習近平、崖っぷち…!中国「経済崩壊」のウラで、いよいよ現実味を帯びてきた「台湾の武力統一」…そのとき、世界経済に起こること
経済疲弊と台湾有事
現状の中国経済は世界的には楽観視されている。
前編『ついに中国の銀行で「取り付け騒ぎ」が発生! 「債務膨張」で世界全体が道連れに…「中国経済崩壊」の危険すぎる「予兆」』で見てきた通り、すでに中国の地方銀行では取り付け騒ぎが生じているが、中国の金融監督局はこう語るのだ。
「中国の銀行セクター全体が抱える不良債権と不良化一歩手前の要注意債権の合計は7.4兆元(約150兆円)だが、銀行は十分な資本と貸し倒れ引当金などを備えているから問題はない」(10月16日付日本経済新聞)
こうした楽観論は、なにも中国当局だけではない。IMFもウォール街も中国経済の停滞が世界経済に大きなダメージをもたらすような危機感は抱いていない。
しかし、中国経済が着実に力を失っていながら、習近平政権はこれといった対策を打っていないことは、筆者にとっては大きな不安材料だ。
習近平氏は、台湾侵攻へとその意識を強めてはいないだろうか。
楽観論が支配する「IMF」と「ウォール街」
IMFの専務理事 クリスタリナ・ゲオルギエバ氏 Photo/gettyimages
中国の不動産危機は、他国に悪影響をもたらすリスクが指摘され始めている。
国際通貨基金(IMF)は13日「(中国の不動産セクターの低迷が)すでに回復の勢いが失われつつあるアジア太平洋地域の成長見通しを悪化させる恐れがある」との見方を示した。IMFは「中国と貿易関係が深い輸出国、特にコモディティ輸出国が打撃を受ける」としているが、はたしてその程度で収まるのだろうか。
米国の政策当局者は「中国経済の減速の自国への影響は軽微だ」とみている。
ウォール街も「中国の不動産危機がリーマンショックのような金融危機を引き起こすことはない」と見込んでいる。
その理由は「米国のサブプライムローン問題を金融危機にまでこじらせた金融レバレッジや広範なデリバティブが中国ではあまり普及していないため、不動産市場の不調が金融インフラを麻痺させることはない」というものだが、それだけではない。
さらに、中国の金融システムは米国のように世界に影響を与えるほどの支配力はない」と考えているからだ。
「中国発のリーマンショックの再来はない」とのことだが、グローバル化が進展した現在、各国経済が相互に密接につながっていることには要注意だ。国内や地域問題だと見なされていた事象が想像もしなかった形で世界全体を巻き込む大問題と化してしまうリスクがあるからだ。
むしろ警戒が強まる台湾有事
習近平国家主席は「経済の低迷を乗り切るためにナショナリズムの高まりを利用する」との見方がある(10月11日付ニューズ・ウィーク日本版)。
最も有効な手段は「台湾の(武力)統一」だろう。米軍幹部は「経済よりも安全保障を優先する傾向を強める中国が2025年までに台湾侵攻が行う可能性が高い」と警戒している(9月24日付ZeroHegde)。
だが、中国の台湾侵攻は安全保障上の問題だけにとどまらないかもしれない。
台湾有事は「世界恐慌」へ直結
米ホワイトハウスのサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は9月29日「(中国が台湾侵攻に踏み切れば)世界恐慌レベルの影響が出る可能性がある」と警告を発した。
英国のクレバリー外相も10月2日、「貿易の額が大きい台湾海峡での紛争は中国経済を崩壊させるばかりか、世界経済に大きなダメージを与える」と同様の見解を示した。
「中国の台湾侵攻」が世界経済にとって「ブラック・スワン(事前に予想できず、起こったときの衝撃が極めて大きい事象)」にならないことを祈るばかりだ。
さらに連載記事『習近平、打つ手なし…! 中国製EVが「バカ売れ」するウラで、中国で「EV墓場」が大問題になっていた! 』では、中国の根幹を支える中国EVの現状についてお伝えしよう。