社会問題に対応しつつ、ライドシェアの課題に取り組んでいく」と述べた。千葉県や大阪府、大阪市などでも導入に向けた議論が進んでいる。

 ただ、タクシー業界の反発は根強い。全国ハイヤー・タクシー連合会は取材に、「多大なコストをかけて安全・安心な輸送サービスを提供するタクシー事業の根幹を揺るがす」と、ライドシェアに反対する理由を説明した。

 福岡市の高島宗一郎市長は20日の定例記者会見で、「タクシー不足は一過性の問題ではない。これからさらに深刻化する」と指摘。ライドシェアについて、「他国の事例を精査しながら、議論を進めていくことが大事だ」と述べた。

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